なぜ「母乳の子は食が細い」と言われるのか

母乳育児をしていて、子どもが育児本に書かれている量の離乳食を食べられないと、「母乳のせい!?」と不安になったことのある方は多いのではないでしょうか。安心して、母乳育児と離乳食(補完食)を両立するための情報をまとめます。
比較的小量でも必要な栄養素とエネルギーが補える
WHOガイドラインによると、実は、母乳を飲んでいる子は、母乳を飲んでいない子に比べて、必要な補完食の量が少ないのです。
母乳を飲んでいる場合は、もともと、十分な栄養を補うために必要な食事量は、比較的少量で足りるんですね。
断乳の目的とは?
一般的に「母乳の子は食が細い」とほぼセットで、「断乳すれば小食が治る」という俗説もついてきますが、断乳すれば、より栄養法のハードルが上がる(母乳で簡単に摂取できていた栄養素を食事で補うために、必要な食事量もより増える)ことは知られていません。
WHOは、そもそも幼い子はご飯を食べる能力が低いという前提で、母乳育児の継続を推奨しています。「たくさん食べられないから断乳」はむしろ逆で、「幼い子どもはたくさん食べられないから、できるだけ2歳以上まで授乳を続けよう」というのが、世界中の子どもに共通する基本のやり方なんですね。
(経験的には、栄養法に関係なく、個人によって・時期によっても食べっぷりは様々なので、タイトルの説は信頼性が低いと感じます。その昔、1歳までに早期断乳させるための口実として流行った定型句なのかもしれません)
マニュアル志向の「離乳食」はハードルが高い
幼い子はたくさん食べられないことも多いので、「食べない悩み」は世界共通で見られるようです。さらに、日本では、離乳食もマニュアル志向になっていて、そもそも赤ちゃんに上手にご飯を食べさせる文化が根付いていないのかもしれません。上手いやり方を見る機会もあまりないですよね。
また、日本流の「離乳食」は、カロリー密度が低く、食材の種類が限られていて、食事回数も少ないので、なかなかうまくいかないこともあるでしょう。量と同時に重要な指標である「カロリー密度」という概念が、日本の離乳食には無いので、必要量についての客観的な議論も難しい状況です。
栄養法に関わらず、離乳食で悩む親は多いけれど、母乳を飲んでいる場合だけ「やっぱり母乳だから…」と言われるのは、単なる思い込みかもしれません。
呪文が与える影響は小さくない
日本には、育児をするうえで何か問題があると、原因をおっぱいと結び付けて考える慣習がありますが、その考え方自体が、育児がうまくいかなくなる原因になりうると考えられます。
育児に限らず、「〇〇だから上手くいかないんだよ」などのネガティブなセリフを呪文のように浴びていると、
ほんの少し上手くいかないことがある→やっぱり〇〇のせい!?と不安になる→自信を失って冷静な行動がとれない→うまくいかなくなる確率が上がる
という負のスパイラルに陥ってしまうように思います。
つまり、「母乳だから食べない」とみんなに言われるだけで、実際にそうなってしまう確率が上がりうるのです。余計なお世話ですね。
常に、世の中にはいろんな要素が存在することを意識するようにすると、「自分のやり方は間違っているのでは」という不安に陥りにくいかもしれません。
補完食の目的は、乳離れじゃなくて栄養補給
WHOが推奨する補完食は、目的がシンプルで栄養豊富です。そもそも、なぜステップアップしなければいけないの?どんなものをどう調理すればいいの?など、基本的な話は第3章まとめ|補完食は離乳食と別のものですが役に立ちます。食べない・アレルギー・マナーなど、離乳食の悩みを減らすには離乳食の悩みから解放されたい!補完食のヒント集をどうぞ。
2017/5/13更新
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