「ドロッとした母乳」の正体|WHO

関連する症状

「ジャンクフードや脂肪分の高いものを食べると、母乳がドロドロになる」と信じられています。

実際には、「ドロドロの母乳」はどうやって作られているのでしょうか。

 

乳腺炎;原因と対処法, World Health Organization

7.2 乳管の詰まり

他に母乳のうっ滞と関連する珍しい状態としては、乳瘤があります(94)。

乳瘤とは、母乳が溜まった嚢胞のことで、乳管の詰まりから発展すると考えられています。

 

乳瘤は、乳房の内部でなめらかで丸い膨らみとして存在し、最初は単に母乳が溜まり、続いて液体部分が吸収されるにつれて濃くクリーミーな物質が溜まります。

膨張部分を圧迫すると、乳頭からミルキーな液体が出てくるでしょう。

 

吸引や、超音波で診断することができます。

母乳を吸引しても、数日後には乳瘤は再び満たされ、繰り返し吸引することが必要でしょう。

 

乳瘤は、局所麻酔によって外科的に除去することができます。授乳は中断する必要はありません。

 

最初は普通の母乳だった?

通常、母乳が溜まっている袋は、周囲を筋細胞で囲まれているので、オキシトシン反射が起こるとギュッと縮み、溜まった母乳は効率よく外へ押し出されます。

でも、乳瘤は、それができないので、母乳が溜まったままになりやすいと予想されます。

すると、母乳の液体部分が吸収されて、水分の少ない、濃い母乳が残るんですね。

 

つまり、「ドロドロの血液からドロドロの母乳が作られる」のではなく、「作られたのはごく普通の母乳だったけど、だんだん水分が減って、クリーミーになった」ということのようです。

乳瘤ではない通常のしこり部分でも、同じことが起こりうるかもしれません。

 

授乳間隔が空くとドロドロになる?

乳瘤を空にしてから再びクリーミーな母乳が溜まるまで数日かかるということは、授乳しない間に母乳の成分構成が変化するためには、数日単位で時間がかかる可能性があります。

一部で言われている「3時間以上授乳間隔を空けるとまずくなる」という説のように、一般的に、短時間で成分変化を起こすことは難しいかもしれませんね。

 

なくならないしこりとクリーミーな母乳の原因は…

乳瘤の場合は外科的に除去しない限りなくならないようなので、「いつも同じところにしこりがあって、そこを圧迫するとクリーミーな母乳が出てくる」場合は、乳瘤のせいかもしれません。

通常のしこりは、ブドウのようにボコボコした感触ですが、乳瘤の場合はなめらかで丸い感触が触れるかもしれません。

 

クリーミーな母乳は飲んでも大丈夫?

日本助産師会によって2015年にアップデートされた情報によると、次のように説明されています。

乳管に出来た良性の嚢胞で、濃縮した乳汁が貯留している。膿瘍との鑑別は超音波診断が有効である。乳瘤の存在自体は母乳育児の阻害要因にはならないが、乳瘤の存在によって乳管が圧迫されると、乳腺炎のリスクになる。

ということで、通常は気にしなくていいけれど、乳管が圧迫されるなどトラブルにつながる場合は外科的に除去できる、という存在のようです。

 

「アレを食べるとドロッとした母乳が出てきた」気がする?

詰まりから乳瘤へ発展するとしたら、乳房トラブルが多い女性にできやすいと考えられます。

そういう女性は普段から食事内容に注目している可能性が高いので、「アレを食べたからドロドロになったんだ」という理論になりやすいのかもしれません。

 

でも、たとえいろんな食材を制限しても、「溜まった母乳の水分が吸収されること」は止められないと考えられます。

ドロドロの母乳を見たときに考えるべきは「昨日、何を食べたっけ?」ではなく、「どこかに乳瘤ができたのかも?授乳のやり方に改善が必要かも」ということなんですね。

 

母乳育児は知識は深く、試練は小さく

母乳育児は、知識が深いほど、試練は小さくなります。

授乳中の女性は、母乳のためではなく、自分の健康のために、油脂や肉類をはじめとして栄養豊富な食事が必要です→授乳中の女性の食事

授乳のやり方を改善するには、授乳パターンポジショニングの情報が役に立ちます。

 

 

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