母乳過多や過飲症候群はなぜ起こるのか?
一般的に、時計とにらめっこしながら、授乳間隔や授乳時間を決める「大人主導の授乳」をしていると、母乳の生産量と哺乳量をちょうどよくすることが難しくなります。
需要より供給が多くなってしまう「母乳過多」や、それに伴う「過飲症候群」は、なぜ起こるのでしょうか?
<母乳過多が起こる原因>
●多くの場合は、授乳の仕方に原因がある
- 時計を見ながら、授乳するおっぱいを左右3分ずつ/5分ずつ/10分ずつなど、交互に切り替えている場合
→両胸を短時間授乳すると、溜まっていた母乳のほとんどが除去されます。すると、また新しい母乳が急いで生産され、母乳を過剰に生産するサイクルが続いてしまいます。
- 射乳の勢いを弱めるために、授乳前に、たくさん搾乳している場合
→乳房が空になるほど母乳の生産スピードが上がるので、よりたくさんの母乳を分泌するようになってしまいます。
- 普段から哺乳瓶やおしゃぶりを使っていることで、赤ちゃんが「おっぱいの飲み方」を忘れてしまった場合
- ポジショニング(授乳の姿勢)が悪く、上手な乳房への吸着が維持できない場合
→乳房への吸着の仕方が悪く、効率的に哺乳できないと、赤ちゃんが過剰に吸てつし、その刺激で必要以上に母乳が作られてしまいます。
●出産直後から、バンバン母乳が生産されてしまうタイプのお母さんもいる(高プロラクチン血症・先天性の素因)
<過飲症候群が起こるメカニズム>
赤ちゃんがおっぱいを飲み過ぎる、過飲症候群。なぜそんなことが起こるのでしょうか。
- 飲ませるおっぱいを左右交互に切り替える、「大人主導の授乳」をすると
- 赤ちゃんが脂肪分の多い後乳を飲む前に反対側に替えられることで、カロリーが低めの前乳ばかりを飲むことになるので、満足するためにたくさん飲まなければいけなくなる
- 溜まっていた母乳が大量に除去されることで、また大量に作られる(→過分泌コース)
- 赤ちゃんが必要なカロリーを得るためには、ますます大量の母乳を飲まなくてはいけなくなる
- 必要なカロリーを得るために必要な母乳の量が、自分のキャパシティより多すぎて飲めなくなってくる赤ちゃんが出てくる
- そのような赤ちゃんは、授乳後、飲み過ぎておなかが張って不快なのに、満足できるほどのカロリーはまだ得られていないので、泣いておっぱいを求めることもあるけど、それ以上は飲むことができなくなる(または大量に吐く)。
<その結果、こんな問題が起こることも>
●乳糖の過負荷が起こる
過分泌のおっぱいからは、脂肪分豊富な後乳まで飲めないことがあります。
低脂肪の前乳は胃の滞在時間が短くなるので、一度にたくさんの乳糖が小腸に流れ込み、消化酵素のキャパシティを超えます。
未消化の乳糖が原因で、大量のガスや不快感、緑がかった・水っぽい・泡立った便を生じます。
●乳房の吸着の仕方が悪くなる
母乳の勢いを押さえるために、赤ちゃんの吸着が浅くなり、乳首が傷つきやすくなります。
●母乳量が激減してしまうことも
赤ちゃん自身が哺乳に受け身になり、努力せずに飲みくだすだけというスタイルになってしまう可能性もあります。
すると、4-6週後には、母乳の供給量が落ちてしまう危険性もあるのです。
対処法は?→※母乳過多・過飲症候群・乳糖不耐症まとめ
参考文献などはこちらから
母乳過多を解決するために必要なのは根性ではなく科学的知識
しこり・詰まり・乳腺炎などのトラブルを根本解決するためには、上手におっぱいに吸着させるスキルが欠かせません。タグ#ポジショニングをチェックしておきましょう。
母乳過多の原因や対処法についての記事一覧は、母乳過多から見ることができます。
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2017/5/13更新
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