⑧赤ちゃんに優しい病院では、赤ちゃん主導の授乳を奨励されます

時計を見ながら、大人が授乳のタイミングや授乳にかかる時間を決めなくても、赤ちゃんは自分で飲みたいタイミングや量が分かっています。

赤ちゃんまかせにすると、どんな飲み方をするのでしょうか。

 

全ての赤ちゃんに優しい病院(BFH)が守らなければいけない、母乳育児を軌道に乗せるための10ステップ(通称:母乳育児を成功させるための10カ条)の、Step 8です。

WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」

第4章 産科施設における、乳児の栄養法の管理と支援

4.6 母乳育児を支援する環境づくり

 

Step 8 赤ちゃんが欲しがるたびに授乳することを、奨励する。

 

赤ちゃんが欲しがるたびに、日中・夜間関係なく、赤ちゃんが哺乳の準備ができたサインを示したときはいつでも、授乳することを奨励しましょう。

 

これを「要求に応じた授乳」「赤ちゃん主導の授乳」「制限なしの授乳」といいます(第2章2.12参照)。

 

お母さんは、赤ちゃんが自分から乳房を離すまで授乳を続けましょう。

赤ちゃんは一般的に、だんだん哺乳量は少なくなって休む時間が長くなり、吸てつもゆっくりになり、そして乳首を吐き出して満足そうにもたれかかります。

 

 

数分後、お母さんは反対の乳房も飲ませようとするべきですが、赤ちゃんは飲むかもしれないし飲まないかもしれません。

飲まない場合は、次の授乳は反対の乳房から始めればいいのです。

 

生後数日は赤ちゃんがとても頻回に母乳を欲しがることがあります。

これが母乳の分泌を促進するのに有利に働きます。

 

医療従事者は、赤ちゃんが上手な吸着と効率的な哺乳ができることを確実にし、「授乳が軌道に乗れば、頻度は減る可能性がある」とお母さんに教えましょう。

 

上手に乳房に吸着できているかをチェックしてもらった上で、頻度を心配せずに好きなだけ飲ませた方が、母乳育児は軌道に乗りやすいんですね。

上手な吸着と効率的な哺乳ができるようになるためには、ポジショニングの知識とスキルが欠かせません。

赤ちゃんの授乳頻度や授乳にかかる時間についての研究結果などは授乳パターンから見ることができます。

 

 

ステップ8に関して、BFH認定という肩書のない病院の場合は、以下の条件に当てはまるほど、赤ちゃんに優しい病院だと考えられます。

  • 授乳には時計は必要ないことを教えてくれる(授乳間隔や授乳にかかる時間を計らない)。
  • 赤ちゃんが欲しがるたびに授乳すると、どんな授乳パターンになるか教えてくれる
  • 赤ちゃんの哺乳の準備ができたサインについて教えてくれる

 

母乳育児の立ち上がりに必要なのは母親の努力より医療システム!

BFHと名乗る病院が達成しなくてはいけない条件は何?近くにBFHがなくても、できるだけそれに近い産科施設を選ぶための見分け方は?

など、産科施設のシステムについての話は第4章まとめ|赤ちゃんに優しい病院、BFHとはにまとめてあります。

 

2017/1/30更新

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コメント

    • みな
    • 2015年 7月 18日

    コメント内容は以下に移動させていただきました。
    授乳間隔が5時間空くと母乳が減る?(2ヶ月)

  1. 初めての経験だと、赤ちゃんのサインを読み取るのは簡単じゃないですよね。
    間違えても気にせず、「おっぱい欲しい?いらないかな?」などと、コミュニケーションのつもりで気軽にやりとりしていけば、そのうちコツがつかめるかもしれません(^^)

    • yumi
    • 2015年 12月 24日

    生後52日を迎えた男の子の母です。
    おっぱいを飲みながら毎回のように寝てしまうのですが、
    何か授乳の仕方に問題があるのでしょうか?

    縦抱きだと苦しそうにして嫌がるため、レイバックや横抱きで授乳しています。
    現在も昼間は頻回授乳で多いと20回近いです。だいたい1時間ごとに欲しがり、30分も空かずに欲しがることもよくあります。ただし、夜は4時間くらいまとまって寝て一度授乳すればまた2時間くらい寝て朝を迎えます。
    もともと生後2週間くらいまでは日平均8gずつしか体重が増加していなかったので、そこから頻回授乳を徹底的に行うようにして日平均50g増えるのうになりました。

    自分の授乳の仕方に自信が持てず、このままでいいのか心配です。改善できる点があれば教えてください。

    • 授乳中に寝ることが多いのですね。
      赤ちゃんがおっぱいをくわえていると眠くなることは自然なことなので、それ自体は問題ないと思います。
      必要な母乳が飲めているかどうかは、おしっこと体重変化で分かります。体重変化は、g/日は分かりにくいので、体重の記録を成長曲線につけてカーブの角度で判断するとより正確です。
      その他、乳房トラブルや赤ちゃんの様子で困ったことなどがあれば、授乳の仕方に改善点があるサインかもしれません。
      おしっこ・体重変化・トラブルなどはいかがでしょうか。

        • yumi
        • 2015年 12月 25日

        お返事ありがとうございます。
        1ヶ月検診時の体重は成長曲線のカーブより少し下ですが、おしっこは毎日よく出ていて色も無色です。うんちも豪快にして漏れるほどです。
        おっぱいトラブルも今のところ大丈夫ですが、ちょっと疲れてきました…

        授乳で眠くなるのは分かるのですが、あまりに寝すぎではないかと心配です。
        5分と経たずに寝てしまったり、離さなければくわえたまま1時間寝ていたり。
        頻回なのも、離さないまま寝るまでくわえているのも満足していないからでしょうか?
        授乳の仕方で改善できそうなことがあれば教えてください。

        • おしっこと体重について具体的な数字が分からないので、赤ちゃんが満足しているのかは分かりません。授乳の様子だけで、母乳が足りているかどうかを推測することはできないので、仮定で、改善点を考えてみました。

          ●十分な母乳が飲めている場合
          単純に寝るのが苦手なタイプの赤ちゃんなのかなと思いました。例えば、私の子どもは、おっぱいを飲みながらなら寝るけど、布団に置くとすぐ起きる、という感じでした。そんな時は、クッションなどに寄りかかって抱っこ(授乳)しっぱなしにしていれば、子どももよく寝て自分も楽でした。

          ●十分な母乳が飲めていない場合
          タグ#ポジショニングに、効率のいい哺乳のポイントをまとめているので、参考になるんじゃないかなと思います。良い授乳姿勢を母子ともに習得できれば、授乳は今よりずっと楽になると思います。

          ●母乳過多の場合
          情報が少ないのであくまで仮定ですが、母乳過多の徴候に当てはまることはないか、一度チェックしてみてもいいかなと思いました。母乳過多が重症になると、赤ちゃんの体重が増えなかったり、授乳頻度が急増したりすることもあるからです。

    • shutatsu
    • 2017年 10月 27日

    はじめまして、過去記事にレス失礼します。

    今2人目、生後2ヶ月になる赤ちゃんがいます。
    一人目は離乳食が始まる頃までは3時間以上は間隔を開けないように頑張り2歳まで授乳していましたが、
    今は赤ちゃん主導?の欲しがる時に授乳をしています。
    ちなみに1ヶ月検診では48g/日、もうすぐ2ヶ月で家庭体重計での計測ですが、約48~50g/日増えています。

    生後1ヵ月を過ぎた頃から夜長く眠るようになりました。
    日中は新生児の頃からほぼ3時間間隔でしたが、夜間に関しては、生後1ヵ月頃は最後の授乳(20~21時頃)から5時間空き、最近では7~8時間空きます。
    その際は圧抜き程度の搾乳をしてから授乳しています。
    1日の授乳回数は入院中は10回以上、新生児の頃から7~8回。最近は7回前後です。

    他の記事で、受け皿を増やすべく産後すぐ頻回授乳すると良いと記載がありましたが、
    やはり生後3ヶ月位までは体重増加はしっかりある赤ちゃんでも、赤ちゃん主導の授乳と言うよりは欲しがらなくても頻回(8回以上?)に授乳すべきなのでしょうか?
    また、その際は夜間も起こして授乳すべきですか?

    赤ちゃん主導の授乳の記事を他の方のサイトでも読んだりしたことがありますが、回数が多すぎることに関して書かれていることが多く、逆に私が懸念している授乳間隔があく、体重増加が充分で回数が1日7回前後という例はなかなかなく、質問させていただきました。
    ちなみに、眠いとなかなかしっかり飲んでくれない子なのです。。。

    • はじめまして。
      赤ちゃんの授乳回数について、このままで母乳の生産体制を維持できるのか気になっていらっしゃるんですね。
      ちょっと話がずれますが、コメントから、体重増加が多いことが気になったのですが、母乳過多のサインはないでしょうか。
      おそらく、今は十二分に母乳を飲んでいると思うので、これ以上授乳回数を増やそうとしても、飲めないんじゃないかなと推察されます。
      もし母乳過多であれば、それを改善すれば、もう少し小分けにして飲みやすくなるかもしれません。

      それとは別に、夜間授乳については、気をつけるポイントを近日中に記事にしたいと思いますので、少々お待ちください。

    • さとこ
    • 2018年 1月 24日

    初めまして 授乳のことを調べてこちらに来ました
    母乳育児について目から鱗ばかりのことで感動しました
    ただ、現在生後20日の乳児と生活を始めましたが、すでに哺乳瓶でミルクを足す状況になっており…かといって頻回授乳をするにも授乳サインを観察するにも、私自身寝不足に悲鳴、と言う状況で、母乳育児にもっていけるのか…と、凹んでおります…
    母乳が良いのはわかっていますが、わかっているからこそ辛いのですが…どうしたら良いか…ご意見いただけましたらよろしくお願いいたします

    • はじめまして。
      母乳育児を軌道に乗せることは可能なのか、あるいはとても辛い道のりなのではないか、と心配していらっしゃるんですね。
      まず、「母乳がいいから」ではなく、自分が母乳を飲ませたいかどうかの方が重要かなと思います。周囲がなんと言おうと、さとこさんのこれまでと、これからの選択は、尊重される価値があります。

      コメントからは詳しい状況は分かりませんが、これまで母乳も飲ませていたなら、母乳育児を軌道に乗せられる可能性はあります。
      授乳する時間がないのか、授乳に時間がかかりすぎるのか分かりませんが、もしかすると、まずは、授乳の負担を減らすために、ポジショニングの知識がお役に立てるかもしれません。

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