【告知】理系育児LINEスタンプ
子育ては大変だけど……
これまで、いろんな文献や資料を見てきました。
育児で追い詰められる原因はいろいろありますが、あらゆる時代や民族に共通する、諸悪の根源的なものがあるのです。
それは、養育者の孤立です。
子育ては大変ですが、夜泣きや偏食やイヤイヤ期など、いろんなポイントで追い詰められる人とそうじゃない人の大きな違いは、その人のオリジナルの性格よりも、置かれている環境が最も大きく影響するのではないかな?と考えています。
このブログにも相談コメントが寄せられることがありますが、子育ての不安を強く感じられている方の中には、パートナーはいらっしゃるのに、たった一人で子育てをされている様子の方が、珍しくありません。
お子さんよりも、養育者の女性の方が心配になることもあり、身近な人たち〜!早く気づいて〜!と念を送っていますが、何しろ、手出しはできません。
ということで、パートナーと一緒に子育てするための、コミュニケーションのきっかけの一つになればいいなと、LINEスタンプを作成してみました。
家族の形態はいろいろなので、当てはまらない方には全くお役に立てないかもしれませんが、今回は、今の日本でよく見る「育児を主に担当している人と、育児をあまりしない人のカップル」を意識しました。
いわゆるワンオペ育児夫婦です。
まず、マーケティングリサーチのサービスを提供する企業のマクロミルさんと、父親業を支援するNPO法人のファザーリングジャパンさんのご協力を得て、現代日本の夫婦の子育てにまつわるコミュニケーションの課題を抽出しました。
妻が求めること
家事育児を担当することが多い妻側が、夫に求めることを、アンケート調査した結果をまとめると、
・家に早く帰ってきてほしい(50%以上)
・子供の世話をしたり遊んだりしてほしい(50%以上)
・もっと話を聞いて褒めて欲しい(約50%)
(複数回答、n=700、マクロミル)
半分以上の妻が考えていることが、この三本柱だということが分かりました。
夫の課題
一方で、夫側の意見を、ファザーリングジャパンの皆さまからヒアリング調査させていただきました。
すると、夫側は、妻から要求されると「責められている気がする」という声が多かったのです。
P&Gのレビューを依頼された時もそうだったのですが、
「要求すると、テンションが下がる夫に自責の念を感じる妻(=言えなくなる)」
と、
「要求されると、責められている気がして耐えられない夫(=受け入れがたい)」
という構造は、日本特有なのか分かりませんが、かなり夫婦問題の本質を反映しているのではないかと考えられ、興味深いです。
まずは要求を伝えないと試行錯誤すらできないのに、伝えることができないなんてジレンマやないかい!という感じですが、その中で、「子どもから、直接求められれば、心理的なハードルが下がるかも」というヒントを得ました。
ということで、このスタンプでは、赤ちゃんが主役となっています。
夫の立場でどんな表現がいいか、あるいは使いやすいかという助言を参考に、赤ちゃんが、我々の言いにくい気持ちをぐいぐい表明してくれています。
いたいけな赤ちゃんに言われたら、なりふり構っていられないでしょう。
刺さるセリフが1つでも見つかるように、いろんな視点からアプローチするよう試みています。
次に、実際のスタンプを一部ご紹介します。
イラスト: バッファローペコさん
ミッション①家に早く帰ってほしい
とにかく家に帰ってほしい気持ちを込めました。
見てるだけで早く帰りたい……!
また、予定した帰宅時間を無断で過ぎることは、本人にはそんなつもりはなくても、「相手を粗末に扱っていることを示すメッセージ」になりかねません。
そこで、より丁寧なコミュニケーションを取るために、予定時間より遅くなる場合の、目安スタンプも作りました。
グチりたいレベルなのか、それとも本気でせっぱつまっているのかを可視化するための、しんどさをパーセンテージで段階的に表現したものもあります。
100%になる前に、早く帰らなきゃ……!
ミッション②子どもの世話をしてほしい、遊んでほしい
赤ちゃんが、遊んでほしい気持ちを全身で表現しています。
ここは、ワンオペ育児が板についてしまって、今さら何を言っても変わらなさそうなパートナーへ揺さぶりをかけるための布石です。
ひと息つきたい時に、赤ちゃんのかわいさと勢いで、さりげなくバトンタッチしてもらうのにも良さそうです。
ちなみに、母親役の大人が休息したい場合、パートナーなどが抱っこ紐で赤ちゃんをお散歩などに連れ出すと、赤ちゃんは落ち着きやすいし、母親役の大人は静かに休めるし、パートナーは子どもとスキンシップがとれて子育てへの自信がつきやすくなるしで、win-win-winの関係になれることうけあいです。
今日の赤ちゃんは二度と戻らない……早くお世話しなきゃ!
ミッション③話を聞いてほしい
パートナーとのコミュニケーションをより深めるための、投げかけになるように意識しました。
聞いてほしいver.と、聞きたいver.の両方あります。
子どもが熱を出した時などの経過を聞くのにも役立ちそうです。
WHOのガイドラインに載っているコミュニケーションスキルを大いに参考にしつつ、「あなたの話は聞く価値がある」ということを伝えるためのスタンプも作りました。
これは非常に重要なので、ぜひ積極的に使っていただきたいスタンプです。
他にもあるので、ぜひ実物をご覧ください→理系育児LINEスタンプ
※今回のスタンプは、「家事育児を担当する妻と、家事育児をあまりしない夫」をモデルに設計しましたが、男女が逆の場合でも、女性同士、男性同士のカップルでも使えるように、ママ、パパなどの性別を表すフレーズは使用していません。
最後に
ファザーリングジャパンの皆様は、「男も家事育児して当然!」と考える先進的な集団で、みな家庭円満なのかなと思いきや、それぞれいろんな悩みを抱えながらも、家族というチームをステップアップしようと模索されているのが印象的でした。
どこかに完璧な夫婦像があるわけではなく、家族のチーム構成が変わるたびに、あるいは生活スタイルが変わるたびに、何度も何度もすり合わせしていくことが重要なのかなと感じました。
たとえば、「仕事があるから帰れない」というよくある理由も、そもそも仕事を何よりも優先するのが大正解という世の真理はどこにもないんですよね。
だから、生活スタイルが変わるたびに、チームメンバー全員の理想と現実をいったんテーブルに並べて、自分たちはどうしたら一番快適かを一から考えた方が、全体の快適さは圧倒的に向上するんじゃないかなと思います。
このスタンプも、新しいやり方を考えるための布石として、新しいチームに一番合ったスタイルを模索するためのツールとして、少しでもお役に立てれば幸いです。
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