鉄分強化食品・サプリメントと離乳食

特に鉄分強化食品やサプリメントが必要になるのは、どんな場合でしょうか。

 

WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」

第3章 補完食

3.1補完食の指導原則

 

指導原則9. 必要に応じて、栄養強化食品や、ビタミンやミネラルのサプリメントを用いましょう。

 

主に野菜が中心の、栄養強化されていない補完食は、通常、いくつかの重要な栄養素(特に鉄・亜鉛・ビタミンB6)が不十分です。

動物性の食材でそのギャップを満たせることもありますが、コストがかかるので、低所得層にとっては現実的ではありません。

さらに、赤ちゃん(例えば月齢6-12カ月)が摂取可能な動物性食材の量は、通常、必要な鉄分量とのギャップを埋めるためには不十分です。

これらの栄養素を満たすことが難しいのは、発展途上国だけの問題ではありません。

鉄分強化製品が広く利用可能でなければ、先進国の赤ちゃんの鉄分の平均摂取量は、推奨される摂取量より不足してしまうでしょう。

 

よって、動物性の食材がほとんどまたは全く利用できない家庭の場合は、鉄分が強化された補完食または栄養サプリメントを使用した食事が不可欠でしょう。

 

離乳食は、野菜中心のヘルシーな「大人が嬉しい料理」ではなく、初期から動物性食材も加えられると理想的なのです。

動物性食材とは、牛・豚・鶏・魚介類などのことです。

日本では、離乳食の初期は米や野菜のみで、肉類を食べさせ始めるのは遅いですが、欧米では、月齢6カ月から鉄分補給を意識した補完食を与えているそうです。

 

赤ちゃんはお腹の中で、生後半年~1年以上にわたって必要になる鉄分を蓄えて産まれてくることが分かっており、貧血の原因は「産まれた後の鉄分摂取量」以外の要素が大きくかかわっていることも分かっています。よって、鉄分だけを心配せず、母子ともに栄養豊富な食事をとれるように周囲がサポートすることが、鉄欠乏性貧血を含めて様々な疾患を防ぐためには効果的だと考えられます。

 

赤ちゃんの貧血についての新情報はタグ#貧血からどうぞ。

補完食についてのWHOのガイドラインは【第3章まとめ|補完食は離乳食と別のものです】を読めば、全てが分かります。

行儀が悪い・食べない・食べ過ぎる・アレルギーなどについての悩みは【離乳食の悩みから解放されたい!補完食のヒント集】をどうぞ。

2017/4/7更新

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コメント

    • アンティーク
    • 2016年 12月 01日

    こんにちは。先日はお返事ありがとうございました。
    いつも楽しく拝見させて頂いており、とっても勉強になっております。
    ありがとうございます。
    ドイツにて6か月の女児を育児中で、また離乳食について疑問が出てきたので
    お忙しいと存じておりますが是非ご教授いただけましたら幸いです。

    現在離乳食(補充食)は1日2回(12時・17時頃)食で
    一食あたり125g程度、100kcal程度で進めております。

    ①6−8ヶ月は母乳+200kcaの補充食との事ですが6ヶ月初めの時点で既に一食125g・1日200Kcal
    は与えすぎでしょうか?母乳の飲む量の減少は感じますが頻度は変わりありません。

    もう少しカロリーダウンして徐々にカロリーアップしていくべきでしょうか?6−8か月の子供の身長体重に関係なく2か月間は1日あたり200kcalの補充食を与えて問題ありませんでしょうか?食事が気に入ったようで喜んで全部食べきるので9か月になるまで、この先足りなくなるのでは?とちょっと心配です。。

    5ヶ月まで母乳のみ、現在も母乳と補充食のみです。
    娘は食べるのが好きなようでいつも完食なのでまだ量を食べれそうです。
    ちなみに身長68cm体重8600gで少し大きめです(父親はドイツ人)。
    6ヶ月検診の時に大きいのでドクターに肥満は大丈夫か質問しましたら
    全く問題無いので気にする事は無いと言っていただいてます。(でもWHOの曲線では体重重めですよね、、母乳のみだったのに大きくて不思議でした。)
    補充食の内容は、ほぼいつも市販の瓶詰めのオーガニックのベビーフードです。
    190gの容量で大体1瓶180kcalで『一食分』と書いてあるのですが多すぎるので
    いつも瓶の半分のベビーフードに、生後4か月からOKのオーガニックのライスパウダーか全粒粉の麦のフレーク、またはミューズリーのフレークを20g程混ぜ、100Kcal位になるようにしています。
    ベビーフードは色んな食材が盛り込んであり添加物も入ってなく手づくりよりもお手軽・お手頃だしオメガ3やビタミン強化されていたりするので、安心して利用しておりました。

    ②毎食市販の瓶詰めベビーフード100g+炭水化物のフレークでは栄養素的に問題がありますでしょうか?

    とある一瓶の原材料は、
    野菜44.5%、水、肉8.5%,天然とろみ(多分片栗粉かトウモロコシ)、
    菜種油0.6%、ひまわり油0.3%
    です。

    100gあたりの栄養素は
    57kcal,脂質2.2g(うち飽和脂肪酸0.6g)、炭水化物6.4g(うち砂糖2.1g),
    食物繊維1.4g、たんぱく質2.2g、塩0.08g、ナトリウム0.03g

    ③手作りで補充食を作る場合の炭水化物、たんぱく質、脂質などの割合は
    上記の市販のベビーフードの割合で大丈夫でしょうか?

    もしもWHO推奨のバランスのパーセンタイルがございましたら教えていただけませんか(もし過去記事に見落としがございましたら申し訳ございません。)?
    もしくはsumire様が作られる割合などがございましたらお聞かせ願えますでしょうか?

    ④消化機能の問題で、一食あたりのお肉の使用量の限度はございますか?

    嬉しそうに食事をしている娘を見ていると、手作りの食事を作ってあげたくなってきました。
    しかし、私の持っているドイツの離乳食の料理本と日本の料理本にかなりギャップがありすぎて驚いています。
    例えばドイツの本によると一食あたり185kcalもあります(瓶のフードもその位ですね)。
    お肉も使用してます。
    日本の本ではお粥と野菜ペーストのような感じで、白身魚はOKだがお肉はまだ使用不可と書いてあり
    見るからに超低カロリーです。。

    以上4点、色々諸説があるかと存じますが何かアドバイスいただけましたら幸いです。
    宜しくお願い致します。

    • 食事の量や内容について心配されているんですね。
      ●食事量について 
      お子さんは月齢に対して体重がやや大き目とのことですが、身長に対する体重はごく標準的ですので、肥満の心配はないんじゃないかなと思います。月齢ー体重曲線身長ー体重曲線を時々チェックして、スタンダードカーブを大きく横切りそうな角度で体重が増えていたら油脂を中心として食事の与えすぎを簡単にチェックできます。
      1日200 kcalはあくまで目安で、実際は月齢によっても子どもによっても幅があるので、もっと欲しがればあげていいと思いますし、時期によって食べる量が減ることもあるかもしれません。

      ●食事内容について 
      ベビーフードで構わないと思います。が、ベビーフードに使われている食材は限られていますし、新鮮な食材でしかとれない栄養素もあるので、フルーツやヨーグルトなど簡単に用意できるものも組み合わせられるといいかもしれません。
      わざわざ補完食用の食事を作らなくても、大人の食事からの取り分けでも大丈夫です。
      日本の離乳食は一般的に低栄養・低カロリーなので、無視してドイツ寄りにされてもいいと思います。

      家庭レベルの食事で厳密にカロリーや食材の比率を計算するのは難しいので、「0歳代で母乳を飲む量が激減している・体重が激増している」がなく順調に成長していれば良い調子であるサインだと思っていいのではないでしょうか。
      経験的には、「肉ばかり食べる日、主食ばかり食べる日、野菜ばかり食べる日」など偏ることもよくあるので、基本的に子どもが食べたがるなら食べさせて、1週間単位や1ヶ月単位で欠けている食材グループがないように気を付ける、という感じです。

        • アンティーク
        • 2016年 12月 01日

        sumireさま
        早速のお返事誠にありがとうございます(*^_^*)
        相談出来る人が周りにおらず心配になっておりましたので本当に助かりました。
        なるほど、1日の数字にとらわれ過ぎずに子供の成長具合や子供の要求に合わせて
        長期的に調整していけばいいですね!
        フルーツやヨーグルトを足すと言うアドバイス参考になります。
        私たちの食事を取り分けベビーフードと混ぜたり
        地域の新鮮な物をプラスしたりしながらこの調子で進めて行こうと思います!
        sumireさんの御経験談もお聞かせ頂けましてとても参考になりました。
        ありがとうございます。これからも応援しております!!

    • aiko
    • 2017年 8月 27日

    こんにちは。産後からずっと参考にさせていただいております。いつも貴重な情報を提供してくださり、ありがとうございます。
    混合栄養の場合の離乳食の量についてアドバイスいただきたく、よろしくお願いいたします。
    もうすぐ7か月になる娘ですが、離乳食75mlを1日3回食べています。
    眠いときや夜間にしかしっかりと母乳を飲みませんが、なんとか働きかけて、1日8回くらい母乳を飲んでいます。
    ミルクは1日に4回与えていましたが、離乳食をはじめてから、離乳食後のミルクをあまり飲まなくなりました。
    6か月になり離乳食をはじめてから、体重増加は1か月で500g程度あり、良好のようです。
    今までは1回にミルクを80ml飲んでいましたが、今では40mlくらいしか飲みません。
    まだ6か月なのに、こんなにミルクを飲む量が減ってしまって大丈夫でしょうか。
    また、これから離乳食が増えるにつれて、欲しがらなければ、この頃の月齢でもミルクをやめてしまってよいのでしょうか。
    母乳だけでは栄養や水分が足りないと思うので、心配です。
    どうぞよろしくお願いします。

    • 母乳だけでは栄養や水分が足りないと思い、ミルクをやめていいのか心配していらっしゃるんですね。
      母乳よりミルクの方が栄養豊富であるという説は、ほぼ迷信なのですが、今はそれが常識だから、心配ですよね。
      結論としては、ミルクをやめても大丈夫だと思いますが、母乳の基礎をご覧いただくと、不安が減るかもしれません。
      離乳食の量はカロリー密度によっても変わるのでなんとも言えませんが、体重推移が順調なら、必要なだけ食べられているんでしょうね。

        • aiko
        • 2017年 9月 11日

        お忙しいところ返信してくださり、誠にありがとうございました。また、参考となる記事もお示しくださり、本当にありがとうございました。
        もう一つ質問なのですが、離乳食で鉄分を補うために早くから赤身の肉や魚を与えることが重要だということですが、まだ歯が生えていないため、与え方に悩んでいます。ひき肉なども加熱するとまとまるので、つぶしても、小さいかたまりを丸飲みになり、消化不良をおこさないか心配です。
        sumireさまは、離乳食初期の段階でどのように離乳食で鉄分を補う工夫をされていたか教えていただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。

        • 私の場合は、肉類は、小さめのすり鉢ですりつぶして、おかゆなどに混ぜて食べさせていました。
          ひき肉だけでなく、大人の食事からも塊肉を少し取り分けてすりつぶし、おかゆに混ぜて食べさせる感じです。
          やりやすい方法でいいと思います!

            • aiko
            • 2017年 9月 14日

            すりつぶせばよいのですね。ありがとうございました!早速チャレンジしたいと思います。

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