パンパンなのに母乳は出ない!?乳房の怒張|原因と対処法
「産後数日間に、両方の乳房が膨張してむくみ、赤くなったり痛かったりし、お母さんが発熱することもある」という症状の、原因と対処法です。
WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」
第7章 乳房の管理と母乳育児におけるさまざまな障害
7.2 乳房の怒張(1)
<症状>
乳房が膨張してむくみ、表面の肌は輝いたように見え、まばらに赤くなります。
通常、両方の乳房全体に症状が現れ、痛みを伴います。
お母さんは発熱することもありますが、24時間以内に鎮静します。
授乳後、乳頭が平たく固く伸びているかもしれません。
それは、「赤ちゃんの吸着の仕方が悪く母乳を除去できていない」ことを示しています。
母乳はあまり出ません。
<原因>
特に産後数日間に、乳房に母乳がいっぱいになった状態で母乳の除去に失敗すると、同時に乳房への血液の流入も増加していることで、うっ滞を引き起こします。
母乳が適切に除去されない理由としてよくあること
- 授乳の開始が遅れたこと
- 頻回に授乳しなかったこと
- 乳房への吸着が下手なこと
- 効率的でない哺乳
<対処法>
- 母乳を除去しなければいけません。
赤ちゃんが上手に吸着して哺乳できれば、赤ちゃんが望むだけ頻繁に授乳しましょう。赤ちゃんが上手に吸着できなければ、手や搾乳器を使って、乳房が少し柔らかくなるまで数回搾ります。
そうすると赤ちゃんが吸着しやすくなるので、その後は頻回授乳を行います。 - 搾乳の前に温湿布を乳房に貼ったり、温かいシャワーを浴びることで、母乳が出やすくなります。
授乳や搾乳の後に冷湿布を使うことで、むくみを減らすことができます。 - BFHでは乳房の怒張が起こることは少ないです。
なぜなら、母乳育児を軌道に乗せるための10ステップを実践し、産後すぐに母乳育児を開始する支援をしているからです。
「おっぱいがパンパンでも、母乳は出ない」という、矛盾したような状況が起こりうるのですね。
母乳が溜まって乳房全体を圧迫するので、血液までも停滞し、ますます乳管が圧迫されて、母乳が外に出られなくなるのかもしれません。
乳房の怒張は、母乳育児の管理方法がよくないために起こります。
生理学的な原因で起こる膨満とは、別のものなんですね。
「赤ちゃんが上手に吸着できない場合は、乳房が少し柔らかくなるまで搾乳してから、授乳する」ということは、とても大切です。
搾りすぎると、過分泌になる危険性もあります。
乳輪部分が柔らかくなれば、十分、吸着しやすくなります。
特に母乳育児初心者の場合は、乳首に柔軟性がないことも多いので、これをしないと上手に吸着できず、乳頭の痛みや裂傷の原因になってしまいます。
<sumireの経験談>
私は第一子の産後2-3日くらいに、まさにこの症状に悩まされました。
痛くて寝ることもできず、本当に辛かった…。
私が第一子を出産した病院は、「出産した次の日から母子同室」の所で、私が赤ちゃんとの母乳育児をスタートできたのは産後36時間以上経ってからだったと思います。
当時は知識もなかったので、ただのんびりしていたのですが、「産後すぐから24時間母子同室」がどれだけ重要なのかを「痛感」できた経験でした。
母乳育児の立ち上がりに必要なのは母親の努力より医療システム!
BFHと名乗る病院が達成しなくてはいけない条件は何?近くにBFHがなくても、できるだけそれに近い産科施設を選ぶための見分け方は?
など、産科施設のシステムについての話は第4章まとめ|赤ちゃんに優しい病院、BFHとはにまとめてあります。
母乳育児を快適にするためには、#母乳の生理学も役に立ちます。
2017/2/10更新
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