最も短時間・少ない回数で母乳を効率よく飲むには(図解)

母乳育児を軌道に乗せるには頻回授乳が重要だ、とは言っても、根性だけで頑張るのは大変すぎるので、効率のいい哺乳について考察してみたいと思います。

ここに、WHOのガイドラインに載っている、上手に吸着できている赤ちゃん(図6)と、できていない赤ちゃん(図7)のイラストがあります。

Figure6Figure7

参照

上手な乳房への吸着の見分け方

下手な乳房への吸着の見分け方

 

これを使って、個人の経験に基づく考察も取り入れつつ、重要なポイントを整理したいと思います。これが、すべての授乳の姿勢(ポジショニング)のベースになります。

 

 

ポイント①深くくわえさせる

まず、乳房をどのくらいくわえているかに焦点を当てて、2つのイラストを比べてみます。

 

次の図は、上手に吸着できている赤ちゃんの口に入っている乳房組織を、黄色で示したものです。

Fig.1

赤ちゃんは乳房の先端から3 cmかそれ以上、がぶっと深くくわえていることが分かります。

赤ちゃんが吸てつすると、くわえている乳房組織にかかる圧力が急激に変化することで、母乳が効率よく出てきます。

イメージ:ポンプによる水のくみ出し。楽ちん!

 

外側から見るとこんな感じです。

Fig.3

とても大きく口をあけ、あごが乳房についているのが分かります。

 

次に、下手な吸着を見てみます。

Fig.2

赤ちゃんがくわえている乳房はほんの1-2 cm程度、哺乳瓶の乳首をくわえたときのように、口の先だけでとらえている状態です。

赤ちゃんが吸てつしても、乳房組織に圧力変化は起きないので、にじみ出てくる母乳しか飲めないことも。

イメージ:長さ1mの細いストローで水を飲もうとする感じ。大変!

さらに、乳房を舌と口蓋でしっかりとらえられないので、口の中で引っ張ったり舌で擦ったりして、乳頭に痛みや裂傷を起こしやすくなります。

Fig.4

外側から見ると、図3に比べて、かなりおちょぼ口なことが分かります。

 

ポイント②あごが乳房に触れるようにくわえさせる

WHOによると、

「乳頭を赤ちゃんの口蓋の方へ、上に向かって狙いを定め」

「赤ちゃんの下唇は乳房に隠れ、あごが乳房に触れられるように」

吸着させるといいそうです。

そうするためには、赤ちゃんは「お母さんから顔がよく見えるような首の角度で」おっぱいに吸着するといいようですが、そうした場合としなかった場合に、乳管の角度がどうなるかに注目して、比べてみたいと思います。

 

ピンクで示した線を、おおまかな乳管(母乳の流れ)とイメージしてください。

 

Fig.5

お母さんから顔がよく見えるように吸着し、あごが乳房に触れている場合、乳管は乳房のどの方向からも、赤ちゃんの口の中まで大きく曲がることなく到達できます。

 

一方で、たとえ同じくらい深くくわえたとしても、あごが乳房から離れた場合を見てみます。

Fig.10

乳房の真横や上の方から吸着してしまったり、最初は上手に吸着できてもいいポジショニングが保てないと、このように赤ちゃんの口元で、乳管が急に折れ曲がってしまうことが予想されます。

赤ちゃんは乳房を口蓋と舌でとらえているので、口の中では乳頭の角度がかなり上向きになるんですね。

 

乳管が曲がると母乳は出ない

母乳は、オキシトシン反射によって母乳が溜まっている袋がギュッと縮んで、外に押し出される仕組みになっています。その時の母乳の流れをイメージすると、こんな感じになります。

Fig.11

乳管に曲がりがない場合、オキシトシン反射が起こると、赤ちゃんの口まで効率よく乳汁が運ばれます。

 

一方で、乳管が途中で曲がっていると、オキシトシン反射が起こって乳汁が運ばれてきても、大渋滞が起こって、流量も流速も激減してしまうことが予想されます。

Fig.12

曲がったホースから水は出ないのと同様ですね。

 

まとめ

効率よく哺乳するためには、

①深くくわえさせること

②あごが乳房にくっつくような首の角度を保つこと

が重要。

上手におっぱいに吸着できないと、母乳をほんのちょっとずつ飲むことになるので、授乳時間はとても長く(毎回30分以上)、または授乳回数が非常に頻繁(毎回1-1.5時間以下)になってしまうのです。

 

参照

赤ちゃんの抱き方と母乳の飲ませ方

オキシトシン反射の仕組み

こんな授乳間隔は黄色信号です

誰も教えてくれないおっぱいの構造①

ポジショニングは母乳育児を楽にする必須のスキル!

哺乳不足・しこり・詰まり・乳腺炎などのトラブルを根本解決するためには、授乳スキルが重要です。タグ#ポジショニングからチェックしておきましょう。

授乳のタイミングなどについては【母乳育児が軌道に乗るやり方・疑問・悩み】が役に立ちます。

書籍「ちょっと理系な育児(母乳育児編)」に、母乳育児の悩みやトラブルを根本解決するための情報がまとめられています。

2017/5/13更新

 

理系育児_母乳育児編

 

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コメント

    • くま
    • 2017年 7月 25日

    こんにちは

    1人めのときから いつも参考にさせてもらっていました。
    1カ月半の2人めの子のことで 相談させてもらっていいですか
    お忙しいところ 申し訳ありません。

    1人めから わりと よく出る母乳で、水疱、白斑、つまり、しこり、とトラブルは多めでした。同時は授乳が泣く程痛く、ラクテーションの助産院で、片側授乳をすすめられたり、浅飲みが原因とのことで、姿勢を見てもらいました。(今はここには通えません、転居のため)
    2人めは、くわえさせ方には気をつけよう、と意気込んでいましたが
    生後から今になっても 浅くしか咥えてくれません。口を大きくあけることもなく、いいかな?と思う時があっても自分で浅くくわえ直してしまいます。産後直後は水疱があり、痛かったのですが、2人めのせいか今は痛くありません。でも、明らかに浅飲みで 乳首が三角形の形になっていたりします。よく、痛みがないものだと自分でも思います。
    とにかく、深くくわえさせると おえっとなるようで出してしまいます。

    上の子もそうでしたが、豪快なおならに 水っぽい便、泡立っているときもあります。
    泣くまでほっておくわけでないのに、あまり欲しがらないのも気になります。夜間も寝てしまうと、3時間間隔でも少しなめた程度で飲まなくなり、その後2時間くらい寝続けます。

    私は、下手な吸啜が母乳過多が治らない原因かと思っています。
    まず、何から取り組めばいいでしょうか

    • トラブルや母乳過多が改善しないのは、上手くおっぱいをくわえられてないからじゃないかなと考えているものの、上手くくわえさせるのが難しい状況なんですね。
      正解は分かりませんが、私だったらポジショニングの改善と、時間割授乳法を同時進行で試すかなと思います。

      ポジショニングが上手くいけば、浅い吸着でも上手く飲める可能性があるため、くわえ方そのものよりも、ポジショニングの方を重要視しています。
      また、時間割授乳法は、母乳過多を改善するための基本のやり方なので、一度試してみられるといいんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

        • くま
        • 2017年 8月 22日

        お忙しい中、アドバイスありがとうございます。

        あれから、ポジショニングを気をつけてみるようにしました。相変わらず浅飲みですが、ごくごく飲む時は スッキリするので、飲めていると思います。

        時間割も、3時間くらいで区切っています。ただ、あまり複数飲むことなく、次の3時間になりますが。
        2人めということもあるでしょうか、張りがすごくつらい ということはなく まあまあ 柔らかい 乳房で過ごせるようになっています。

        緑で水っぽい便も黄色に戻ったり また緑ががったり、一進一退です。

        ですが 相変わらず、夜眠ってしまい、やっと3時間半くらいあけて授乳時間になった!と思ってもあまり飲まず 泣いて怒ります。抱き上げるだけで怒って、布団に置くと眠ります。(昼間 こうなら良いのですが)
        5時間あけてもダメな時があります。
        よって、夜になると 張って痛くなり、私も1時間ごと起こして試したりしてもダメで、ちょっと疲れがたまってきてしまいました。2歳の上の子が 日中 授乳を邪魔するので 夜はじっくりゆっくり飲ませたいのですが 本人が飲みません。昼間も怒って飲まない時があります。
        綱渡り状態で怖いです。

        授乳拒否の部分も拝読しました。
        もう、夜は無理に飲ませず、私も寝て体を休めた方がいいでしょうか

        • コメントを拝見する限り、まだ母乳が作られる量がかなり多いのかな?と感じました。
          母乳過多の対策をまず優先し、お子さんのおしっこと体重推移が順調であれば、夜間授乳はそこまで必死に頑張らなくてもいいかもしれないなと思いましたがいかがでしょうか。

    • かっぱ
    • 2017年 8月 02日

    以前おしっこ回数が少なく相談したものです。あれから、体重が増えずミルクを足しています。毎回80~100です。2ヶ月半で体重は4.7キロです。あきらめ半分以上で助産師に会いました。おっぱいよくでていました。産後、おっぱい張ったこともなく、搾乳も出来ないのに。吹き出ていました。驚きでした。でも、当人は飲めていません。
    おっぱいは大きめで、下に下がり気味です。ポジショニングで、飲めるようになりますか?もう、どうしたらよいのでしょうか(;_;)

    • 母乳は出てるけど、お子さんはうまく飲めていない可能性があるんですね。
      その助産師の方はどんなカウンセリングをされたのでしょうか。ポジショニングやミルク補足についてアドバイスはなかったですか?

      コメントからは、まだこのブログをあまり読まれていないのかなと感じたので、もしよければ、こんなサインから母乳不足とは判断しないでくださいに貼ってある各リンクから読んでいただけると、どこから手をつけたらいいか分かるかもしれません。
      基本的な(とは言ってもなかなか量は多いのですが)知識を身につけられると、不安や苦労をぐっと減らせるので、遠回りのようで近道なのです。

    • yumyum
    • 2017年 9月 15日

    はじめまして。こんにちは。
    1人目は母乳がでなくて(出てないと思っていて)混合→ミルクとなってしまったため、2人目は母乳でと思い、こちらのサイトにたどり着きました。
    子供は1ヶ月、病院ではミルクを足していたため、現在も200ml前後ミルクを足している状態です。

    疑問というか、悩みなのですが…。
    ①入院中は気にならなかったのですが、空気を飲んでしまうようで、母乳でも哺乳瓶でも、プップッと飲む度に音がします。たまにゴグッと空気をのんでしまいます。ポジションが悪いのだろうと、何度もやり直しますが、上手くいきません。続けて飲んでいると、いつの間にか解消されます。
    くわえ直しをすると、母乳もぴゅーと飛んでいってしまい、焦って上手くできないというのもあります。
    ②①に関連するのですが、子供の口が小さいです。私の乳首、乳輪は大きめだと思います。大きな口が開けられないというか、大きく開いても小さいです。大きくあけた状態でも、疲れるのか、気に入らないのか、途中で顔を動かして乳首を外したり、くわえたままブンブン振ったりと、上手くいきません。どうしたらよいのでしょうか。
    ③できるだけ、飲みたいだけと思って長い時間でもくわえさせていますが、長時間続けても離さない時があります。哺乳瓶で一気に飲ませると、気が済むようで寝てくれることが多いです。これを解消する方法はあるのでしょうか。
    長々とすみません。よろしくお願いいたします。

    • はじめまして。
      もっと授乳をスムーズにできないか試行錯誤されているんですね。

      ①吸てつする時に音がするのは乳房への吸着が上手くいっていないサインで、おっしゃる通り、ポジションが良くない可能性があります。

      ②乳首と乳輪の大きさはあまり気にしなくていいんじゃないかなと思います。お子さんが大きな口を開けない場合は、個人の経験ではそこは気にせず、やはりポジショニングに集中する方が上手くいくようでした。
      上手く吸着できない場合に、一度口を外してやり直していらっしゃるようですが、口は外さず、ポジショニング(特に、首の角度とねじれに注意!)を調整してみてはいかがでしょうか。せっかく深くくわえさせてもすぐ浅くくわえ直したりすると思うので、まずは好きにくわえさせて、あとはポジションでカバーというイメージです。

      ③授乳に時間がかかる主な理由は
      ・眠い(そのまま付き合っても大丈夫)
      成長加速現象(そのまま付き合っても大丈夫)
      ・ポジショニングが良くない(まずはポジショニングを改善することに集中し、ミルクを飲ませたいならできるだけコップを使うといい)
      が考えられます。

      不安を減らすには、母乳不足感の情報もお役に立てると思います。

        • yumyum
        • 2017年 9月 22日

        ご回答ありがとうございます。
        乳首の大きさと口の大きさは気にしすぎなくてよいのですね。少しほっとしました。
        ポジショニングが大事なのですね。
        もう一度見直して、実践してみたいと思います!
        ありがとうございましたm(__)m

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