WHOが定める体重増加不足の目安
自分の赤ちゃんの体重増加度は正常なのか、とても気になりますよね。
正常な体重増加速度の目安は
18g/日以上?25g/日以上?30g/日以上?
それともどれも違うのでしょうか?
WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」
第7章 乳房の管理と母乳育児におけるさまざまな障害
7.10 母乳の不足と不足感
哺乳不足の信頼できるサインの一つ
~体重増加不足~
赤ちゃんの体重の増え方は様々で、それぞれ個々のパターンがあります。
赤ちゃんが順調に成長しているかは、体重そのものだけでは判断することができません。
少なくとも、数日間にわたって何回か体重を量る必要があります(添付資料3の「さまざまな出生体重の乳児のための体重増加範囲の表」参照)。
生まれてすぐ、数日間は赤ちゃんの体重が減少することがあります。
赤ちゃんが健康で十分に哺乳できる場合、多くの赤ちゃんは生後1週間ほどで元の出生体重に戻ります。
週齢2週までに、全ての赤ちゃんは出生体重まで戻るべきです。
週齢2週の最終日になっても出生体重まで戻っていない赤ちゃんは、チェックを受ける必要があります。
週齢2週以降は、母乳で育つ赤ちゃんは、毎月およそ500 g~1 kg以上増えるでしょう。
この範囲の体重増加は正常です。
赤ちゃんは、病気や先天性異常がないか、尿量は問題がないかチェックされるべきです。
体重増加が悪いと言われた場合は、原因を判断するために、
後で説明するように、授乳の技術と授乳時間や頻度や、母子の相互作用もチェックを受けるべきです。
日本では、赤ちゃんの体重推移を評価する際に、「増加速度が何g/日以上あるか」が重要視されています。
メディカルチェックの際に、「医療従事者それぞれが何g/日以上と決めている数字」より赤ちゃんの増加速度が少ないと、(あるいは1ヶ月で1 kg以上増えていないと)即、ミルク補足指導が入ります。
それに対して、WHOのガイドライン中には、「何g/日以上」という数値は一切出てこないのです。
なぜでしょうか?
「体重増加速度」は一定ではない
そもそも、赤ちゃんの成長曲線は、その名の通り曲線を描くため、体重増加速度は日々変化します。
また、特に低月齢の赤ちゃんは、成長加速現象といって、急速に体重が増える時期が(ランダムに)何度もやってきます。
成長加速現象が始まると体重の増加スピードは上がるし、終わると、増加スピードは落ちます。
つまり、出生体重から1週間後までの「g/日」と、退院後から1週間後までの「g/日」は全然違うし、週齢2週と週齢3週の「g/日」も、赤ちゃんによって全然違って当然なのです。
同じ赤ちゃんでも、週齢によって、10 g/日のように控えめなときもあれば50 g/日のように急速に増えることもあり得ます。
日々刻々と変化する赤ちゃんの体重増加速度に対して、「g/日」という数値で評価することは難しいのですね。
簡単・正確に体重推移を評価する方法
WHOは、「赤ちゃんの成長曲線がどんなカーブを描くか」を重要視しています。スタンダードカーブに沿っていればOKで、平均より多いか少ないかは気にしなくていいのです。WHOの成長曲線は、基準となるスタンダードカーブが複数描かれているので、自分の赤ちゃんの体重推移をチェックしやすくできています。
成長曲線から、利用できる成長曲線や、どうやって評価したらいいのかなど、詳しい情報を得ることができます。母乳が足りない不安感は、母乳不足感も参考にどうぞ。
2017/2/21更新
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
初めまして。2ヶ月半の娘を混合栄養で育てています。完母を目指して1日8回〜10回の授乳に加え、現在は1日に240〜350程度のミルクを足しています。しかし、一向に母乳不足が解消されず諦めかけています。毎回母乳の哺乳量を測ってみるのですが一回30〜50ほど。2ヶ月半でこの程度では今後増える見込みはないのでしょうか?
ちなみに、出生時は成長曲線を超える3800gでしたが、現在ようやく5000gを超えたところです。体重だけ見たらまぁ平均なのでしょうが、これはやはり体重増加が悪い部類に入りますか?便は1日一回〜2日に1回ですが尿の出は毎時間ありよく出ているように感じます。
はじめまして。母乳が足りない気がして、これから増やすことはできるのか、気になっていらっしゃるんですね。
(前提として、成長曲線のスタンダードカーブに沿っていないパターンや、混合栄養の場合のおしっこの様子は、それだけでは適切かどうか判断できません。成長が順調かどうかは、医師の診断を参考にされるといいかもしれません)
それとは別に、母乳育児を軌道に乗せるために必要なことについてですが、よくある原因として、授乳パターンや、ポジショニングを改善すると、効果的に哺乳しやすくなります。
また、たとえ十分な母乳が出ていても「足りない」と感じて、良くないやり方になってしまわないように、母乳不足感の記事もお役に立てるかもしれません。