母乳が足りないのはお母さんのせいじゃない
もし、あなたが3時間おき、4時間おきなどと授乳のスケジュールを決めていて、母乳育児がうまくいかないと感じていたなら、それは自分の体質的な問題でも、努力の問題でもなく、「定時授乳していること」が原因でしょう。(前回の記事の続き)
産後数カ月は、定時授乳でもうまくいく女性は多いようです。
でも、定時授乳をしていた女性たちの多くは、3-4カ月くらい経つと、母乳の生産量が著しく減ってしまいます。
なぜ、3-4時間おきの定時授乳をしている母子には、
- 赤ちゃんが順調に育つことができないパターン
- 最初の数カ月だけは足りていたのに、その後上手くいかなくなるパターン
- 最後まで母乳育児がうまくいくパターン
というような違いが出るのかが、数々の研究によって明らかになりました。
母乳育児がうまくいくパターンになるかどうかは、全ては
「個人の生理学的な違い」
と、
「母乳育児の管理の仕方(定時授乳か赤ちゃん主導の授乳か)」
にかかっていたのです。
お母さんが、「任意の、あるいは平均的な授乳スケジュールに、きちんと従っていたかどうか」は全く関係がありませんでした。
今まで、定時授乳で母乳育児がうまくいかなかったお母さんたちは、
「十分な母乳を生産する身体的能力に欠けているためだ」
または
「指導されたやり方をきちんと実行できていないからだ」
と言われてきました。
その結果、コンプレックスと罪悪感を、とても深刻な精神的負担として抱え、耐えていかなければならなかったのです。
<原文>
Lisa Marasco, BA, IBCLC and Jan Barger, MA, RN, IBCLC. Examining the Evidence for Cue feeding of Breastfed Infant
母乳育児がうまくいかないと悩んだり、落胆したり、根拠不明の負い目を感じたりするお母さんは少なくないと思いますが、うまくいかないのは、お母さんのせいじゃないんです。
なぜなら、誰も正しい知識で励ましてくれる人がいないだけじゃなく、間違った知識を教えてくれる人ばかりに囲まれて、母乳育児を成功させることは至難の業(というかほとんど不可能)だからです。
「個人の生理学的な違い」とは、いわゆる「母乳が出る体質かどうか」ではありません。
たとえば、授乳の仕方で、母乳を作る細胞の数も大きく変化します→※「母乳育児が軌道に乗るには100日かかる」は本当だった
「母乳育児の管理の仕方」として優れている授乳の仕方とは→※「母乳育児が軌道に乗る授乳方法」のやり方・疑問・悩み|まとめ
関連記事
多くのお母さんが経験する母乳不足感
一般的に、赤ちゃんの様子で困ったことがあると、何かとおっぱいのせいにされがちです。
そのため、たとえ必要以上に母乳が作られていたとしても、「母乳が出ていない」と感じることも珍しくありません。
母乳育児を軌道に乗せるために必要なのは、運や根性ではなく、知識とスキルです。
張らないおっぱい・少ない搾乳や直母量に不安を感じたら、母乳不足感の知識が、迷信を撃退する助けになります。
増えない体重・多すぎる授乳回数・長すぎる授乳・おっぱいの痛みを解決するには、ポジショニングのスキルが欠かせません。
2017/4/16更新
コメント
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なんて素敵なタイトルでしょう…。母乳育児に悩んでいる全てのお母さんが待ち望んでいた言葉ではないでしょうか。
ところで、長男のとき母乳育児がうまくいかず、混合で6ヶ月まで育てたのですが、そのときに買った「牛蒡子」や「乳泉」、その他の漢方薬やハーブティーなどがまだ残っているのですが、いざ今長女を母乳のみで育てていると、正しい授乳で母乳育児が確立できるということは、漢方薬やハーブティは効果がないのだろうか、と疑問に思えてきました。
確かいつかの記事にもあった「母乳の量が増える2種類の薬」も、瀕回授乳なしで母乳の量が増えるわけではないということだったような(うろ覚えですみません)。
漢方薬なんて結構何万円もしたんですが…いまいち効果があるようなないようなでもう飲んでいないのですが、場所をとるので捨ててしまいたい気持ちもあり。
「個人の生理学的な違い」に関する次の記事も楽しみにしております!
なかなかピタッとくるタイトルが思いつけないのですが…。
「間違った情報を教えられ」「その結果母乳育児がうまくいかず」「それなのに、母乳で育てられないことを非難される(罪悪感をもつ)」なんて、不合理ですよね。
母乳育児の知識がない人ほど、声が大きいのかな?
東洋の薬も、西洋の薬も、あくまで補助的なものなんじゃないかなーと思っています。
「8-9割は授乳の仕方」によるけど、「あと1-2割、力を貸してほしい時に、役に立つ」というような。
漢方など、何万円もしたのですね…捨てるのはもったいないですね…捨てるのは母乳育児が終わってからでいいような気も…(^-^;)