母乳を増やしたいなら、次々とプロラクチン反射を起こすべし

プロラクチンとは、母乳を分泌する細胞に、「母乳を作ってね」という指令を伝えるホルモンです。

 

プロラクチン反射とはなんでしょうか?

どうしたら起こせるのでしょうか?

 

<プロラクチン反射>

赤ちゃんが直母して吸てつすると、血液中のプロラクチンレベルが瞬間的に上昇します。

 

これは、産後44週経っても見られました。

血液中のプロラクチンレベルは、授乳を開始して30-40分後にピークになり、授乳後2時間以内に元のレベルまで下がります

反射の大きさは、午前中よりも、午後の方がずっと大きいようです(午前中から午後にかけてプロラクチン反射が弱くなっていく女性もゼロではない)。

反射の大きさは、産後日が経つにつれて、小さくなっていきました。

 

<血中のプロラクチン濃度>

プロラクチン濃度は、頻回に授乳すると、累積されます(ベースラインまで下がることなく、高い値をキープする)。

 

産後4週以降は、授乳にかかる時間が違っても、プロラクチンのベースラインは変化しませんでした。

プロラクチン濃度のベースライン(一番下がった状態での値)は、産後が最も高く、日が経つにつれて、低下していきました。

また、午後に授乳をした方が、プロラクチン濃度は高い値をキープしやすいようです。

産後どのくらい時間が経ったかに関係なく、プロラクチンの累積レベルも、午前中よりも午後の方が有意に高いことがわかりました。

 

<原文>

20. Glasier A, McNeilly AS, Howie PW. The prolactin response to suckling. Clinical Endocrinology, 1984, 21:109–116.

 

つまり、授乳を開始すると、瞬間的にプロラクチンの血中濃度がバーン!と上昇し始めるのですね。

これを「プロラクチン反射」といいます。

 

昔は、「プロラクチン反射が起こることで、急ピッチで母乳が作られ、それを赤ちゃんがゴクゴクと飲む(=いわゆる差し乳)」と信じられていたようですが、今では研究によって否定されています。

 

プロラクチン反射のピークは、授乳中ではなく、授乳を開始して30分後あたりに訪れます。

これが、「次の授乳に備えて母乳を作る」重要な効果をもたらすのです。

 

産後、日が経っても、授乳するたびにプロラクチン反射は起こるのです。

 


<プロラクチン濃度は累積されるってどういうこと?>

授乳した時に、前回の授乳で起こったプロラクチン反射がまだ残っていた場合、

私たちの脳は、

「今のプロラクチン血中濃度がまだ高いから、今回の反射は控えめにしておこう」

なんて調節はせず、授乳するたびに、プロラクチン反射を惜しみなく起こしてくれるのですね。

 

すると、前回のプロラクチン反射の残りと、今回新しく追加された分で、血中のプロラクチン濃度が高くなっていくのです。

プロラクチン濃度が高いほど、「母乳を作ってね」という指令も伝わりやすくなります。

 

だから、もし「母乳が足りない」と感じるなら、授乳回数を増やすことが、効果のある解決方法なのですね。

新生児期は、授乳にかかる時間が長いほどプロラクチンが増えるそうですが、それ以降は、授乳にかかる時間自体は、あまり影響しないようです。

 

「午前より午後が高い」という話は、統計学的にサンプル数が少ないことと、単に授乳回数が午後の方が多かっただけ、などの理由があるのかもしれないので、どのくらい参考になるかは不明です。

 

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多くのお母さんが経験する母乳不足感

一般的に、赤ちゃんの様子で困ったことがあると、何かとおっぱいのせいにされがちです。

そのため、たとえ必要以上に母乳が作られていたとしても、「母乳が出ていない」と感じることも珍しくありません。

母乳育児を軌道に乗せるために必要なのは、運や根性ではなく、知識とスキルです。

張らないおっぱい・少ない搾乳や直母量に不安を感じたら、母乳不足感の知識が、迷信を撃退する助けになります。

増えない体重・多すぎる授乳回数・長すぎる授乳・おっぱいの痛みを解決するには、ポジショニングのスキルが欠かせません。

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2017/4/16更新

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コメント

    • たんぽぽ
    • 2017年 1月 18日

    こんにちは。いつも拝見させていただいて、不安が解消されています。ありがとうございます。

    伺いたいことがあるのですが、お時間あるときにお願いします。搾乳器での乳頭刺激は、プロラクチン反射を誘発しますか?

    3ヶ月の子を育てています。私の乳頭が短乳頭なため、直母では必要な母乳を飲むことができず、直母の後に搾乳した母乳を補足しています。母乳のみで、体重は順調に増えています。授乳は左右10分くらいずつ直母した後に搾母を飲ませて、おむつ替えなど行い、授乳が終わり20分後くらいに搾乳器を使用しています。だっこなどですぐに搾乳できないときは、授乳が終わってから40分くらい経っていることもあります。搾乳は次回の授乳で使用する分を授乳のあとに、毎回絞っています。毎回の直母量は60~100、搾母は30~70、計130を飲んでいます。授乳開始から片付けが終わり手が空くのに1時間半かかることもあり、1日の授乳回数は7~8回がやっとです。分泌維持のために、搾乳器の刺激も役立っているとうれしいのですがいかがですか?

    • 搾乳でも母乳を作る刺激は得られるのかということですね。
      プロラクチンは、乳頭組織が伸びる刺激が神経組織に伝わって脳まで届く仕組みなので、搾乳でももちろん効果が期待できます。 

      三ヶ月もの間、搾乳を続けられてきたとは、大変なことも多かったことと思います。
      コメントからは、直母だけで十分な母乳が飲めない理由がよく分からなかったのですが、たとえばポジショニングを工夫するなどで、少しでも搾乳の割合を減らせるとお互い楽になれていいんじゃないかなと思いました(一般的に、乳頭が短くても上手く乳房に吸着することは十分に可能だと言われています)。

      そもそも直母量が60-100mLもあるという時点で、十分な量を飲めていることが分かるので、一体何が問題なんだろう?と思いました。
      もしかすると「母乳育児とはこうあるべき」という迷信が影響しているのかもしれないので、母乳不足感や、母乳育児が軌道に乗る授乳の仕方もお役に立てるかもしれません。

        • たんぽぽ
        • 2017年 1月 20日

        sumireさん、お返事をいただきありがとうございます。

        説明が足らずすみませんでした。今の授乳方法に至った経緯ですが、1ヶ月健診で体重増加不良と言われ、直母のみでは1回10~30しか飲めず、小児科医師、助産師に指導された方法です。もしかしたら、子どもの口が小さめなことと、巻き舌でありラッチオンが難しいことも影響していると言われました。また、妊娠中の乳頭ケアが不十分だったのか、乳頭はマッサージしても伸びにくく硬めで飲みにくそうでした。ルーティンで搾乳を続けることは本当に大変でした。

        その頃に比べるとずいぶん飲めるようになりました。乳頭もびよーんと伸びるようになりました。今も小児科医に相談しながらこのような補足を行っています。

        母乳不足感や、母乳育児が軌道に乗る授乳の仕方、拝見しました。授乳方法の図がとても分かりやすく、実践したところすぐに哺乳量が増えてきました。これからも読ませていただき、子どものために母乳育児を頑張ろうと思います。ありがとうございました。

    • たんぽぽ
    • 2017年 1月 24日

    sumireさんにいただいた、せっかくのアドバイスを棒にふるところでした。気になって、今日母乳外来に行き、直母のみで育児可能と助産師さんのお墨付きをもらいました。迷信、思い込みをしていました。ありがとうございました。

    • 搾乳が不要だというお墨付きをもらえたとのこと、本当によかったですね!

    • リュッリュ
    • 2017年 10月 07日

    初めまして、興味深い記事を楽しく拝見しております。

    母乳の量を増やしたいと思っているうちにこのブログにたどり着きました。もっと早く母乳について勉強しておけば良かったと後悔しております。

    現在2ヶ月と2週間の男児を母乳で育ています。生まれた時は52cm3850gで今は約60cm6000gぐらいです。

    1ヵ月半ぐらいによく寝るようになり長い時は12時間ねてました、夜中の授乳もそのころからなくなりました。心配になり姑さんや母や市の保健師に相談しても起こして飲ませる必要はないし、泣いてから飲ませてと言うことで1日4回の授乳になっていました。
    そんなことをしているうちに当然体重が減ってしまったので、昼間の授乳回数を増やそうとしても急にオッパイが張らなくなってきて、赤ちゃんが寝ている間に搾乳しても前は120はしぼれていたのに今日は20しか出ませんでした。乳パッドも溢れるほどになっていたのに今は1日付けてても大丈夫です。プロラクチン反応があっても前は勢いがあり吹き出る感じでしたが今は雫が落ちる感じです。

    母乳を軌道に乗せるのは100日かかるという記事も拝見しましたが、今から頑張っても遅いでしょうか?なんとか母乳の量を元に戻したいです。

    • はじめまして。授乳回数が激減した結果、母乳も減ったように感じていらっしゃるんですね。
      まず、赤ちゃんのおしっこと体重変化はいかがでしょうか。この2つが順調なら、十分な母乳は飲めていると思います。
      次に、コメントを拝見する限り、以前は母乳過多だったんじゃないかと推測されるので、以前ほどの母乳量は目指さなくていいと思います。
      もし一時的に減りすぎたとしても、これから増やすことも十分に可能だと思われます。
      母乳過多がおさまった後の母乳不足感も参考にどうぞ。

        • リュッリュ
        • 2017年 10月 11日

        返信ありがとうございます。悩みすぎて我を忘れてしまってました。

        スケールで計ったら直母は一番多い時で120mlで朝市の多い時一回のぐらいで、後は40とか80mlとかでした。1日の量は400mlぐらい飲んでます。

        粉ミルクを飲んでくれず今瓶や口を変えたり色々試してますがまだ飲んでくれません。新生児の時は飲んでいましたが、今はダメみたいです。

        粉ミルクを飲んでくれずひたすら出ないおっぱいを吸っているのですが、40分あげて40mlとかで赤ちゃんが怒って乳首を歯茎で挟んで痛くて悲しくなりました。

        尿は1日6回は出てす。ウンチも2回ぐらい出てますが、体重は横ばいで増えも減ってもないです。

        母乳の量はまた増やせるとのことで安心しました。

        2時間ごとに吸わせたいのですが今日は出ないとわかったのか顔を背けてくわえてくれなくなってしまいました。仕方ないでの四時間たってくわえてもらいました。

        母乳が減ってまだ10日ですが粉ミルクを飲まないので痩せる前に母乳が復活することに全力を注ぎます。
        ありがとうございます。

        • 出ないおっぱいというイメージを持ってしまうと、授乳もなかなか辛いことと思います。
          哺乳量もミルクを基準にされているようなので、哺乳量の情報もお役に立てるかもしれません。
          直母が難しい場合は、無理せずミルクや搾乳をコップで飲ませる方法もあります。

          直母量からは、母乳は出てると推測されるので、あとは授乳のストレスを減らせるように、記事中にリンクを貼っている母乳不足感やポジショニングの情報もお役に立てると思います。

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