月齢3カ月頃から母乳が減る人がいる理由

母乳の生産になくてはならないホルモンの、「プロラクチン」の働き方は、産後、時間が経つにつれて、変わっていきます。

 

産後数カ月は完母でも、赤ちゃんが月齢3カ月になる頃から、母乳が足りないと感じる人も少なくないようです。

以下は、その「理由の一つ」を明らかにした論文です(前回の記事の続き)

 

<内分泌制御 vs 自己分泌制御 理論>

定時授乳には、潜在的な問題もあります。

母乳の生産に関わっているプロラクチンは、産後数カ月は母乳を十分に生産するために、とても重要なものです。

でも、血中のプロラクチンレベルは、産後数カ月かけて、一定の値まで下がっていきます

その頃からは、母乳の生産量を維持するために、プロラクチンレベルを高い値でキープすることが不可欠ではなくなっていくのです。

 

この明らかな矛盾は、内分泌 vs 自己分泌 制御理論として説明されてきました。

 

●内分泌制御

プロラクチンとオキシトシンというホルモンが、母乳の生産の主な担い手。

これは、産後短期間で確立される。

 

●自己分泌(局所)制御

母乳を分泌する細胞にある、「プロラクチン受容体」の数によって、母乳の生産が影響を受ける。

産後3カ月を過ぎる頃から、この制御がメインになる。

受容体が育つために必要な刺激は、授乳を頻繁にすればするほど大きくなる。

 

<原文>

Lisa Marasco, BA, IBCLC and Jan Barger, MA, RN, IBCLC. Examining the Evidence for Cue feeding of Breastfed Infants

 

<プロラクチンとプロラクチン受容体って何?>

「プロラクチン」は母乳を作るホルモンですが、それが脳から分泌されると、血液中を流れ、おっぱいまで届きます。

「プロラクチン受容体」というのは、母乳を分泌する細胞の表面に生えている、「グローブ」のようなものです。

 

そして、受容体という「グローブ」が、血液中を適当に飛んできたプロラクチンという「ボール」をキャッチすると、初めてその細胞に「母乳を作ってね」という指令が伝わるのですね。

 


<内分泌・自己分泌の制御理論ってどういうこと?>

簡単にまとめると、

  • 産後数カ月間は、母乳の生産量のコントロールは、「飛んでくるボールの数」が重要。
  • それ以降になると、母乳の生産量のコントロールは、「細胞に生えているグローブの数」が重要になる。
  • ボールやグローブの数を増やすためには、頻回授乳が効果的

ということなのです。

 

ball

左:最初はグローブは少ないけど、ボールをたくさん飛ばせばいい

右:ボールは減るけど、グローブを増やしておけばいい

 

つまり、産後数カ月の授乳回数が少なすぎた場合、そのままの授乳スケジュールで過ごしていると、産後3-4カ月頃から母乳の生産量が減ってしまう危険性もあるということなんですね。

 

多くのお母さんが経験する母乳不足感

一般的に、赤ちゃんの様子で困ったことがあると、何かとおっぱいのせいにされがちです。

そのため、たとえ必要以上に母乳が作られていたとしても、「母乳が出ていない」と感じることも珍しくありません。

母乳育児を軌道に乗せるために必要なのは、運や根性ではなく、知識とスキルです。

張らないおっぱい・少ない搾乳や直母量に不安を感じたら、母乳不足感の知識が、迷信を撃退する助けになります。

増えない体重・多すぎる授乳回数・長すぎる授乳・おっぱいの痛みを解決するには、ポジショニングのスキルが欠かせません。

書籍「ちょっと理系な育児 母乳育児編」に、母乳不足感を打ち消すための科学的知識がまとめられています。

 

2017/4/16更新

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コメント

    • 3児ママ
    • 2019年 3月 26日

    今日で5ヶ月になる男の子を育てています。

    見事にこの記事の通り3ヶ月頃から母乳の生産が減ってしまいました。
    2ヶ月頃から1日の授乳回数が5回程になり、3ヶ月頃から体重が増えなくなり、4ヶ月健診で体重増加不良と言われてしまいました。
    上の子2人の時は母乳の分泌が良く、母乳の量に関しての変な自信と油断プラス陥没乳頭のため乳頭に傷が出来、授乳が苦痛になっていた時期でした。
    現在の1回の直母量は120位でした。
    授乳は30分くらいかけています。
    母乳量どうしても増やしたく、頻回授乳をするようにしています。
    新生児の時は乳頭トラブルのため搾乳したものを哺乳瓶であげて8回でした。現在は乳頭トラブルだいぶ落ち着いたもののまだ傷があります。ポジショニングの記事も見させた頂きましたが、毎回うまくはいかない感じです。

    そこでいくつか相談があります。
    まず母乳量を増やすために頻回にしてるのですが、泣いたらおっぱいをあげているので眠い時もありそんな時は授乳開始してもすぐ寝てしまいいつまでも咥えてチュクチュクしてるだけに思います。一度乳首離して再度咥えさせてもすぐ寝てしまいます。
    そのまま寝かせようとすると泣いておきますが…
    この状態で長いこと吸わせていても意味はあるのでしょうか?

    また母乳量増やすためにおっぱいを空にすると言うのは、空とはどのような状況になった時でしょうか?
    直母の後、搾乳する事もありますが、搾乳しずらくなった状態で空になったとみなしてもいいのでしょうか?
    左右搾乳してまた最初に搾乳した方に戻るとまた少し出ます。

    わかりにくい文章ですいません。
    よろしくお願いします。

    • これまで様々なハードルを乗り越えてこられたことが伝わってきました。大変だったと思います。

      今は、ポイントは分かったけどなかなか思うようにいかないことがある、という感じでしょうか。

      まず、だらだら授乳しながら寝ることはよくあることで、それで都合が悪くなければ付き合っていいと思います。
      お子さんが落ち着いて寝れるだけでなく、母乳だけに注目しても、母乳の生産量を増やしたり、お互いの授乳スキルが上がったりなどが期待できます。
      でも、絶対に付き合わないといけないものでもないので、都合が悪い時は省略して全く構わないと思います。

      次に、母乳を増やすために空にしないといけないと感じていらっしゃるようですが、空にすることを目的にすると大変なので、一度横に置いてください。
      どちらかというと、「張っている状態」が続くほど、生産量が減っていきます。

      今は、ポジショニングを見直している最中なので、直母だけでまかなえない分を搾乳で、という作戦は効果的だと思いますが、空にするための搾乳はしなくて大丈夫じゃないかなと思います。

      今の授乳回数はどのくらいか分かりませんが、頻回授乳を心がけていらっしゃるとのことで、それで120も飲めているなら母乳はたくさん出てる可能性があるので、ポジショニングの試行錯誤と、おしっこや体重推移の経過観察に注目されるといいかもしれません

        • 3児ママ
        • 2019年 3月 27日

        早いお返事ありがとうございます!

        直母乳量測って120飲んでいた時は1日に7.8回授乳、ミルク1回180、搾母乳を40×2あげていました。

        小児科の先生に毎回しっかり120飲めていれば1日8回の授乳でも体重は増えていくだろうとの診断で今、母乳のみで5日目になります。
        また後日経過観察ありますが、1回の量を増やしていけたらと思ってます。
        今は12回ほどあげるようにしていますが、昼間でかけたり夜中1度しかあげれなかったりすると回数が減ってしまいます。。

        なるほど!付き合える時は可能な限り授乳付き合っていこうと思います!
        ポジショニングはだんだんでありながら痛みが軽減されてるように感じるのでこのまま傷が閉じてくれればと思います。

        夜中の授乳後に30〜40絞ったり、寝ててあまり飲んでくれなかった時に搾乳したりしていました。
        ありがとうございます!
        張ってる状態が続かないように気をつけて
        また少し経過を見てみようと思います!

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