へその緒のクランプを遅らせると、赤ちゃんの貧血が減る(6カ月)

現代医学では、分娩後、10秒程度以内にへその緒はクランプされ、切断されることが多いようです。
このタイミングには根拠はなく、議論の余地があるそうですが、クランプを遅らせるだけでこんなメリットがあることが明らかになりました(前回の記事の続き)。
正常な体重の満期産児のへその緒をクランプするのを2分遅らせた場合に、月齢6カ月までの鉄分と血液の状態が改善するか評価した。
358組の母子を、2つのグループにランダムに分け、月齢6カ月まで追跡調査した。
グループ① 分娩後10秒程度にクランプ
グループ② 赤ちゃんの肩が出てから2分後にクランプ
<月齢6カ月での結果抜粋>
血球堆積の平均値
グループ① 79.5 fL
グループ② 81.0 fL
鉄結合タンパク質フェリチン
グループ① 34.4 mug/L
グループ② 50.7 mug/L
貯蔵鉄
グループ① 30.7 mg
グループ② 57.6 mg
鉄欠乏性貧血(数値は生データ)
グループ① 4%
グループ② 0%
<結論>
クランプを2分遅らせることで、6カ月の貯蔵鉄をおよそ27-47 mg増やすことができる。
鉄分豊富な補完食を開始できる月齢6カ月になるまで、鉄欠乏症を防ぐことができる。
<原文>
7. Chaparro CM et al. Effect of timing of umbilical cord clamping on iron status in Mexican infants: a randomised controlled trial. Lancet, 2006, 367:1997–2004.
クランプを2分遅らせただけで、月齢6カ月時点での鉄欠乏性貧血の割合が0%になったとは、すごいですね。
今後、産科医療の現場のシステムが変われば、乳児の「鉄欠乏性貧血」を、より減らせるのかもしれません。
では、なぜクランプを遅らせるだけで、鉄貯蔵量を増やすことができるのでしょうか?
そのメカニズムについてはこちら→胎盤の最後の仕事とは?(分娩後)
貧血についてのさらなる情報は、タグ#貧血からもどうぞ。
WHOによる引用先の記事
2017/4/15更新
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