「授乳は3時間おきに1日8回」を気にしなくていい理由

WHOの乳幼児の栄養法のガイドラインは、何年もかけて世界各国でされた様々な研究をもとに策定されています。その一環で、「赤ちゃん主導の授乳をしたらどんな授乳パターンになるのか?」を調べた論文がいくつかあるので、それらをもとに、これから授乳回数や授乳頻度のリアルな話をしていきたいと思います。

 

実際の平均値はどのくらい?

哺乳回数

※赤ちゃんがおっぱいをくわえた回数

一番少なかった赤ちゃんで6回、一番多かった赤ちゃんで18回

研究デザインによって幅が大きくなりそうなテーマではありますが、今回は、授乳回数の平均値はおよそ11回/日となりました。

 

哺乳間隔

※おっぱいを飲み始めた時刻から、次の授乳を開始した時刻までの間

一番短かった場合で4分、一番長かった場合で10時間58分

(ちなみに、平均すると2時間18分±43分)

 

→つまり、巷で言われているような「3時間おき1日8回」という目安は、平均値ですらないようです。

 


授乳回数の平均値から分かること・分からないこと

授乳回数に限らず、いくら個人差が大きい数値であろうとも、平均すれば、必ず一つの値が得られます。平均値は便利ですが、扱い方を間違えば、全く役に立ちません。

 

●平均値から分かること:ヒトの授乳の特徴

たとえば、この調査で得られた結果から、授乳頻度は

・1日2-3回のように、少なくはない

・1日数十回・数百回のように、多くはない

などの目安が分かり、ヒトの授乳の特徴がなんとなく見えてきます。

 

何らかの理由で「赤ちゃん主導の授乳」ができない赤ちゃんに、大人がリードして授乳するための目安にもなるかもしれません。

 

●平均値から分からないこと:個々の授乳の特徴

計算のもとになった「幅広い範囲に分布するはずの」赤ちゃん個々と、平均値を比較してしまうのは時に問題となります。

実際には、たとえば「ある母子のある日の授乳回数が、平均値より5回多い」ことが分かっても、そこから得られる情報はほとんどなく、「ふ~ん」としか言いようがないのです。

母乳不足のサインとしてなんて、信頼度が低くて使えません。

 


授乳頻度にこだわるのは時代遅れ?

何十年も前に、3時間おき・4時間おきなどの定時授乳が欧米で流行しました。でも、今では、授乳のスケジューリングをしない方が母乳育児は上手くいき、赤ちゃんはより順調に成長できる可能性が高まることが分かっています。

全体の話を個々に当てはめることはできない、という典型例ですね。

 

506人の乳児の授乳パターンを調べた論文(※1)では、「授乳回数と、24時間の母乳の生産量は関係がない」ことが明らかになっています。

授乳回数が多いグループも少ないグループも、1日トータルの母乳量には差がないんですね。

そのうえで、

・この研究でもっとも重要な発見は、授乳パターンには個人差があるということと、同じ母子でも毎回の授乳によって幅広いバリエーションがあるということ

・一般的なグループの平均や中央値に注目するのではなく、個々の乳児の授乳パターンを調査することが重要である

と述べています。

 

母親にとって重要なこと

本来、授乳パターンには個人差があり、同じ母子でも、毎回の授乳によって幅広いバリエーションがあるもの。

もちろん、自分の赤ちゃんが「平均値」とずれていることを嘆かなくていい!

それより体重とおしっこに注目しましょう→母乳不足の目安はこの二つだけ!

 

授乳パターンは十人十色

授乳のタイミングなどについては【母乳育児が軌道に乗るやり方・疑問・悩み】が役に立ちます。

自分の赤ちゃんのおっぱいの飲み方に不安になったら、タグ#授乳パターンや#母乳不足感もチェックしてみてくださいね。

書籍「ちょっと理系な育児(母乳育児編)」にも、自信を持って母乳育児をするための科学的知識が盛りだくさんです。

 

2017/5/13更新

参考文献

Kent J et al. Volume and frequency of breastfeeding and fat content of breastmilk throughout the day. Pediatrics, 2006, 117(3): e387–392.

 

(※1)Ho¨ rnell A, Aarts C, Kylberg E, Hofvander Y, Gebre-Medhin M. Breastfeeding patterns in exclusively breastfed infants: a longitudinal prospective study in Uppsala, Sweden. Acta Paediatr. 1999;88:203–211

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コメント

    • さとう
    • 2018年 3月 06日

    生後23日の赤ちゃんの母です。
    赤ちゃんの欲しがるたびにあげることを心がけていたところ、1時間に3回や、1日に20回以上、など授乳回数が非常に多くなってしまっています。
    回数が多いせいか、体重の増えとおしっこの量は問題なさそうです。
    たまに心が折れてミルクを足したりもしてしまいます。
    ポジショニングも気をつけています。

    これも赤ちゃんの個人差なのでしょうか、、
    母乳をあげたあと赤ちゃんの満足した表情もみれないので、このままでは迷宮入りしそうです。
    もしアドバイスがあればお願いいたします。。

    • すみません、他のコメントに埋もれて返信が遅くなりましたがその後いかがお過ごしでしょうか。
      コメントから、母乳過多の可能性があるのかなと思ったので、よければチェックされてみてください。

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