お母さんの状態が子どもを育てる能力に影響する

赤ちゃんが産まれたら、お母さんの健康状態をチェックする機会もあるでしょう。

それだけでなく、以下のようなこともチェックすることがとても重要だそうです。

 

WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」

5章 乳幼児の栄養法の継続的支援

5.4 状況を評価しましょう

5.4.4 母子の健康を評価しましょう

<お母さんの健康の評価>

子どもの栄養法について問診をする際、お母さん自身の健康状態・精神状態・社会的な立場・仕事について尋ねるのも重要なことです。

これらは、お母さんが幼い子どもを育てる能力に影響すると考えられるからです。

 

以下に示す重要なポイントが、囲み記事No.11にリストアップされています。

  • 母親の栄養状態と全身の健康状態をチェックし、授乳のチェックの一環として、乳房の健康状態もチェックします。
  • 母親が産後の妊娠について正しい知識を持っていて、適切なカウンセリングを受けられるつてを持っているかどうか・次の妊娠について母親がどう考えているか、を聞いてみましょう。
  • 母親に深刻な臨床上の問題あるいはメンタルヘルスの問題があるように見える場合、または通院中の場合は、検査をして必要に応じて特別な治療を受けさせましょう(8章参照)

  • 診療記録が記載されていない場合は、HIVの検査をしたか尋ねましょう。
    していない場合は、検査するようにうながしましょう
    (現在の各国のガイダンスに応じて)。

 

お母さん自身の状態が育児の能力に影響するのは、もっともなことですね。

お母さんだって個人的な悩みがあるのも当たり前で、持病があったり、産後鬱になったり、経済状態が良くなかったり、仕事関係で多くのストレスを抱えていたりすることもあります。

自分に余裕がないと、子どもに対しても余裕がなくなるものです。

 


<母子ともに前向きになれるサポートが必要>

日本では、母子の健康を分離して管理する考え方が主流ですが、常に母子をセットとして考え、片方を治療するために片方がなおざりにならないように、最大限の配慮が必要です。

例えば、お母さんが病気になった場合、「投薬治療のための断乳」や、「入院による母子分離」を回避する道を考えることは、常に重要なことです。

 

また、子どもがいると、「今の悩みの原因は子どもだ」と考えがちです。

でも、子どもは“きっかけ”にはなるけれど、原因は必ず他にあるはずです。

 

例えば、「仕事だけでもハードなのに子どもの夜泣きに付きあってられない。断乳だ!」と、子どもに負担してもらって一時的な疲労感を解消しようとする以外にも、

「少しでも仕事量をセーブできないか?」「リフレッシュするタイミングを作れないか?」など、お母さんの厳しい状況を予防・緩和できる道を探す方法もあります。

そういう「持続可能で、母子共に前向きになれる道」を考えられる専門家のサポートが、全てのお母さんに必要です。

 

そして、育児ノイローゼになるようなお母さんは、必ず、周囲の理解やサポートが不足しています。

身近な人たちからの理解やサポートがあり、「自分はうまくやれている」と無意識に感じているお母さんは、悩みや困難はあっても、子どもの要求に応えられなくなるまで追いつめられることはないのではないでしょうか。

 

一人のお母さんに専門家がコンタクトをとる機会はそうないかもしれませんが、専門家としての一言はとても重いので、コミュニケーションスキルを踏まえた効果的なアドバイスをすることで、お母さんの育児に対するモチベーションは、格段にアップ!すると思います。

 

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第8章まとめ|お母さんの健康と母乳育児

2017/4/10更新

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コメント

    • メイ
    • 2017年 7月 15日

    はじめまして
    母乳過多からたどり着き、色々と読ませて頂いています。
    産後40日ほど経過します。
    この間、家事を手伝ってくれる人は夫以外におらず、完全に鬱になってしまいました。
    役所、保健師、児童相談所、精神科に体調不良と不安を相談しましたが、皆が手伝ってくれる人を頑張って探し、上の子の預けられる友達を探し、産まれた子は乳児院に預けて断乳し薬を服用して休むように言われました。
    親は?友達は?手伝えないのか?上の子を預かってもらえないのか?などと聞かれる度に、苦しく激しく落ち込み鬱は悪化していきました。

    2週間検診の時は医師の診察はなく、助産師さんも忙しくて話せずに帰りました。
    1ヶ月検診の時は診察があったので、思いきって安定剤の処方を希望することが出来ました。
    医師は薬の処方をせずに、医大の産後うつに詳しい先生を紹介してくれました。
    そこでやっと、体力を回復させる為に受けられる行政からの支援を紹介されました。
    始めの保健師、または産科の助産師さんが制度を知っていて利用する方法を紹介していてくれたら、上の子を叩いたり、産まれた子を乳児院に入れなくてはならないダメ親と自分を責める事は無かったのでは?と思いました。

    一人目の出産、育児の時も今回も、制度の選択が少ない上に、ある制度も探し出す為に、利用するために大きな労力を必要としなくてはならないなんて本当に馬鹿げていると思いました。
    専門家の養成は今すぐ必要な事ですね。

    • それは本当に大変でしたね。

      乳児院を利用しても断乳しても、全くダメな母親ではないと思います。が、それを本人が望んでいないのにそうアドバイスするのは、「やりたくない方法を選ぶか、誰にも頼らず1人で苦しみ続けるか」の二択になってしまうので、助けにならないですね。

      産後の余裕がない時期に、行き詰まった本人に打開策を見つけさせるのは、本当に勘弁してほしいですね…
      これまでとても大変だったと思いますが、よく頑張られたなぁと思います。

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