母乳育児をもっと柔軟にするヒント|母子分離

お母さんの仕事復帰や赤ちゃんの入院などで、直接授乳することが難しくなることがあります。

その際、「(本当は搾乳を届けたいけど)搾乳できる量が少なくて足りないだろうし、やめておこう」と、あきらめるお母さんも少なくないようです。

ゼロか100かではなく、母子それぞれのやり方があっていいと思うので、今回は、より柔軟な発想で、母乳育児との両立の負担を減らし、搾乳を有効利用するためのヒントをまとめます。

 

  • 搾乳をもっと楽にするために

搾乳するには、オキシトシン反射が欠かせません。

オキシトシン反射のことをよく知れば、搾乳への苦手意識が減るかもしれません。

 

オキシトシン反射を起こすには、大きく分けて

赤ちゃんや授乳をイメージする

乳頭の組織を伸ばす

と2つの方法があります。

 

例えば、赤ちゃん本人・写真・動画などを見ながら、声を聞きながら、思いだしながら、などなど、授乳をイメージするだけでも起こります。

時間や環境に制限がない場合は、これらを組み合わせることで、より効果的な反射を起こすことができるでしょう。

 

確実にオキシトシン反射を起こすコツは?

時間がなくても、赤ちゃんの動画や写真を見る余裕がなくても、いつでもどこでもオキシトシン反射を確実に起こすことができる簡単な方法があります→たった1分のコツで搾乳量を倍にする方法

他にも、基本的な搾乳の仕方から裏ワザまで、タグ#搾乳から、様々な役に立つ情報が探せます。

 

 

  • 左右の乳房をチェンジするタイミング

十分な時間がない場合

しっかり搾乳することよりも、できるだけ短時間で、効率よく搾乳することを目指した方法です。

①まずは、1-2分くらいずつ、両胸を搾乳する。

②その後は時間が許す範囲で、1分あるいはもっと短時間で、左右を往復して追加の搾乳を。

所要時間の目安:手動の搾乳器でおおまかに搾乳する場合、5分以下でも可能。(手でしっかり搾乳する場合の目安:左右5往復程度で20-30分)

※片方の乳房をしつこく長時間搾乳するよりも、何度も往復しながら搾乳する方が、短時間でたくさん搾乳できます。

 

 

  • 量をかせぎたい場合

十分な時間がない場合

・搾乳器を2つ準備して、例えばお昼頃と夕方頃に搾乳する。

・母子分離の時期があらかじめ分かっている場合、その前から搾乳を少しずつストックしておき、母子分離中に搾乳したものと合わせて利用する。冷凍母乳の保存期限は3ヶ月なので、3ヶ月前からストックを作り始めることができます

 

※労働基準法により、1歳未満の子どもがいる女性労働者は、1日2回の育児時間(30分~)を雇用主に請求することができるので、職場と相談してみるといいかもしれません。

 

 

  • 施設独自の保存条件が設定されている場合

搾乳の保存条件は、人によって考えが違うことが多く、施設によっては、とても厳しい条件が設定されているところもあります。

自由度が低すぎると、母乳育児の継続や、搾乳をする気を失くしてしまうこともあるので、もしも迷ったら、WHOによる保存期限を参考にしてみてもいいかもしれません。

 

<sumireの経験談>

例えば、私が利用している保育園は、冷凍母乳の使用期限が非常に短かった(24時間)ので、あえて搾乳日時を書き替えて、預けていました。

①搾乳当日:冷凍母乳パックの日付のみをフリクションペン(こすって消せるインクのペン)で記入しておく

②保育園に持っていく当日:冷凍母乳パックの日付をティッシュでこすって消して、油性ペンで期限内の日付を記入し直す

 

面倒ですが、納得できる理由もなく廃棄するのはもったいないので、規則を破れない保育園側と、冷凍母乳を無駄にしたくない母側の折衷案という感じです(保育園には内緒。何かあっても保育園には責任がないことを明示するために日付を書き換える。何もないけども)。

 

あらかじめ、預け先の機関に、搾乳の取扱い条件について、確認しておくといいでしょう。

その際、提示された条件を見て「こんなに面倒なら無理!母乳育児あきらめようかな!?」と思ったら、一度このブログに戻ってきてほしいなと思います。

搾乳を始め、母乳育児はもっと柔軟にできます

タグ#搾乳を参考に、自分たちに合ったやり方を考えてみてくださいね。

書籍「ちょっと理系な育児(母乳育児編)」にも、母乳育児を快適にするためのヒントが盛りだくさんです。

2017/5/13更新

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コメント

    • なっつい
    • 2016年 4月 04日

    この4月から息子(生後5ヶ月)を保育園に預けています。
    昼間は搾乳,夜は直母で分泌は維持できそうなのですが,
    保育園が冷凍母乳を受け付けてくれないのがとても残念です。
    ですが,
    こちらのブログ過去記事などを参考に,朝晩・週末母乳育児を,
    できれば2歳くらいまで続けて行きたいなと思ってます。
    引き続きブログ楽しみにしています!

    • コメントありがとうございます!
      冷凍母乳を受け付けてくれない保育園なんですね。
      栄養法は乳児にとって重要なテーマなのに、保育園ごとに対応を任せている現状は、遅れてますよね。

      いろいろ不自由な点はある中でも、自分たちのペースで行けるように応援しています!
      (ちょうど今、厚労省が保育制度についての意見募集をしているので、要望を出してみてもいいかもしれませんね)

    • あも
    • 2017年 9月 07日

    出産前からブログと著書を読ませていただいています。いつも有益な情報をありがとうございます。今回女の子を出産したのですが、(2週間弱前)出産直後に思いがけず入院になってしまいました。せっかくこちらのブログや本で準備していたのに、悲しく思っています。搾乳はしているのですが、一回でだいたい30ml弱しか出ないのですが、娘はすでに3時間おきに60mlを哺乳瓶で飲ませてもらっています。この度退院が決まったのですが、まだ直母がうまくいっておらず(今日やっと吸ってくれました。ほとんど飲んでいませんが…)、病院からも低血糖や脱水が心配なので、しばらくはミルクをあげてくださいと言われています。できれば母乳でそだてたいのですが、どのようにミルクの量を調節し、減らしていったらいいのかわからず、戸惑っております。アドバイスいただけると嬉しいです。

    娘は低体重ではなく、入院の原因となった症状は解消し、普通の元気な子と同じように育てればいいと言われています。

    • ご出産おめでとうございます。
      突然の入院などで落ち着かない日々を送っていらっしゃることと思います。

      さて、ミルクを推奨する病院で指導されているようですが、できれば母乳で育てたいと考えていらっしゃるんですね。
      記事にポイントをまとめたので、よければご覧ください→ミルクの減らし方と母乳の増やし方
      わからない点があれば、またコメントくださいね。

      予想した展開と少し違って悲しい気持ちになることもあるのも、何もおかしなことじゃないと思います。とはいえ、子育てには『こうなれば完璧』というパターンは一つも存在しないので、その調子でお二人のペースをつかめるよう応援しています。

    • 310
    • 2018年 6月 13日

    初めまして、こんにちは。いつも参考にさせていただいています。
    4ヶ月から仕事復帰し昼休みに1回搾乳をしているのですが、3週間ほど経過した数日前から急に量が減ってしまいました。(100〜160ml→40〜50ml)このままでは母乳育児が出来なくなってしまうのでは…と心配です。一方で、自宅では6時・17時・20時に3回授乳していますが、いずれも母乳が不足しているような様子はありません。搾乳量だけが減り、直母量は維持されることはあるのでしょうか?また、現状で搾乳を中止することは産生量が減り、自宅でもミルクが必要になる可能性が高いのでしょうか?(母乳量を維持するために最低何時間間隔で授乳もしくは搾乳をすべきか参考になるデータはあるのでしょうか?)
    忙しいとは思いますが、アドバイスをお願いします。

    • 返信遅くなりましたがいかがお過ごしでしょうか。
      自宅での授乳回数が少ないとのことなので、分泌量が減る可能性はあります。
      1日トータルで8回以上の授乳+搾乳回数を維持できれば、分泌維持もできる可能性が高いです(人によって最適なやり方は違うのが悩ましいところですが…)。
      搾乳量では、おっしゃる通り、分泌量を予測することはできないです。

    • ぼたん
    • 2018年 12月 27日

    こんばんは。もうすぐ四ヶ月の赤ちゃんの母で仕事復帰をしています。搾乳の持ち運びについて教えて頂きたいのですが、職場では冷蔵庫があり、冷凍、冷蔵どちらも使用可能なのですが、冷蔵庫に入れた後、自宅に持ち帰る際に保冷剤を入れていたとしても温度変化がありそうで、あんまり良くないのかと思い、今は室温保存してそのまま持ち帰り、帰宅後に冷凍しています。
    このような室温保存よりも、冷蔵して保冷剤を入れて持ち帰る方が衛生面ではいいのでしょうか?また、室温というのは、何度ぐらいまでを指すのでしょうか?現在暖房が効いており、結構暑いのでその点も気になっております。
    教えていただけると幸いです。

    • はじめまして。仕事と母乳育児の両立お疲れ様です。
      さて、温度変化による悪影響は考えにくいので、お手間でなければ、冷蔵保存&保冷剤持ち帰りの方がいいのではないかな?と思います。
      (凍らせる→溶ける→凍らせるの変化は、壊れる成分が出てくると考えられるので避けたいところです)

      室温は、WHOは全世界を視野に入れているので、真夏の30度を超えるような環境でも耐えられるかもしれません。
      科学実験の分野では、室温=25度をさすことが一般的です。

        • ぼたん
        • 2018年 12月 28日

        ご対応ありがとうございました。とても参考になりました。行政の助産師さんでもあまり根拠のないことを色々おっしゃるので、こういったサイトは大変参考になります。ありがとうございました。

    • えん
    • 2019年 2月 12日

    いつも大変勇気づけられております。

    4月から保育園の入園がきまった現在4ヶ月の子の母です。搾乳したものを解凍して与えていただくことに関しては了承をもらえたのですが、カップフィーディングによる授乳は拒否されました。産後すぐに乳頭混乱をおこし、1ヶ月かけて苦労して治したので、また乳頭混乱をおこす可能性を避けたい旨も話しましたが、長く母乳育児を続けたい意思はあまり尊重していただけませんでした。
    入園にむけて園からは、「母乳実感」のMサイズで哺乳瓶に慣れさせてほしいと依頼されました。(「母乳相談室」の乳首は新生児用なので「母乳実感」にかえてくださいとのこと)
    4月は生後6ヶ月になるので離乳食も始めなければいけない時期ですが、どうしたら乳頭混乱を避けながら母乳育児を続けていけるでしょうか。アドバイス頂けたらありがたいです。

    • 乳幼児の栄養法に無関心な保育園だったとのこと、実践的なことだけでなく、今後一緒に子育てしていくパートナーとして、こちらの意思をないがしろにされると不安も大きいことと思います。

      一方的に「指導」してくる保育士の方は、今後も、こちらの事情は考えずいろいろ指導してくる可能性がありますが、えんさんやお子さんの意思も尊重される価値があることを、今のうちに強調しておきたいと思います!
      (そして、そういう保育士の方でも、子どもとのコミュニケーションには上手な部分もあったりして、やはり人は誰でも長所短所があるので、絶望しなくて大丈夫だと思います)

      さて、保育園でミルクを飲ませるのは、1日2回でしょうか?回数的に母乳寄りになれば、直母のやり方を忘れにくい可能性があるので、試してみてもいいと思います。
      試しても、結局、哺乳瓶を拒否する可能性もあると思います。
      コップは人手が足りなくてダメな園でも、ストローマグならOKな場合もあります。

      私は、乳頭混乱で一番の壁は、「母親が自分の母乳に自信を失うこと」だと考えています。
      その点、えんさんは、たとえ乳頭混乱のサインが見られたとしても、乳頭混乱であって自分のせいではないと分かっていらっしゃるでしょうし、対策は「まぁそう言わずに飲んでみて」と直母を続けることなので、そこまで心配しなくてもいいかもしれません。

      今のところは、母乳で育っていた子が哺乳瓶を拒否するという話は聞いたことがありますが、保育園で哺乳瓶デビューした結果、乳頭混乱になったという相談は来たことがないので、みなさんが哺乳瓶を併用してるのかその他の方法で乗り切っているのか不明なのです。

      もし、困難な状況になったら、(スパッと解決できないかもしれませんが)私も一緒に考えてみますので、コメントください。
      応援しています。

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