射乳反射にも個性がある|人と違っても当たり前!

射乳反射(=催乳反射、オキシトシン反射)を感じないから、または、聞いた話と違うからと、母乳が十分に出ていないんじゃないかと不安になっていませんか?
そもそも、射乳反射というのは、母乳が分泌される現象ではなく、溜まっていた母乳が外に押し出される現象です。
授乳をすれば、誰でもほぼ起こるのです。
起こり方は、毎回の授乳によって、多少、違いがあるようです。
<研究内容>
オキシトシンの働きで射乳が起こると、乳腺葉から母乳が押し出されるので乳管の内圧が上がり、乳管は太く短い形に変形することで、拡張する。
乳管の形態学を超音波イメージングで解析することで、射乳の生理学を調査した。
<極端な反応が見られた例>
乳管が1回だけ、231秒拡張し続け、赤ちゃんは140 gもの母乳を飲んだ例があった。
その一方で、乳管が3回、合計270秒拡張した割に、赤ちゃんが飲んだ母乳は100 gだった例もあった。
つまり、直母量は、乳管の拡張の仕方や、最大の直径のサイズとは関係なかった。
ある女性は、3.5分間授乳しても乳管の変化がなく、直母量も5 gのみだった。
でも、この女性の他の授乳を調べると、乳管の変化があり、直母量はそれぞれ60、65、115 gもあり、24時間トータルでは674 gと標準的な母乳生産量だった。
つまり、射乳が起こらなかった場合は、直母量は少なくなってしまうことが示唆される。
オキシトシン反射に応じて、短時間に数多くの射乳が起こりうることは明らかである。
実際に、私たちは3分間に3回の乳管拡張を観察した。
短時間でたくさん哺乳する赤ちゃんは、頻繁に射乳を起こす刺激を与えていることが考えられる。
<原文>
Ramsay DT et al. Ultrasound imaging of milk ejection in the breast of lactating women. Pediatrics, 2004, 113:361–367.
射乳の起こり方は、それぞれの授乳によって、多少、違うのですね。
1回の授乳で、どのくらいの間隔で、何回起こっているかは、気にしなくて大丈夫です。
本文より、射乳反射と授乳の様子を調べると、こういうことが分かったそうです。
- 哺乳量・射乳時間・授乳間隔・授乳歴とは関係ない
- 24時間トータルの母乳の生産量と哺乳量とも関係ない
- 射乳反射は、母乳の生産状況や、赤ちゃんの食欲とは関係なく起こる
- 射乳反射が起こる回数は、授乳の度に違う。
つまり、一番重要なことは、授乳1回分の直母量も、射乳反射の回数も、その時々によって、多少、差があるけれど、
「赤ちゃん主導の授乳をしていれば、24時間トータルの哺乳量は足りるようになっている」
ということでしょう。
多くのお母さんが経験する母乳不足感
オキシトシン反射って何?どうすれば起こせるの?など、さらなる情報は、射乳反射から知ることができます。
張らないおっぱい・少ない搾乳や直母量に不安を感じたら、母乳不足感の知識が、迷信を撃退する助けになります。
増えない体重・多すぎる授乳回数・長すぎる授乳・おっぱいの痛みを解決するには、ポジショニングのスキルが欠かせません。
2017/5/13更新
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