離乳食の10倍粥は薄すぎる!?補完食のカロリーの目安とは
「離乳食の初期は10倍粥から」と指導されたことはありませんか?
WHOが推奨する「補完食」と比べて、日本の「離乳食」のカロリーは、どのくらい満たせているのでしょうか。
WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」
第3章 補完食
3.1補完食の指導原則
食事が実際にどれだけの量(重さや体積)が必要になるかは、その食事のエネルギー密度がどのくらいかによります。
つまり、kcal/mlまたはkcal/gで考える必要があります。
母乳は、およそ0.7 kcal/mlです。
補完食はもっと幅がありますが、通常は0.6-1.0 kcal/gの間です。
水分が多く、薄められた食事の場合は、およそ0.3 kcal/gしかありません。
補完食が1.0 kcal/gになるためには、食材の濃度をとても濃くすることと、最もエネルギーの高い食べ物である脂質や油分を含む必要があります。
補完食は母乳よりも高いエネルギー密度を持つ必要があります。
つまり、少なくとも0.8 kcal/g以上必要です。
表1で推奨されている食事量は、補完食が0.8-1.0 kcal/gであることを想定したものです。
もし補完食のエネルギー密度がもっと高ければ、エネルギーのギャップを埋めるために必要な量はもっと少なくなります。
エネルギー密度がもっと低い補完食の場合は、エネルギーのギャップを埋めるために、さらに多くの量が必要になります。
補完食を始めると、子供は授乳回数が減る傾向があるので、哺乳量が減ってしまいます(17)。
よって、食事で効果的に母乳の代わりをする必要があります。
補完食のエネルギー密度が母乳よりも薄いと、母乳のみで育てていた時よりも、摂取できるエネルギーのトータル量が減ってしまいます。
これが栄養不良の重要な原因となってしまいます。
補完食のカロリーは、100 gあたり80 kcal以上必要なんですね。
ちなみに、ガイドラインでダメ出しされている「水分が多く、薄められた、およそ0.3 kcal/g しかない食事」ですが…ずばり、10倍粥(五分粥)のことなんです。
5倍粥(全粥)で、やっと0.7 kcal/g程度です(文科省の食品成分データベースより)。
私たちの離乳食は薄すぎたんですね。
開始初期(月齢6カ月)から、お粥に調理した肉や野菜などを混ぜたり、濃いおかゆを食べさせたりするべきなんだそうです。
食事が薄くなるほど、必要な量は多くなります。
食事を濃くすれば、少しの量で必要な栄養を満たすことができます。
かなりたくさん食べられる赤ちゃんは、栄養の濃度が薄い食事でも必要量を摂取できるかもしれませんが、多くの赤ちゃんは、初期から栄養の種類や濃度に気をつけてあげた方がいいかもしれませんね。
補完食についてのWHOのガイドラインは【第3章まとめ|補完食は離乳食と別のものです】を読めば、全てが分かります。
行儀が悪い・食べない・食べ過ぎる・アレルギーなどについての悩みは【離乳食の悩みから解放されたい!補完食のヒント集】をどうぞ。
2015/10/21更新
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
いつも興味深く拝見しています。
母乳育児についてこれまで参考にして日々授乳してきました。そのおかげか現在トラブルなく母乳育児ができています。
子供が4ヶ月を過ぎ、補完食のページも読み進めました。
そこで質問があります。見落としていたら申し訳ないのですが、6ヶ月になって補完食を開始する際のお粥は全粥で良いのでしょうか?
最初から、いわゆる全粥で構わないようです。ただ、スタートしたばっかりの時期は舌の動きが未熟なので、粘度が高いものや米粒そのままの大きさでは飲み込めないこともあるので、適宜薄めたりつぶしたりするといいかもしれません。あくまで個人の経験談ですが、こんな記事もありますので参考までに→離乳食スタート時のお粥の作り方
重要なポイントは、
・お粥の水とお米の割合は気にする必要はない
・食べられる範囲でできるだけ濃い方が栄養摂取が効率的
・具体的なやり方はその子に応じて柔軟に
という感じでしょうか。
回答ありがとうございます。
粒に関してはブレンダー等でつぶせば良いかと思ってましたが、粘度まで考えていませんでした。
いずれにせよ、子の反応に応じて臨機応変に変えるべきですね。
分かりやすいアドバイスありがとうございました。