産後は避妊する必要はない?|授乳性無月経法の条件
「産後は妊娠しない」と思っている人は少なくないようですが、それは半分正しく、半分間違っています。
正確にはどういうことなのでしょうか?
WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」
第8章 母親の健康
8.4.1 授乳性無月経法(6,7)
母乳育児は、家族計画の重要な手段にもなります。
社会的または別の理由によって、現代の避妊方法を利用できない女性でも活用でき、自分たちでコントロールすることができます。
赤ちゃんが吸てつした時に生産されるホルモンが排卵を抑制し、産後の月経再開と受胎能の戻りを遅らせます(第2章2.5参照)。
これは授乳性無月経法(LAM)といい、乳幼児がいる全てのお母さんは知っておくべきです。
また、LAMの限界についても知る必要があります。
LAMの限界とは、母乳育児をしていたとしても、妊娠の危険性から守られない場合を意味します。
LAMは以下に示す条件において、効果があります(囲み記事No.18参照)。
①母親は月経再開していないこと
つまり、月経期ではないことを意味します。
月経があれば、それは受胎能が戻ったサインであり、再び妊娠できるようになります。
②赤ちゃんには母乳のみ与えること(※1)
さらに、頻繁に、昼間と夜間の両方授乳しましょう。
赤ちゃんが人工栄養または補完食を与えられた場合は、哺乳が減り、お母さんに排卵が起こるかもしれません。
授乳の間隔が6時間以上空いた場合は、排卵が起こるでしょう。
※1 赤ちゃんは、全てまたはほとんど全てを授乳(母乳)でまかなわれていれば、栄養源の大部分が母乳である限りLAMの効果が続くことが示されています。ほとんどが母乳とは、ビタミン・ミネラル・水・果汁・儀式的な食べ物を母乳にプラスしてまれに与えられていたとした場合、という意味です。
③赤ちゃんは月齢6カ月未満であること
6カ月以降になると、女性は月経が再開していなかったとしても、受胎能が上がる傾向にあるようです。
6カ月以降は、赤ちゃんに補完食を与え始めるべきであり、哺乳の頻度も減るでしょう。
この3つの条件がそろった場合、女性が妊娠するリスクは2%以下になり、これは他の避妊方法と同じくらい信頼できる数字です。
避妊のためには、他の方法を利用する必要はありません。
授乳性無月経法(LAM)の3つの条件がそろった場合のみ、他の避妊方法と同じくらいの効果が出るということですね。
女性が避妊をコントロールできないケースは日本でもあるので、LAMについて知っておくことは重要なことでしょう。
また、さまざまな理由で産後早期に妊娠を希望する場合、月経を再開させるために断乳を指導されることが一般的ですが、「授乳の間隔が6時間以上空くと排卵が起こる」という仕組みを利用して、断乳せずに授乳を継続しながら、妊娠を試みることもできます。
2017/4/15更新
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