「頻回授乳」って、どのくらいすればいいの?
頻回授乳って、何回くらいのことだと思いますか?
人によって、「頻回授乳だ」と感じる頻度のイメージは、全然違うようです。
生理学的には、どのくらいだとどのような影響が出るのでしょうか?
以下は、母乳を生産するホルモンの「プロラクチン」に注目し、ひたすらプロラクチン濃度と授乳の関係を研究した、1984年の論文です(前回の記事の続き)。
血液中のプロラクチンレベルは、授乳を開始して30-40分後にピークになり、授乳後2時間以内に元のレベルまで下がる。
●授乳頻度が頻繁な場合(1-3時間おき)
プロラクチンレベルが低くなる暇がないので、プロラクチン濃度のベースラインは高いままだった。
●授乳頻度が少ない(4時間おき程度)場合
授乳と授乳の間の時間に、授乳をしていない女性とほぼ同じレベルまで、濃度が下がった。
これは、吸てつによるプロラクチン反射が有効な、出産直後でさえもそうだった。
よって、産後時間が経つにつれて、プロラクチン濃度が減少するスピードも、より早かった。
<原文>
20. Glasier A, McNeilly AS, Howie PW. The prolactin response to suckling. Clinical Endocrinology, 1984, 21:109–116.
授乳間隔が4時間程度おきの場合は、プロラクチン濃度が「授乳をしていない女性と同じレベル」まで下がってしまうんですね。
つまり、その間は、母乳の生産システムは「休止状態」に近づいてしまうでしょう。
「産後、プロラクチンレベルが減少するスピードも早い」ということは、前回までの記事に書いたように、「母乳の生産量を維持し続けるためのスタートダッシュ」も十分にはできないかもしれません。
授乳頻度が1-3時間おきの場合は、プロラクチンレベルは高いままなのですね。
つまり、少なくとも母乳育児が軌道に乗るまでは、1-3時間以内の授乳を基本とすることが、長期的にうまくいく秘訣かもしれません。
(たまに4−5時間空く程度は妥当)
母乳の生産量をちょうどよくする授乳方法や、効率よく母乳を飲むためのスキルを身につけるには、ポジショニングが欠かせません。
母乳が増えたり減ったりする仕組みについては母乳の生理学もどうぞ。
2017/5/12更新
コメント
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はじめまして。生後1ヶ月半の娘を育てている新米母親です。妊娠中から拝見し、子供が産まれてからも参考にさせていただいておりました。
おかげさまで、当初は混合でしたが先週から完母になりました。ありがとうございます。
授乳間隔のことで質問があります。
ミルクを足していた時からそうだったのですが、娘は夜よく眠るタイプで生まれた時から2~3時間は寝ていました。成長につれ時折4時間以上眠ることがあり、授乳間隔も4時間以上開くことがありましたので、これはミルクのせいかと思い、母乳のみに移行しました。
しかし、母乳のみに移行してから更によく眠るようになり、毎夜4~5時間授乳間隔が開くようになってきてしまいました。
まだ授乳間隔が開くような月齢ではないと思うのですが…。娘が、自分から要らないと思うまでは母乳をあげたいと思っているので、ここで夜間の授乳間隔があくことで後々母乳が出なくなったり足りなくなったりしないかと不安です。
娘は日齢50日。体重は25~30g/日ペースで増加しています。おしっこは7~10回程度で無色です。夜は連続して眠りますが日中は一時間以上まとまって寝ることは稀です。機嫌よさそうにしているか、30分程度の短い睡眠をとっています。授乳回数は8~10回ですが、夜が少ない分日中多めになるように私が意図してあげています(寝ぐずりや抱っこして欲しくて泣いてるときに、おっぱいをくわえてもらっています)
母乳が軌道に乗ったと喜ぶべきなのか、後々母乳が出なくなる布石なのか。お考えを教えていただけないでしょうか?
はじめまして。夜間授乳が少ないことが、今後の母乳育児に悪影響がないか心配していらっしゃるんですね。
コメントを拝見する限り、単にそれが娘さんの授乳パターン、睡眠パターンということじゃないかなと思いました。
ちなみに、「ミルクはよく寝て母乳は寝ない」「低月齢は頻繁に起きて高月齢はよく寝る」は、迷信です。今後記事にできればと思っていますが、低月齢でも6時間以上寝る子もいるので、安心してください。
日中の授乳回数と赤ちゃんの成長が妥当なら、母乳の生産能力が落ちる心配はしなくていいんじゃないかなと思います。
ただ、授乳間隔が6時間空くと、排卵が起こる(月経再開)と言われています。
また、乳腺炎などのトラブルのリスクも上がります。
その辺を知っておけばいいんじゃないかなと思います!