ある日、アレルギー症状が消える?短期タイプの食物アレルギー

補完食の時期(月齢6カ月~23カ月)に注意が必要な、短期タイプのアレルギーは、なぜ症状が軽快するのでしょうか。

短期タイプ・長期タイプについてはこちら→アレルギーには短期タイプと長期タイプがある

 

 

食物アレルギーを発症するための必要条件として、現時点で明らかなのは次の5つです。

①個人に該当するアレルゲンを摂取し

②消化されないまま

③体内に吸収され

④免疫システムがマークし

⑤免疫システムが攻撃する(アレルギーの発症)

 

吸収されるアレルゲンが少ないほどアレルギー症状は軽くなる(出なくなる)ことは明らかだそうです。

それを踏まえて、短期タイプのアレルギー症状が減弱または消滅する理由は、現時点では以下のように考えられます。

 


ステップ②消化機能がアップする

アレルゲンは、タンパク質が特殊な形を保った状態である場合のみ機能します。

「消化する」とは「分子内の結合を切ってバラバラに小さくする」というような意味です。

消化されると、それはもう「アレルゲン」としての機能が失われた状態(ただの栄養素)になります。

 

消化能力は月齢が上がるにつれてだんだん高くなり、2歳頃には胃液が大人と同じpH 2程度(強酸性)になるそうです。

すると、例えばタンパク質分解酵素の「ペプシン」が本格始動できるようになるなど、タンパク質の消化(分子内切断)も、格段に頼もしくなります。

 


ステップ③吸収機能がアップする

私たちが食べたものは、全てが完璧に消化されることはありません

しかし、腸内には、未消化のタンパク質分子を体外へ排出する仕組みなどがあります。

腸の吸収機能や免疫機能が成熟していくことで、未消化のタンパク質が体内に侵入しにくくなることが考えられます。

 


ステップ④⑤免疫システムが成熟する

免疫システムには、異物タンパク質への攻撃を加速するもの抑えるものがあって、アレルギーを発症している状態は、攻撃を加速するものが不必要に活性化している状態といえます。

その後、口から摂取したもの(腸管から吸収されたもの)に対しては、攻撃を抑えるものが活性化し始めます。

 

この、体内に吸収されたアレルゲンをだんだん攻撃しなくなることを、「経口免疫寛容」といいます。

この経口免疫寛容のおかげで、月齢とともにアレルギーの症状が出なくなる子どもが多いと考えられています。

 

※タグ#アレルギーから、アレルギーに関する話をまとめて読むことができます。

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アレルギーに関する参考文献はこちら:楽で効果的なアプローチ方法は?アレルギーと離乳食

2017/3/1更新

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