離乳食は食べずに母乳ばかり!断乳するべき?

母乳育児をしている場合、離乳食を食べないことを相談すると、「授乳時間を空けましょう」「なるべく早く断乳を」などとアドバイスする専門家もいますよね。

本当にそうすれば問題解決できるのでしょうか?

まず、「離乳食」は時代遅れになりつつあり、やり方も科学的根拠に欠けることが多いので、ここでは「補完食」として考えます。

補完食の目的は、「月齢6カ月~23カ月の子どもに必要な栄養を補うこと」です。月齢6カ月からは「母乳やミルクだけでは栄養素やエネルギーが足りなくなり始める」ので、補完食を与え始めるのです。

1歳の子どもの、母乳と補完食の栄養バランス(図解)】の図を見てみると、補完食で補うべきギャップがイメージできます。

この図は、平均的な哺乳量の550 mlを元に計算されているので、それよりたくさん飲む子どもは当然、ギャップがそれだけ少なくなります。

また、月齢が低いほど、このギャップは小さくなるでしょう。

母乳を飲んで、それで満足していて成長も順調なら、エネルギー的にほとんど満たされているということでしょう。

小食はそんなに心配しなくても大丈夫です(^^)

補完食が始まっても、母乳は重要な栄養源

母乳育児に自信をなくしそうな時は、【母乳を2歳以上まであげるべき4つの理由】でモチベーションアップを。

特に0歳の間は、母乳を別のもので置き換えると(断乳または減乳して、ミルク・フォロミ・食事でまかなおうとすると)、赤ちゃんが摂取する栄養の質と量が減ってしまうリスクもあります。


母乳では補完することが難しい栄養素を優先して一口!を目指す

特に、鉄分は必要な量とのギャップが大きいので、いくら母乳をたくさん飲ませても次第に足りなくなっていきます。

それを埋めるためには、動物性食材(特に肉類)が必須です。

つまり、主食や野菜はほとんど食べなくても、動物性食材だけは不足しないように、優先して試してみるといいでしょう。

「鉄分といえば:ほうれん草や納豆」、のようなイメージがあるかもしれませんが、野菜や豆類で補うより、動物性食材で補う方が、ずっと少ない量で満たすことができます。(もちろん野菜や豆類でも、鉄分補給はできます)

「母乳や、手間をかけずに作った離乳食は栄養がない」というのは間違ったイメージなので、不安に思わなくて大丈夫!

フォロミやベビーフードよりも、母乳や大人の食事から取り分けた補完食の方が、栄養源としては優れているのです。

結論としては、母乳も重要な栄養源の一つであり、「離乳食を食べないなら断乳」というのは、科学的根拠のない迷信的アドバイスということです。

そこよりも、「どうやったら密度の濃い栄養豊富な食事を一口食べる気になるか」の観察に注力した方が、ずっと健康に成長できるでしょう。

こちらもどうぞ→なぜ「母乳の子は食が細い」と言われるのか

補完食についてのWHOのガイドラインは【第3章まとめ|補完食は離乳食と別のものです】を読めば、全てが分かります。

行儀が悪い・食べない・食べ過ぎる・アレルギーなどについての悩みは【離乳食の悩みから解放されたい!補完食のヒント集】をどうぞ。

2017/4/7更新

 

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コメント

    • momo
    • 2018年 7月 12日

    はじめまして。
    乳腺炎になったときにsumireさんの書籍に出会い、以後わたしの母乳育児のバイブルにしております。(本当はもっと早く出会いたかったです!笑)

    現在息子が1歳4か月になりますが、まさに母乳ばかり!です。
    補完食を始めたころは何でも食べていましたが、最近はお米や果物といった好きなものばかり。気が向いたら肉を少し食べ、野菜はぺっペ、ぽいっ。
    意思表示がはっきりしてきて、スキあらばおっぱい!と猛アピール。
    そのうち食べるようになるさ、と思ったり、
    こんなにおっぱいばかりで大丈夫かなぁと思ったり…
    モヤモヤ…

    でもたくさん飲んでいる分、必要な栄養とのギャップが少ない、とわかって少し安心しました。
    限られた母乳育児の時間、大事にしようと思います。

    これからもブログを楽しみにしています(^^)

    • はじめまして。
      思うような食事にならないことが気になりつつも、お子さんのペースで大丈夫なんだと信じたいという状況でしょうか。

      お米と果物が好きなんですね、素晴らしいと思います!
      たとえば、南国系の色の濃い果物などはいかがでしょうか?WHOのガイドラインでは、色の濃いフルーツも、野菜と同列に扱っているのです。
      肉類の栄養素は、貯蔵しやすいものも多いので、気が向いた時にちょっとずつかせげればいいかもしれませんね。
      母乳も力強くフォローしてくれてると思います。

      本もお読みいただきありがとうございます。
      お互いのやり方を最適化するお手伝いができれば幸いです。

    • よっしー
    • 2019年 1月 12日

    はじめまして。妊娠中からコチラと書籍等を読み、楽しく母乳育児を進められました。
    現在、生後9ヶ月になる娘が食事を全く食べません。WHO補完食を参考にして6ヶ月から始め、色々と食材や形、味を試していますが、時々口を開いたところに小さじ半分を入れるような状況です。1日に1口食べれば良い方です。母乳は10回以上で、身長、体重は曲線真ん中あたりで経過しています。7ヶ月から保育園に行き、ミルクを飲まないから断乳、食べないから断乳と言われますが、そのうちに…とごまかしています。
    全く食べず1歳頃から食べる子もいると聞きますが大丈夫なのか、断乳すべきなのか、と悩んでいます。アドバイス等頂けると嬉しいです。

    • はじめまして。楽しく母乳育児を続けてこられたとのこと、よかったです!

      お子さんの食事について心配していらっしゃるんですね。
      結論から言うと、順調に成長されているのであれば、単純に、今は栄養補給を母乳に頼っている時期なだけだと思います。

      0歳、1歳のお子さんは(おそらく、2歳のお子さんでさえ)、母乳と食事への依存度はそれぞれ違うので、平均値に合わせなければいけないということはないです。
      例えば、1日一口であれば、鉄分を優先するといいのかな?と思うので、「ベビーフードなどで市販されているレバーペーストを混ぜた何か(米・バナナ・その他嫌がらないもの)」を一口目指すなどいかがでしょうか。
      とはいえ、妊娠中の母体の病気やお子さんの病気等がなければ、赤ちゃんは1年以上の必要な鉄分量を蓄えて生まれてきます。
      食事の鉄分補給は、おまじない程度に気楽にチャレンジしてみてください。

      ちなみに、母乳過多のサインはないでしょうか?
      (母乳過多の場合、飲み過ぎるために食事なんて入らない、というパターンも考えられます。母乳過多を改善すれば、飲み過ぎはおさまります)

      保育園は、断乳推奨なんですね。ミルクのみでも食べない子は全然食べないし、母乳を10回以上飲んでいても食べる子は食べるのに・・・!
      栄養学的にも、育児スキルとしても、個人のプライバシーや意思の尊重方法としても、アプローチを変えて欲しいところです。
      そうやって、子どもが大人の思い通りにならない時に、寄り添うのではなく母親に原因を考える人はいますよね。
      そういう人はこれからも成長段階に応じて(生活リズムやトイレトレーニングなど)色々言ってくるかもしれませんが、私はよっしーさんが自信を持って選択して行けるよう応援しています。

      全体的によく観察していらっしゃるし、いい調子だと思います。

        • よっしー
        • 2019年 1月 19日

        お返事ありがとうございます。
        先日9−10ヶ月検診を受け、何の問題もありませんでした。医師にも相談しましたが、母乳あげれば大丈夫、と言われました。
        保育園では椅子に座ったりエプロンで大泣きだそうで、食べることが嫌いにならないか心配です。今も断乳をすすめられていますが、食べない上に断乳しては栄養、脱水も心配なので、そのうちにとごまかしていこうと思います。
        自宅では、ここ数日は芋を手づかみで少し食べています。肉も食べてほしいので、レバーも試してみます。
        しっかり成長はしているので自信を持って母乳をのませていきます。

    • りゅーたん
    • 2019年 7月 28日

    初めまして!
    こちらのサイトと書籍を読ませていただき、育児中たくさん助けてもらっています!!
    既にコメントされている方と同じ状況で、現在8ヶ月の2人目の男の子が全く食べません。
    母乳をたくさん飲んでいるので、そこまで気にしてないのですが…

    『母乳過多ではないか?』という言葉が気になり、コメントさせていただきました。

    現在8ヶ月になるのに、2,3時間おきに溢乳反応が起きるのは、やはり母乳過多のサインでしょうか?
    6ヶ月頃まではあまりに張るので、時間割授乳法もずっと試しつつも、詰まって毎度後絞りをするような状況で…。最近やっと搾乳器を使わなくてすむようになってきましたが、やはり溢乳反応は収まらず。

    夜中も5回ほど起きて添い乳しています。
    母乳過多で、飲みすぎで食べないのもあるのでしょうか?

    教えてください。
    よろしくお願いします。

    • 初めまして。返信遅くなってすみません。その後いかがでしょうか。
      母乳過多と離乳食の関係は、情報が不足しているのですが、読者の方々とのやり取りの中で、可能性があるかもな?と思っている次第です。
      単純に、母乳で物理的にお腹がいっぱいになってしまうと、食事は入らない可能性はあるかな?とは思います。
      絶対に対処しなければいけないというほどには感じませんが、一度母乳過多の対処法を試してみる価値はあるんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

      本も読んでくださりありがとうございます。
      お二人がいいペースを見つけられるよう応援しています。

        • りゅーたん
        • 2019年 10月 18日

        お返事ありがとうございます!
        確認が遅くなり大変申し訳ありません。

        現在11ヶ月…あと1週間ほどで1歳を迎えますが、状況変わらず『全く』食べません。

        母乳の飲みすぎかなと思い、添い乳をやめて夜中は2,3回に減りましたが…食べ物に興味がないのか、ありとあらゆる方法、食材を試しても断固として口を開けません。

        やはり周りには断乳を、と言われます。

        *母乳育児は続けたい、でもこのまま全く食べずに1歳以降も母乳100%で大丈夫なのか?

        *「断乳を」と言われるが、全く食べられる食材がないまま、断乳して本当に食べるようになるのか?

        5ヶ月後に仕事復帰も控えています。
        上の2点について、お時間の許すときに、アドバイス頂けると幸いです。
        よろしくお願い申し上げます。

        • 返信が大変遅くなりすみません。
          その後いかがでしょうか。

          「多くの子どもは」という主語で語られることが多い育児、かつ人の命がかかっていて、親は心配が尽きることがないですよね。
          ほんとうに、食べてくれたらいいけれど、食べない子は食べないだろうから、それなりに最適な方法を模索するしかないですが・・・

          もうすぐ仕事復帰されるとのことですが、その前に、保育園で体験給食をしてみるのもおすすめです。
          子どももいつもと違う環境で違う反応を見せる可能性もありますが、親が「いろんな食べ方、食べさせ方があるんだな」と学べるので、とてもいいです。

          母乳のせいで食べないのは、(母乳過多をのぞいて)考えにくいので、そこに原因を探すより、他に原因を探した方がいいのかなと思います。
          お子さんの皮膚感覚や味覚が敏感で、慣れないものへの拒否感が強かったり、おっぱいを飲むことで大きな安心感が得られていたり。
          どちらもよくあることで、それに対して「大人の常識」を無理強いすることは、メリットよりデメリットが大きくなってしまうかもしれないので、そこは頑張らなくてもいいかもしれません。

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