HIV陽性のお母さんが自分で選択するために|母乳育児のメリットとデメリット
HIV陽性の妊婦さんが、産後、赤ちゃんの栄養法としてどういう方法を選択するか考える際に、知っておくべき情報です。
WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」
第6章 例外的に困難な環境の乳児の適切な栄養法
6.5 HIV陽性のお母さんから生まれた赤ちゃん
<栄養法の選択肢についてのカウンセリング(20,21)>
通常、全ての女性は母子感染のリスクについて知っておくべきです。
そして、授乳中にHIVに感染した場合は伝染のリスクが増えることを知るべきです。
女性とそのパートナーは、妊娠中にHIV検査とカウンセリングを受け、状態を知っておきましょう。
そうすると、赤ちゃんが生まれる前に、正しい決断をするための準備ができるという利点があります。
HIV陽性の女性が栄養法を選択するためのカウンセリングは、妊娠中にスタートする必要があります。
HIV陽性の女性とそのパートナーは、以下の情報について教えてもらいましょう。
- ウイルスの母子感染のリスクについて
- 国の政策を考慮した上で、その地域環境で適切で利用可能な栄養法の選択肢について
- それぞれの栄養法の選択肢についてのメリットとデメリットについて
また、次のことも知る必要があります。
- 代替栄養は、母乳栄養に比べて、子どもが栄養不良やHIV以外の感染症にかかる率、それが原因となる死亡率のリスクが増加すること
- 混合栄養は、HIVの感染のリスクと他の感染症のリスクの両方をもたらしてしまうので、最も良くない選択であること
- 母乳栄養を選ぶ場合は、お母さんは、自分自身の健康と栄養に気を使い、授乳することでお母さんの健康に悪影響が出ないようにすること
- 授乳を続ける間、抗レトロウイルス薬をお母さんか赤ちゃんのどちらかに投与することで、感染のリスクを有意に減らすことができること
- HIV陰性のお母さんも、赤ちゃんに授乳している間は、安全な性交渉を行うことが特に重要なこと。なぜかというと、この時期にお母さんが感染すると、赤ちゃんにうつるリスクが非常に高いからです。
HIV陽性の女性には、自分の状況においてベストな選択肢は何かを決めるために、ガイダンスを行うべきです。
そして、その選択を安全に行うにはどうしたらいいかを教えるべきです。
通常は、主な栄養法の選択肢は代替栄養か、母乳のみ与えるかの2つだけです。
これをカウンセリングしながら話し合う必要がありますが、女性が別の選択肢に興味を持ったら、それも説明する必要があります。
HIVについての他のWHOのガイドラインはこちら↓
※第6章まとめ|低出生体重児・緊急事態・HIVなど困難な状況での母乳育児
これは2009年時点での情報です。2016年現在、HIVと母乳育児に関するガイドラインが改定され、「抗レトロウイルス剤で治療しながら母乳育児は続けられる」という方向へ方針が変わっていますのでご注意ください。
2017/1/26更新
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