おしゃぶりを使うと育児が下手になる

おしゃぶり使っていますか?その目的はなんですか?
おしゃぶりは、その目的と、効果の両方に、リスクがあります。
以下は、母乳育児の観点から、おしゃぶりのデメリットについて触れられている論文です(前回の記事の続き)。
「赤ちゃんのスケジューリング」を行うためには、授乳間隔を空けたり、栄養的に不必要におっぱいを吸うことをなくしたりする必要があります。
スケジューリングを支持する人の中には、そのために、過剰な泣きを防いで赤ちゃんを安定させる手段として、おしゃぶりを使うことを提案する人もいます。
しかし、そのような解決方法はリスクが伴います。
おしゃぶりを使っている赤ちゃんは、授乳時間が短い傾向にあることが証明されているのです。
また、赤ちゃんにおしゃぶりを与えているようなお母さんたちは、母乳育児をしていたとしても、赤ちゃんの行動を高度にコントロールするための取り組みを頻繁にしていて、ますます授乳時間が短くなる結果になっていることも認められています。
これは、最近、アメリカにおける授乳時間が、WHOや公衆衛生総局の推奨よりずっと短くなっていることを受けて、親と専門家の両方が気を付けるべき状況でもあります。
<原文>
Lisa Marasco, BA, IBCLC and Jan Barger, MA, RN, IBCLC. Examining the Evidence for Cue feeding of Breastfed Infants
授乳時間が短いことは、母乳不足の原因の一つになっています。
WHOも、専門家向けに、「おしゃぶりを使っていることが、母乳育児が上手くいっていないことを疑うサインになる」とコメントしています。
「赤ちゃんにおしゃぶりを与えているようなお母さんたちは、母乳育児をしていても、赤ちゃんの行動を高度にコントロールするための取り組みを頻繁にしている」…このセリフ、ドキッとしませんか?
つまり、おしゃぶりを使う人は、授乳や生活リズムのスケジューリングなど、「こうするべき」という理想を、赤ちゃん(!)に当てはめようとしている人が多いということが、研究で明らかになっているんですね。
<sumireの経験談>
そういう私も、新生児期におしゃぶり買いました。
その心理をひも解くと、私の場合は、「妊娠中に植えつけられた、「赤ちゃんはおっぱいとねんねの繰り返し」なるイメージにとらわれ、それと異なる行動(泣いてばかり)をとる子どもを、イメージに近づけようとするための手段として、おしゃぶりを採用した」のです。
寝ない子もいるんだ、泣いているなら、抱っこやおっぱいで応えてあげれば、それで十分なんだ、という知識も発想もなかったんですね。
実際に、長時間、抱っこしたり授乳したりする肉体的負担も辛かったと思いますが、それより、「なぜ思い通りにいかないのか」という心理的負担で参ってしまっていた、と現在の私は分析しています。
程度の差はあれど、最初は誰もが通る道かもしれません。
経験を重ねれば、「赤ちゃんが予想通りの行動をとるわけがない」のは、当たり前すぎて、悩むポイントですらなくなるんですけどね。
<「こうあるべき」が減るだけでもストレスは減る>
記事タイトルに関して、「育児が上手い」とは、「自分達親子が他の親子と違う点に不安にならず、赤ちゃんが、赤ちゃんらしくあることを許せて、赤ちゃんの要求に応えることに疑問や苦痛を感じない(たまに喜びや安らぎを感じられたら敵なし)」様子と定義しています(仮)。
子育ての能力は、生まれつき備わっているんじゃなく、後天的に身につけていくもののようです。
そして、ヒト(あるいは哺乳類)は、
「たとえ最初は赤ちゃんの要求に応え続けることにやすらぎを感じられなくても、苦痛ばかりを感じていても、そのまま赤ちゃんに振り回されていれば、だんだん育児は上手になっていく」
ようにできているということです。
おしゃぶりを使わなくても、親が平気になっていけるんですね。
そのヒント→※母乳を出すホルモン、オキシトシン④心理的効果
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2017/5/13更新
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