乳腺炎治療④対症療法|WHO

治療

乳腺炎の根本的な治療とは別に、「今の痛みや辛さ」は、すぐに取り除くことができます。

どんな方法が効果的なのでしょうか。

 

乳腺炎;原因と対処法, World Health Organization

9.2 乳腺炎

対症療法

痛みには鎮痛剤を用いるべきです(5; 167)。

イブプロフェンは痛みだけでなく炎症も減らせるので、最も効果的だと考えられます。

パラセタモールは代替薬として適切です。

 

 

休息は不可欠だと考えられ(94; 167)、可能ならベッドで横になりましょう。

赤ちゃんと一緒にベッドで休息することで、授乳頻度が増え、母乳の除去も改善するかもしれません。

 

推奨される他の処置としては、乳房に温かいパックをすることで、痛みの緩和と母乳の流れを助けます。

また、十分に水分を摂りましょう。

 

乳房を冷やす…効果はある?

このレビューでは、「キャベツの葉っぱで乳房を冷やす行為は、冷湿布と同じくらい痛みを和らげる効果があるけれど、乳腺炎の治りを早める効果はない」と結論付けられています。

 

日本では今でも、「乳房の痛み=冷やす」がセットで語られることが多いですが、WHOの文献では乳房を冷やすことは推奨されていません。

(むしろ、授乳前に温めることでオキシトシン反射を促進させる方法は、何度も出てきます)

 

乳房を冷やしながら痛みに耐える文化は、鎮痛剤が簡単に利用できなかった時代のなごりなのかもしれません。

「母親は痛みに耐えられる」という社会的イメージも強いですが、同じ人間なので、痛みは普通に苦痛です。

今は授乳しながら服用できる鎮痛剤もたくさんあるので、効果的な治療をしつつ、痛みはどんどん省略していきたいものですね。

 

食事制限…効果はある?

このレビューでは、「食事の脂肪分を減らすこと」を推奨する研究についても、根拠に裏付けがないとしています。

「海外では洋食なのに日本人は和食推奨なのは、体質が違うから」という理論を聞いたことがある方も多いと思います。

しかし、少なくとも20年程前には、「脂質は乳房トラブルの温床!」と世界的に信じられていた時代があったようで、海外の文献でも似たような話が出てきます。

ということで、これは日本オリジナルではなく世界的な迷信であり、世界的に根拠がないと結論付けられていることを、心に留めておきたいものですね。

 

母乳育児は知識は深く、試練は小さく

母乳育児は、知識が深いほど、試練は小さくなります。

授乳中に使える鎮痛剤の情報は、非オピオイド系鎮痛剤と母乳育児からもどうぞ。

対症療法とは別に、根本的な解決をするためには、授乳パターンポジショニングの知識が欠かせません。

 

 

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