赤ちゃんの1回の直母量の平均値

しょっぱなからなんですが、よその親子の直母量なんて、知ってもなんの参考にもなりません。

ただ、巷には

「新生児期は1回80 ~100 mL」

「3ヶ月頃には1回200 mL」

「離乳食が始まる頃には1回200 ~220 mL」

などを「平均的な目安」であると信じる人から、直母量との差をミルクで補うようにアドバイスされることもあるので、ちょっとだけ現実世界をのぞいてみたいと思います!

赤ちゃんが1回で飲む母乳量の平均値はどのくらい?

そもそも、赤ちゃんが1回の授乳で飲む、母乳量の平均値はどのくらいでしょうか?

月齢1ヶ月~6ヶ月の、母乳のみで育つ赤ちゃんを調べた研究結果を見てみましょう。

…答えは、約100 gでした。

「一般的な目安」よりも、少ないですね。

哺乳量はどのくらい個人差が大きいものなのか?

1回の授乳で赤ちゃんが飲む母乳量の「平均値」は、約100 gということが分かりました。

しかし、実際には、赤ちゃんが母乳を飲む量は、授乳のたびに変化します

それでは、それぞれの授乳を見てみると、どの程度のバラつきがあるのでしょうか?

…答えは、0g~350gでした。

つまり、おっぱいをくわえたけどほとんど母乳を飲んでいないこともあれば、一度に350gも飲んでいることもあったということです。

ここで重要なのは、直母量が0gだった子も、350gだった子も含めて、この範囲に分布する全ての赤ちゃんが、1日トータルでは自分に必要な量を飲めていたということ

たとえば、直母量を量ってみたら「20g」だったからといって、「私は母乳が出ない体質なんだ…」と判断してしまうのは全く科学的じゃないということが分かっていただけるでしょうか。

「1回の直母量×1日の授乳回数=1日の哺乳量」にはならないことも、分かっていただけるでしょうか。

なぜ授乳のたびに一度に飲む母乳の量は変わるの?

授乳のたびに飲む量はさまざまになるのはどうしてでしょうか。
考えられる理由をいくつかご紹介します。
赤ちゃんの満腹中枢
 赤ちゃんは、カロリーが足りれば、乳房に母乳がたくさん残っていても、飲むのをやめます。つまり、哺乳量は、お腹の空き具合によっても変わるでしょう。
母乳のカロリー密度
 母乳に含まれる乳脂肪濃度は、授乳のたびに変わります。例えば、カロリーの低めな前乳はたくさん飲みたくなるかもしれないし、脂肪分が多めの後乳は少量で満足するかもしれません。
・母乳の流速
 母乳は赤ちゃんが吸い出しているのではなく、オキシトシン反射によって外に押し出されてきます。
 上記の哺乳量が0 gだった赤ちゃんのように、オキシトシン反射が起こらなければ、哺乳量がほとんどゼロになることもよくあります。
 反対に、オキシトシン反射が強かった場合や、乳房にたくさん母乳が溜まっていた場合など、勢いよく母乳が出てくると、一度にたくさん飲んでしまう傾向があるようです(過飲症候群につながることも)

授乳のたびに赤ちゃんが飲む母乳量はさまざまになるけど、赤ちゃん任せに授乳していれば、1日トータルでは自分に必要な分を飲むことができるんですね。

こちらもどうぞ→※直母量が少ない…でも大丈夫!数値の見方

授乳パターンは十人十色

授乳のタイミングの見分け方などについては【母乳育児が軌道に乗るやり方・疑問・悩み】が役に立ちます。

自分の赤ちゃんのおっぱいの飲み方に不安になったら、タグ#授乳パターンや#母乳不足感もチェックしてみてくださいね。

参考文献

Kent J et al. Volume and frequency of breastfeeding and fat content of breastmilk throughout the day. Pediatrics, 2006, 117(3): e387–392.

2017/5/13更新

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

理系育児オススメ記事

ページ上部へ戻る