乳腺炎が悪化した症状:乳房膿瘍とは?|WHO
乳腺炎に適切な対処ができなかった場合、膿が溜まることがあります。
乳房膿瘍はどのように形成されるのかと、その診断方法、対処法をまとめます。
乳腺炎;原因と対処法, World Health Organization
7.7 乳房膿瘍
授乳期にある乳房は、他の組織が感染した時と同様に、患部周辺を肉芽組織でバリアを形成することで、感染を局在化させます。
これは膿が溜まった嚢胞となります(137)。
激しい痛みと、肥大したしこり、皮膚の赤み、熱感、浮腫を伴います。
放っておくと、しこり部分はタプタプした感触になり、皮膚の変色や壊死が起こります。
発熱する場合もありますが、ない場合もあります(11; 62; 67; 77; 117)。
診断を確定するために、広口径の針の注射器で膿汁を吸引することができます。
乳瘤(7.2章参照)、乳腺線維腺腫、がんを含めて鑑別診断が必要となります。
これらの状態については、このレビューではこれ以上言及しません。
9.3 乳房膿瘍
外科的処置
膿瘍が形成されていたら、膿を取り除かなければいけません。
通常の麻酔をして、切開し、排出することができます(77; 145)。
あるいは、超音波イメージングが利用できれば、吸引することもできます(35; 36; 47; 59; 79)。
超音波イメージングは乳房膿瘍の診断ツールとして有用で、完全に除去できれば、超音波で場所を特定しながらの吸引は治療に有効でしょう。
切開して排出するより痛みも少なく、傷も小さく済み、局所麻酔でしばしば外来対応として行うことができます(35; 36)。
通常、細菌の感受性に適した抗生物質による全身治療も必要となります(10; 67; 77)。
しかし、膿の除去をせずに抗生物質のみを用いても価値はないようです。
膿瘍部分は、病原性バクテリアを体の防衛機能から守るために、バリアを形成します。そのため、感染部位が効果的な抗生物質濃度に達することができないのです(10; 84; 134; 137)。
膿瘍が形成された場合、膿を取り除かないと、抗生物質を使っても効果が期待できないんですね。
手術することで快適な母乳育児を妨害しないためのポイントは、次の記事でまとめます。
母乳育児は、知識が深いほど、試練は小さくなります。
乳房膿瘍は乳腺炎に適切な処置ができなかった場合に起こりやすくなります。
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