赤ちゃんが順調に育っていたら、専門家はこうするべき!

母子の健康に責任のある専門家(医師・助産師・保健師・看護師など)が0~23カ月の子どもとコンタクトを取る機会があれば、適切な栄養法が行われているか問診する必要があります。
今回は、「子どもの成長や栄養法の行い方に問題がない場合はどうするべきか」のガイドラインです。
WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」
第5章 乳幼児の栄養法の継続的支援
5.5 問題を管理し、良い栄養法を実践するための支援
5.5.3 良い栄養法のやり方を支援しましょう
お母さんのカウンセリングを行う重要な目的の一つに、「良い栄養法のやり方を積極的にサポートし、強化すること」があります。
お母さんは、良い栄養法を続けることがどれだけ重要で価値のあることなのか、気付いていない可能性があるからです。
サポートと強化は、お母さんがすでに良いやり方をしている場合も、適切じゃない部分をいくつか改善する必要がある場合も、どちらも同じように重要です。
お母さんを褒めることで、自信をつけさせることができます。
囲み記事No.14に、良いやり方をサポートするためのポイントをまとめています。
囲み記事No.14 栄養法の良いやり方のサポート
<月齢6カ月未満の赤ちゃんの場合>
- 赤ちゃんの成長が順調な場合は、「順調ですね」ということをきちんと伝え、お母さんと赤ちゃんを褒めましょう。
- 授乳の姿勢(ポジショニング)と乳房への吸着の仕方、赤ちゃんが効率的に哺乳できているかをチェックしましょう。
- 授乳のパターン(授乳時間や間隔)が適正かチェックしましょう。
昼夜問わず、赤ちゃんの要求に答えて授乳すること
赤ちゃんが自ら乳房から口を外すまで飲ませること
片方を飲み終わったら、もう片方も飲ませてみること - お母さんが正しいやり方をしていたら褒めて、そのやり方を続けるように奨励しましょう。
- お母さんに、「母乳のみで育てることがなぜ重要なのか」を説明し、赤ちゃんが6カ月になるまでは他に何も与える必要はないこと、哺乳瓶を使うことはリスクがあるということを、念を押しましょう。
- このやり方で赤ちゃんを育てることが、十分な量の母乳を生産するためには必要なことなのだということを説明しましょう。
- 避妊方法と授乳について説明しましょう(第8章8.4参照)。
- 月齢5カ月頃から、補完食についての話し合いを始めましょう。
- 月齢6カ月(日齢180日)から補完食を始めましょう。
<月齢6カ月以降の赤ちゃんの場合>
赤ちゃんが以下に当てはまる場合、お母さんを褒めましょう
- 順調に成長していて、健康である
- 母乳育児を続けている
次のような良い補完食の与え方をしている場合、お母さんやお世話をする人を褒めましょう
- 子どもに十分な回数と量の食事や軽食を与えている
- 適切で様々な種類の食材と正しい濃度の、質の良い食事を与えている
- 食事の時に補助をしている
- 子ども専用の食器に取り分けてから食べさせている
- 病後、回復期にはいつもより多めに食べさせている
予防接種を受ける時期について念を押しましょう。
様々な病気のサインごとに、いつ病院に連れていくべきか確認しましょう。
専門家にとっては、「栄養法や成長に問題がないこと」は注意をひかれないですが、経験のないお母さんにとっては「上手にできてますね」「順調ですね」と言われて初めて、「これでいいんだ」と認識できるのです。
・問題点ばかり指摘していると…
その場合、お母さんは「自分は能力が低いのかもしれない」と自信を失い、育児が下手になる(他人から言われた不適切なやり方に流れやすくなる/子どもに対して緊張感が高まり、ノイローゼになる/など)危険性があります。
・良い点があっても、それに触れないままにしていると…
その場合、お母さんは「本当にこのやり方でいいのかな」と疑問を抱いたり、「友人に言われたようにした方がいいのかな」と間違ったやり方をし始めたりすることも少なくありません。
問題点を修正するだけでなく、「良い点を強化する」ことも、専門家のとても重要な役割の一つなんですね。
「何が良いやり方なのか」については、日本では迷信的アドバイスが氾濫しています。
例えば、お母さんが「だんだん母乳の分泌が減ってきている」と不安を感じているとしたら、それは知識が十分じゃないためだと考えられます。
母乳育児や補完食(離乳食)についての科学的知識はこちらから日本語で読めます。
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