④BFHでは、産後30分以内に初乳を飲めるよう配慮してくれます

日本で一般的にカンガルーケアと呼ばれているものは、正式にはスキンtoスキン・コンタクトといい、やり方も決まっているようです。

 

全ての赤ちゃんに優しい病院(BFH)が守らなければいけない、母乳育児を軌道に乗せるための10ステップ(通称:母乳育児を成功させるための10カ条)の、Step 4です。

 

WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」

第4章 産科施設における、乳児の栄養法の管理と支援

4.4 早めのコンタクト

 

生後1時間…これが、母乳育児を開始し、継続し、また母子の情緒的な結びつきを促すために、非常に重要な時間です。

 

最初の授乳が生後1時間より遅くなると、新生児死亡率(特に感染が原因となる新生児死亡)のリスクが増加します(10,11)。

 

 

 

Step 4 お母さんが出産後30分以内に母乳を飲ませられるように援助する。

 

医学的・産科的な合併症によって難しい場合を除いて、産まれた赤ちゃんは後産を待たずに、直接お母さんのお腹と胸の上に乗せるべきです(12,13)。

 

赤ちゃんが冷えないようにすぐに体を拭いてから、通常は立位でお母さんと肌が触れ合うように置きます。

スキンtoスキン(スキントゥースキン)・コンタクトとは、お母さんの上半身と赤ちゃんが裸の状態で、赤ちゃんの上半身がお母さんの胸の間にある状態になっているという意味です。

 

その状態で冷えないように母子を一緒にくるみます。

スキンtoスキン・コンタクトは、産後すぐ、遅くても30分以内に始めて、可能なだけ長く、少なくとも1時間以上は中断せずに続けるべきです(12)。

 

すると通常は、お母さんは喜びと、赤ちゃんへの気持ちを感じる経験をするでしょう。

 

日本では「早期母子接触」とも呼ばれます。

ニュアンスは似ていますが、「スキンtoスキン・コンタクト」は、出産直後だけでなくいつ行ってもメリットがあり、お母さんができないときはパートナーや家族などが代わりに行うことができます。

 

ステップ4に関しては、BFH認定という肩書のない病院の場合は、以下の条件に当てはまるほど、赤ちゃんに優しい病院だと考えられます。

 

  • 産後30分以内に、赤ちゃんを抱かせてくれる
  • スキンtoスキン・コンタクトを取らせてくれる
  • できるだけ、お母さんと赤ちゃんの力だけで初乳を飲ませられるように配慮してくれる
  • 赤ちゃんに最初に飲ませるものは水でも糖水でもミルクでもなく、初乳であること
  • 産後、赤ちゃんとの触れ合いを1時間以上させてくれる

※母子に問題があった場合は除きます

 

スキンtoスキン・コンタクト(通称カンガルーケア)をした時の、赤ちゃんの様子

 

母乳育児の立ち上がりに必要なのは母親の努力より医療システム!

BFHと名乗る病院が達成しなくてはいけない条件は何?近くにBFHがなくても、できるだけそれに近い産科施設を選ぶための見分け方は?

など、産科施設のシステムについての話は第4章まとめ|赤ちゃんに優しい病院、BFHとはにまとめてあります。

 

2017/1/29更新

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コメント

    • 辻 ひろこ
    • 2014年 11月 26日

    二週間前に、娘が女の子を出産しました。ロンドンに住んでいますが、独立心旺盛なのか娘は出産後連絡してきたので立ち会うことができませんでした。出産後2時間ほど麻酔からさめきらなかったため、授乳の大事なタイミングを逃してしまったようです。そのせいか授乳が上手くいかず、体重も減ってしまいました。 お腹は空くようですが、すいついてもすぐに乳首を離してしまいます。娘は母乳不足と、孫にどこか悪いところがあるのではないかと心配しています。
    黄疸の可能性もあると書いてありましたが、黄色になっているようには見えません。
    対処法を教えていただければ、ありがたいです。

    • お孫さんのご誕生おめでとうございます(^^)
      全身麻酔で出産すると母乳育児がうまくいかなくなるわけじゃないので、安心してください。
      生後すぐは体重減少するものなので、それ自体は心配ないです。WHOによると、産まれて3週間以内に出生体重まで戻るべきだそうです。
      本当に母乳不足なのか?母乳不足と感じているだけなのか?で対処法が違うので、まずは※「母乳不足」という言葉は正しくない!母乳不足に関する記事まとめを読んでいただけますでしょうか。
      それでも疑問が解決しない場合は、全ての気になる点を詳しく書いていただければ、何か役に立つ情報がないか考えてみたいと思います。

    • みよっち
    • 2015年 10月 02日

    はじめまして。みよっちと申します。
    生後3週間の娘がいます。

    第三子で、上の二人が母乳でモリモリ大きくなったので、今回母乳で悩むとは全く思っておらず、タカをくくっていました。

    入院中産後3日目でおっぱいが張り始め、そこから直母開始した感じです。それまでは助産師さんがミルクをあげていました。私はそのことに何の疑問も持っていませんでした。自分のおっぱいは張りがすごくて、分泌量も多かったので、早く落ち着いてほしい、そればかり考えていました。
    娘は2574gと小さく生まれたので、吸う力がなく、吸える量が少ない&寝てばかりで起きないのに、何の知識もなかったので、搾乳することもせず、2週間が経っていきなり母乳の分泌が減りました。
    そこで慌ててネットで情報を調べ、私自身の愚行に気づき、時間を戻したい!と悔やみ、涙する毎日です。
    今娘の吸綴の状態は、左右のおっぱいで違い、乳首の大きい(2cm)右は加えてもあまり吸綴しません。左は吸綴しますが、すぐに寝てしまい、量をとることができません。
    2週間検診時に体重増加がたった50gで、搾乳した母乳かミルクを足すように言われ、搾乳した母乳を足すようにしていますが、母乳の分泌量が減ったので搾乳が大変です。20分ほどかけて50ccしかとれません。50ccを3回/1日補足を初めて、36g/1日の体重増加で、現在2880gです。
    授乳中催乳感覚をあまり感じず、出てるかどうか心配です。哺乳量をはかろうとしてもやはり途中で寝てしまい、その時は15ccでした。

    この母乳分泌の低下と、赤ちゃんがうまく哺乳できない要因は、やはり産後母乳をすぐに直接与えなかったことが原因でしょうか。もしそうなら、回復は可能でしょうか?不安で不安で、眠れない日々が続いています。

    • ご出産おめでとうございます。何人目でもそれぞれ違った悩みがありますよね。
      これまでのことに後悔されているということですが、産科施設のシステム不備や科学的な情報が不足していることなど、現時点ではある意味どうしようもない部分もあるんですよね…。
      まだ新生児期ですし、今からいくらでも挽回できるので、安心してください。

      取り急ぎ、今できることで、思いつくことを書いてみますね。
      ①搾乳の補足はできれば哺乳瓶以外でする(今乳頭混乱になってしまったら、ますます直母がしにくくなってしまうから。上のお子さんもいるので、可能な範囲で)
      ②1回の授乳時間が短いなら、授乳回数でカバーする(赤ちゃんがサインを出した時はいつでも直母にトライする。さっきの授乳の10分後でもOK。1日20回くらいになってもOK)
      ③読まれているかもしれませんが、右の乳房はこちらを参考に。もう少し赤ちゃんの口が大きくなればあっさり問題解決するかも。
      ④左の乳房は哺乳できるなら、搾乳は右を中心にする(母乳が溜まったままの状態が続くほど生産量が減ってしまうから)

      新生児期に20分で50mLも搾乳できるなんてすごいです!
      できるだけ早く直母メインに持っていけるといいですが、体力がない赤ちゃんの場合は、搾乳の補足もとても有効なやり方なので、搾乳も一度にたくさんを目指さず、回数でかせげばいいんです。
      赤ちゃんの体重も増え始めているようですし、その調子で続けてみられるといいと思います。1週間おきに体重を量って、グラフに印をつけてみてください→WHOの成長曲線
      50g増というのが出生体重と退院時のどちらと比較したものか不明ですが、2週間健診後に大きく挽回できたのか、成長曲線的には順調そうですよ。今はできるだけ家事など他の仕事はせずに、赤ちゃんのお世話に集中できるよう家族のサポートや外注に頼ることも重要ですね。

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