母乳の分泌を止める物質が、母乳に入っている!?

お母さんの体には、母乳量を増やすだけでなく、減らす仕組みもあります。

 

「3時間おきに授乳しましょう」

「母乳をたくさん出すには授乳の間隔を空けましょう」

「こうすれば夜間授乳をなくせます」

などとアドバイスされたことはありませんか?

 

もしその通りにすると、どうなってしまうのでしょう。

 

WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」

第2章 母乳育児の生理学基礎

2.6 授乳によるフィードバック抑制

 

母乳の生産は、乳房の中でフィードバック・インヒビター・オブ・ラクテーション(FIL)と呼ばれるポリペプチドによってもコントロールされています。

これは母乳中に含まれる物質です(25)。

 

例えば、赤ちゃんが片方からしか哺乳しない場合など、

「片方の乳房からは母乳が出るけど、もう片方からは止まってしまう」というようなことがあります。

これは、乳房はそれぞれ独立して母乳の生産がコントロールされているからなのです。

 

母乳が乳房の中に残ったままになると、分泌を抑制する成分が集まって、これ以上母乳が分泌されないように細胞の働きを止めてしまいます。

これは、乳房に母乳が溜まりすぎてダメージを受けないように、乳房を守るための仕組みなのです。

 

 

母乳が取り除かれれば、抑制する成分もなくなるので、母乳の分泌が再開されます。

赤ちゃんが哺乳できない場合は、分泌を維持するには、搾乳することで母乳を取り除かなくてはいけません。

 

FILのおかげで、赤ちゃんが飲む量、つまり赤ちゃんが必要とする量から、生産される母乳の量を調節することができるのです。

 

母乳育児が確立した後には精密な母乳の生産量の制御が必要となります。

その時にこのメカニズムが特に重要となります。

 

なぜかというと、母乳育児が確立した段階になると、プロラクチンは母乳の生産には必要だけど、生産量のコントロールはできないからです。

 

母乳の中にはFILという物質が入っています。

母乳が乳房に溜まったままになると、このFILが

「母乳は余っているみたいだからこれ以上分泌しないでね」

と、母乳の分泌を抑制する仕組みになっているんですね。

 

つまり、授乳の間隔を空けるほど、母乳の生産量は減るのです。

母乳量を増やすには、授乳の間隔を短くし、できるだけ乳房を空にしておく必要があるのです。

 

逆に、過分泌の人が、授乳後乳房が空になるまで搾乳していたら、ますます分泌量は増えてしまうでしょう→※母乳過多の原因と対処法まとめ

母乳が作られる仕組みは【授乳のステップ①母乳が作られる仕組み】で、基礎を押さえておきましょう。

その他にも、「母乳の出がよくなる仕組み」や「母乳中の免疫はいつまで効果があるのか」などについては、【第2章まとめ|誰も教えてくれなかった、おっぱいと母乳の基礎知識】を読めば、迷信に惑わされず、本当はどんな仕組みなのかを理解することができます。

2017/4/17更新

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