月齢に対して体重が低いかどうかの判断方法|WHOガイドライン

赤ちゃんが産まれた時からついてまわる、体重不足(≒母乳不足)という不安の種の多くは、適切な母乳育児の知識を知らない人による“迷信的アドバイス”から生み出されたものです。

適切な判断方法を知って、迷信的アドバイスに惑わされずに正しい対処法ができるようになるためのガイドラインです。

 

WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」

5章 乳幼児の栄養法の継続的支援

5.4 状況を評価しましょう

5.4.1 子どもの成長を評価しましょう

<月齢に対して体重が低い場合>

子どもの体重を1回量っただけでは、子どもの成長に関する情報はあまり得られません。

その子どもの月齢に対して、標準値と比べて体重がどうであるかが分かるだけです。

 

体質的に小さい赤ちゃんもいれば、早産や子宮内胎児発育遅延という理由で低出生体重で産まれた赤ちゃんもいます。

このような子どもたちは月齢に対する体重は低いかもしれませんが、一番低いスタンダードカーブに沿って順調に成長することができるでしょう。

成長に問題がないかを十分に評価することと、適切なカウンセリングを行うことが必要です。

 

子どもを経過観察し、期間をあけてもう一度体重を量ってみれば、状況が明らかになるでしょう。

 

しかし、月齢に対して体重が低い場合は、栄養法が良くないことや病気にかかっていることなどのサインにもなります。

 

体重月齢曲線の-2zスコア曲線よりも下にある場合は、低体重です。

体重月齢曲線の-3zスコア曲線(一番低いスタンダードカーブ)よりも下にある場合は、深刻な低体重です。

深刻な低体重の子どもは深刻な栄養失調である危険性があるので、緊急事態として特別な注意を払う必要があります。

 

<ポイントのまとめ>

  • 体重を一回量っただけでは問題があるかは判断できないため、適切なカウンセリングと経過観察が必要
  • 「平均より体重が低いかどうか」よりも、「それぞれの出生体重なりにzスコア曲線に沿って増えているかどうか」の方が重要
  • 体重月齢曲線-3zスコア曲線より低い場合は、深刻な栄養失調の危険性がある

 

赤ちゃんが体重不足だった場合、まずするべきことはミルク補足ではなく、授乳や補完食(離乳食)の与え方のチェックです。

「哺乳不足」のほとんどは、やり方がよくないことが原因になっています。

代替栄養を利用することが妥当な医学的根拠とは

母乳不足の原因になる授乳の仕方

3章まとめ|補完食は離乳食とは別のものです

2017/4/11更新

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コメント

    • きゅーちゃん
    • 2019年 5月 10日

    はじめまして。
    参考になる記事をたくさんありがとうございます。

    現在5か月の子供の成長に不安があります。
    2300gで生まれ、生後11日で2390g、32日で3134gとなりました。
    成長曲線の-3SDの少し上です。
    その後、生後2か月からは-3SDの曲線を綺麗になぞるように成長しています。
    これは「深刻な低体重」でしょうか。
    一か月検診までは母乳外来へ行き、問題ないと言われ、
    それ以降母乳外来へは行っていません。
    4か月検診でも小児科医から、問題ない、この子のペースだと言われましたが心配です。
    完全母乳で育てており、母乳不足感があります(張りが弱い、搾乳量が少ない)。
    ですが実際のところ母乳不足かどうか分かりません。
    ポジショニングの記事を読み、自分なりにチェックしました。

    今後は補完食での栄養補給に注意しますが、
    他にどんな対策が必要でしょうか。

    • 初めまして。周囲からは順調だと言われているものの、母乳が足りているのか気になっていらっしゃるんですね。
      結論としては、複数の医療スタッフにお墨付きをもらえているなら大丈夫なのではないかと思います。
      WHOも、低出生体重で生まれた子どもは、「一番低いスタンダードカーブに沿って順調に成長することができる」と言っていますね。
      対策としては、母乳育児を楽にするためには自信を回復する必要があると思うので、もう読まれた記事もあると思いますが、母乳不足感あたりのテーマがおすすめです。

        • きゅーちゃん
        • 2019年 5月 14日

        お返事をありがとうございます。
        WHOの指針と照らし合わせても「問題ない」ということで、安心しました。
        今後も参考にさせて頂きます。

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