楽な冷凍母乳の作り方と解凍方法
搾乳生活は簡単ではないので、できるだけお世話をする大人の労力を減らし、赤ちゃんが受ける恩恵を増やすために、母乳育児の科学的知識と経験談をもとに、情報をまとめました。
搾乳量について
搾乳は、1回に搾る目標の量は決めない方が気楽にできます。
搾乳は、直母の場合と同じで、一回でたくさん搾れなくても、回数をかせいでトータル量が足りればいいんです。
すべてを搾乳でまかなう場合は、3時間おきなど時間を決める必要もなく、1日で8−12回以上を目安に、都合のいいときに、楽に搾れる分だけ搾乳することもできます。
こまめに搾乳するやり方の例
・冷蔵する場合
何回分かの搾乳を、密封できる容器で冷蔵しておいて、量が溜まったら母乳用保存バッグなどに移して冷凍保存
※最初に搾乳したタイミングから24時間以内に冷凍する
・室温放置する場合
密封できる容器に搾乳して室温放置し、追加した搾乳もまとめて、冷凍する(冷凍せずにそのまま赤ちゃんに飲ませることもできます)
※最初に搾乳して8時間以内に冷凍する
密封できる容器…フタ付きボトルや、ラップで密封したコップなど。搾乳に使う道具は、洗剤で洗い、よく乾かしたものを使います。消毒する必要はありません。
参照
搾乳の仕方と保存方法について
搾乳器…手で搾乳するより短時間で楽に搾乳できるかもしれません。
手での搾乳…コップに搾乳すると、洗い物が楽です。
保存方法
母乳用保存バッグを使うと、冷凍庫で場所をとりません。熱が伝わりやすいので、素早く解凍できます。
フタ付きのボトルなどに入れたまま冷凍することもできます(満タンにして凍らせると、水分が膨張して破裂するので、すき間を残しておく)。
冷凍保存する必要がない場合は、冷蔵保存や常温保存にした方が、飲ませるのが楽です。
母乳の成分も、より壊れにくいと考えられます。
冷凍母乳の解凍方法について
搾乳は、人肌の温度になるように温度を調整する必要はなく、常温程度になれば飲ませることができます。
●急に少しだけ必要になった場合の例
ぬるま湯で湯煎すると、素早く準備できます。
このぬるま湯は、わざわざ温度を測って作るのは大変なので、熱湯と水道水を混ぜて、熱めのお風呂くらいにすればOKです。
(ヒトの体温を考えると40~50度くらいまでは耐えられると考えられる)
やけどをするということは、皮膚のタンパク質などが変性してしまうということです。
なので、湯煎のお湯が、触れないほどの熱さだと、母乳の成分も変質してしまう可能性が高いです。
冷凍母乳を解凍する場合は、レンジや熱湯で湯煎すると、加えるエネルギーが大きすぎて母乳の成分が変質しやすいと考えられるので、可能なら避けたいところです。
しかし、そうしたとしても、母乳の恩恵はいくつも残る(熱エネルギーによって効果が失われないものもたくさんある)と考えられるので、最終手段としてはアリだと思います。
●使うタイミングがあらかじめ分かっている場合の例
・水道水に、母乳パックなどを浸して放置する(常温になったらそのまま飲ませる)
※冷凍庫から出して8時間以内に飲ませます
・冷蔵庫に母乳パックを移して、ゆっくり解凍しておく(飲ませる直前に、常温程度になるまで軽く温める)
※冷蔵庫に移してから24時間以内に飲ませます
搾乳にはコツが必要!
搾乳の飲ませ方・搾乳量・搾乳の保存期間などの基礎知識から、搾乳量を増やすためのコツや搾乳生活を楽にする裏技まで、タグ搾乳から読むことができます。自分たちに最適な、負担の少ないやり方を見つけられるといいですね。
2017/1/31更新
コメント
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解凍後の搾乳の保存時間はどうなのでしょうか??
お湯で解凍した場合と
冷水で解凍した場合でも違うようなきがしますが…
解凍後の保存期間についての話は見たことがないです。
「解凍したらすみやかに補足する」ことが、大前提になっているのかもしれませんね。
実際に家庭でお世話するときには、赤ちゃんの状況によってタイムラグができることもあると思いますが、「できるだけ早めに飲ませる」を心がけるといいのかも。
(衛生面の問題と考えて、補完食の話を参考にするなら、2時間以内でしょうか)
いつも大変参考にさせていただいております。
もしわかれば教えてください。
電子レンジで冷凍母乳を解凍した場合、どの程度栄養成分が変質してしまうのか、実際の研究データのようなものはあるでしょうか。
変質があるとして、それが実はそれほど気にするほどのことではないとかだったりしないのかな、と希望的憶測をしてるのですが。。。
レンジのほうが湯煎よりも手軽で早いので、どうしても電子レンジを使いたくなっちゃうのですよね。。。
データは持ってないのですが、母乳の成分一覧を見てみると検証が難しそうだなーと思います。
リンク先の左側のリストが、母乳に入っている成分の一覧です(ちなみに右側のリストは人工ミルクに入っている成分一覧)
電子レンジの加熱に耐えられそうなものも一部ありますが、全体ではどのくらい温存できるんでしょうね。成分は一つ一つ構造的な丈夫さが違っていて、条件によってもだいぶ変わりそうですね。
これらの物質を研究で用いる場合も、電子レンジで加熱することはありえないので、使わない方が無難だろうなと思います。
でも、「電子レンジがダメなら冷凍母乳は諦めてミルクに」、というような状況なら、電子レンジで解凍(熱くなるまで加熱しない)を選択した方が、メリットは大きいと思います。
全ての成分が壊れるとは考えにくく、母乳でしかとれない成分も残る可能性があるからです。
冷凍母乳の使用頻度やお世話をする大人の状況によって、よりよい選択ができるといいですね。