母乳が出る・出ないはポジショニングで決まる

これまで、効率よく哺乳するためには、おっぱいに上手に吸着することがいかに重要かを説明してきたのですが、ここにきて、

「ポジショニングが一番大事!!吸着は二の次!」

と宣言させていただきます。

上手な吸着はポジショニング次第、と言っても過言じゃないからです。

しかも、ポジショニングで重要なのは、母親の姿勢ではなく、注目すべきは赤ちゃんの姿勢でした。

赤ちゃんのポジショニングの重要なポイント

上手に授乳するポイント:WHOガイドラインより

  • 赤ちゃんの頭と体が一直線になるように支える
  • 赤ちゃんの体をお母さんと密着させる
  • 赤ちゃんをお母さんの胸やお腹に対して平行にしないで、お母さんの顔が見えるように背中を少し倒した状態にする

これらを達成するためのエッセンスを分かりやすく抽出すると、

「赤ちゃんの首にねじれがなく」

「母親に赤ちゃんの体、特に股関節を密着させる」

ことがポイントになります。

この2つのポイントに焦点を当てて、イラストにしてみます。

母親の姿勢はなんでもOK!なので、ただの丸で示してあります。

(横抱き・たて抱き・添い乳・レイドバックなど、いろんな姿勢に当てはめて想像してください)

首のねじれ・密着とはどんな状態を言うのか

  • 首のねじれとは?

以下は、首をねじった状態でおっぱいに吸着している赤ちゃん(×)と、頭と体が一直線になって首にねじれがなく吸着できている赤ちゃん(〇)をイラストにしたものです。

Fig.23

首のねじれとはどういうことか、分かっていただけたでしょうか。

右のイラストのように、赤ちゃんの体ごとお母さんの体と向かい合っていないと、おっぱいに吸着するために首がねじれてしまうのです。

(首は重要!→※上手に哺乳できる姿勢は限られている

  • 母親に密着させるとは?

以下は、首にねじれはないけどお母さんから体が離れてしまっている赤ちゃん(×)と、体を密着させて上手におっぱいに吸着できている赤ちゃん(〇)をイラストにしたものです。

Fig.24

イラストでは分かりにくいかもしれませんが、お母さんの体と赤ちゃんの体(特に下半身)が離れてしまうと、おっぱいに吸着するときに、あごが乳房から離れやすくなります。

(あごは重要!→※アヒル口で授乳しても飲めないことがある

母子でVの字を描け!

「お母さんの顔が見えるように背中を少し倒した状態」というのは、すべての要素をクリアするためにとても重要なキーワードです。

ポイントをシンプルにするために、お母さんを主軸にして赤ちゃんと一緒に文字を描くイメージで考えてみます。

以下に、悪いポジショニングと良いポジショニングのイラストを並べました。

Fig.25

悪いポジショニング:おっぱいを起点として赤ちゃんのお尻までがハの字に広がっている

良いポジショニング:赤ちゃんの股関節を起点として後頭部までがVの字になっている

つまり、「赤ちゃんを母親に密着させる」というのは、体のどこでもいいわけじゃなく、または全身がべったりくっつかなきゃいけないわけでもなく、特に、股関節辺りを密着させることが重要なのですね。

母体とVの字を描くイメージで、しっかり赤ちゃんのお尻を抱き寄せるといいようです。

(Vの字の角度がどのくらいになるかは、母子の体格などによって変わるかも)

まとめ

赤ちゃんの首がねじれていないことを確実にして、母子でVの字を描けば、自然と良い吸着が保ちやすくなる!

参照

赤ちゃんの抱き方と母乳の飲ませ方

正しい授乳の姿勢

ポジショニングは母乳育児を楽にする必須のスキル!

哺乳不足・しこり・詰まり・乳腺炎などのトラブルを根本解決するためには、授乳スキルが重要です。タグ#ポジショニングからチェックしておきましょう。

授乳のタイミングなどについては【母乳育児が軌道に乗るやり方・疑問・悩み】が役に立ちます。

2017/5/13更新

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コメント

    • アルパカ
    • 2015年 11月 20日

    はじめまして。
    昨日たどり着き、拝見させて頂いてます。
    産院では二日間保育器、ミルクとの混合でした。現在哺乳瓶でミルクも与えています。

    ご相談です。
    授乳時間が1時間越してしまいます。
    今朝は8時から、今の時間まで、寝たり吸ったりを繰り返しています。

    恥ずかしながら、わたしは胸が大きく乳輪も大きめなので、上手く赤ちゃんがポジショニング取れていないのかなぁと、悩んでいます。
    大きめな人のポジショニングのアドバイスありますか?

    • ご出産おめでとうございます。授乳時間が長いのはポジショニングが良くないからではないかと悩んでいらっしゃるんですね。月齢が書かれていないので、新生児期と仮定して、コメントさせていただきます。

      まず、産まれて間もない時期は、毎回授乳に30分以上かかっても、それ自体は悪いサインではありません。ダラダラ飲みになるのも自然なことで、「順調に、寝たり飲んだりを繰り返している」可能性があるからです。添い乳レイドバック法など、楽な授乳姿勢を探して、アルパカさんの負担を減らせるといいなと思います。ただし、乳首の痛みや体重増加不良もある場合は、哺乳効率が悪いサインになります。

      乳房の大きさと授乳しやすさは、あまり関係がないと考えられます。母乳育児開始時期の2大ハードルは、「乳頭や乳輪に柔軟性がない・赤ちゃんの良いポジショニングがよく分からない」なので、まずこの二つに集中してみられるといいかもしれません。

      ●吸着について
      乳房が大きい場合は、赤ちゃんを吸着させるときに、空いている方の手のひらで、乳房の付け根から水平に持ち上げる感じで支えると、上手に吸着しやすいかもしれません。乳頭も大きい場合は吸着させるときに少し前かがみになって、重力を利用して深くくわえさせると上手くいくかもしれません。乳輪の大きさは、授乳に影響はないと考えられます。
      乳輪の柔軟性も最初はよく分からないと思いますが、乳頭を中心に、半径2cmを指で軽くつまんでつぶすことができれば飲みやすい(柔軟性がある)、指でつまんでもつぶせないほど張っている場合は飲みにくい(固い)というのも一つの参考にされてください。

      ●ポジショニングについて
      最初は赤ちゃんの良いポジショニングをキープすることが難しいと思うので、交差横抱きを試してみられるのはいかがでしょうか。

    • やまこ
    • 2017年 6月 25日

    初めまして。母乳育児で検索してたどり着き、ブログを拝見し勉強させていただいてます。

    現在、生後一カ月半前後の子供を育ててます。ポジショニングに不安がありご相談させて下さい。交差横抱き(授乳クッションあり)で授乳しているのですが、「お母さんの顔が見えるように背中を少し倒した状態」というのは赤ちゃんが自分のほうを完全に向いている状態(仰向け)ということなのでしょうか?(今の自分の授乳の体勢だと、完全には自分のほう向いていません…ちら見している感じ。一度助産師さんに見てもらった際、ちゃんと吸えているとのことでした)自分なりに、首のねじれの確認やV時体勢になるように意識はしているのですが…交差横抱き以外の体勢はあまり得意ではありません(特に右)

    授乳時間は15分前後のときもあれば、40分前後のときもあります…間隔はだいたい2〜3時間です。はやいときは1時間です。2週間程前に混合から母乳のみになったばかりというのも要因にあるのでしょうか?

    • はじめまして。
      コメントを拝見した限り、問題はなさそうに感じました。
      V字が上手くいっているかはちょっと判断が難しいですが、赤ちゃんの鼻が乳房に埋もれて苦しそうな体勢になっていなければ、ひとまず大丈夫かな?と思います。
      おしっこと体重変化が順調なら、他にどんなサインがあっても、十分な母乳が飲めていると判断できるので、そちらも参考にどうぞ!

    • 森 美保
    • 2018年 12月 29日

    もうすぐ1歳になる赤ちゃんを完母で育ててますが、排便のリズムが安定しません。6か月ぐらいから3.4日に一回だったり1週間に一回の時もあります。たまに1日に2回たっぷりするときもあります。私の食事内容は毎日出ていた時と一緒でずっと変わらないです。玄米が良くないと聞いて白米にしたのですがあまり変わらないようです。何かアドバイス頂けないでしょうか?

    • お子さんの様子はいかがでしょうか。
      苦しそう・泣いてもなかなか出ない・流血するなどの症状があれば、小児科を受診して、下剤などを使いながら、成長を待ってもいいかもしれません。

  1. こんにちは。これまで適切な情報もない中、母乳育児を続けてこられたのは大変だったと思います。
    最近は乳房トラブルは落ち着いてきたとのこと、本当によかったですね。

    さて、授乳時間が長いのですね。
    たとえば眠い時など、時々長くなることは、よくあることなので心配ないと思います。
    添い乳など楽な姿勢で付き合ってもいいし、都合が悪ければ今のように中断してもいいと思います。

    もし毎回長いのであれば、母乳過多のせいである可能性があると推測します。
    時間割法を試してみてもいいかもしれません。
    引っ張ったりするということは、母乳の勢いが強い可能性がありますが、母乳の生産量が落ち着けば、授乳時間も哺乳の様子も、落ち着くかもしれません。

    他の方の体験談に、似たような話が見つかるかもしれません。

    母乳過多は多くの女性が経験することですが、当事者にとってはとても大変なことなので、イライラしたり不安を感じたりすることはもっともなことだと思います。
    むしろ、前向きに対処しようとされていてすごいと思います。
    これまでの一つ一つの対応は間違ってないし、その時点でベストの選択をされてきたことが伝わってきます。
    さらに、トラブルから解放されるために、お役に立てれば幸いです。

    • しい
    • 2019年 12月 06日

    はじめまして。
    生後四ヶ月になる娘を育てています。娘は2608gで産まれました。出産した病院は母乳育児を推奨する病院だったのですが、出産時わたしは出血量が多く3500gもあったせいか、入院中から混合を進められ、退院してからも二回母乳外来に通いました。
    二回目の母乳外来の時、それまでミルクは毎回50gを足していたのですが、体重が増えすぎとのことで、今後についてはその一週間後の一ヶ月健診でドクターに指示を仰ぐ話となりました。元々完母で育てたかったので、その旨をドクターに伝えたところ、徐々に減らしていって大丈夫とのことだったので、その後、完母で育てておりました。
    生後二ヶ月の助産師訪問の時、体重が3700gで少ないと言われ、その後市の母乳外来へ来るように言われました。体重を増やすためにミルクを足して欲しい。四ヶ月健診までには出産時の体重の2倍5200gないと、小児科医からまた指導を受けてしまうよ。と言われ、そこから、寝る前だけ60g足すようになりました。足すようにしてから、乳頭トラブルにみまわれたり、しこりができたりしたのですが、こちらのサイトの情報にお世話になりながら、今はトラブルもなくなり、四ヶ月健診での体重も5218gと市の保健師さんに言われた数字をクリアできていたのですが、また体重が少ないとのことで、今後は夕方から80gを3回、ミルクを足すように指示をされた次第です。
    四ヶ月健診で直接ドクターからは成長曲線の下の方だけど大丈夫、ちゃんと育ってるよ。と言われたのに、カルテには一ヶ月後再健診となっていたとのことで、保健師さんから指導を受けました。
    完母で育てたかったのに、こちらのサイトを見てると、今後80gを足すことでどんどんその道からは遠くなってしまう気がしてると、成長曲線内なのになぜミルクをたさなくてはいけないのかと健診からずっとモヤモヤしています。

    また授乳時間は毎回30分かかり、飲んでる最中に寝てしまうこともあります。最近は遊び飲みもするようになり、うまく飲めてないのかもしれません。
    おっぱいの方はふにゃふにゃでそれもあって乳首が滑ってしまうのか、うまく飲めていない気もしています。 また、生理も再開したような感じなので、今後は母乳の分泌も減ってやはり混合で育てるのがベストなのでしょうか。
    アドバイスをお願いいたします。

    • はじめまして。
      返信が遅くなりましたが、その後いかがでしょうか。
      そのミルク足したがりな保健師さんは、いつも同じ方なのでしょうか?
      自分の不安を払拭したいがために、ミルクを足すよう指導しているんじゃないかと感じる方は、ときどきいらっしゃいますね。

      ちなみに、生理再開しても母乳育児は継続できるので、大丈夫です。

      お子さんは順調に成長しているとのことで、その時点で100点満点だと思います。
      それ以外で、もし今も心配なことがあれば、よければコメントください。

    • みか
    • 2020年 2月 05日

    母乳が出る・出ないはポジショニングで決まる
    はじめまして。
    現在3ヶ月の子がおります。
    母乳育児が開始し、3日に1回は出来るしこりにうんざりしていました。
    授乳間隔、食事に気を使い、他に何をすればと落ち込んでいました。
    こちらの記事で紹介されている、鼻の向きと赤ちゃんとママがVの字になるように。というアドバイスを基に授乳してみました。
    いつもしこりができていた、右乳房の外側上方部のしこりがみるみるうちに無くなり、無くなった後も、再発することなく経過しています。
    時折ですが、右乳房の外側下方にしこりが出来ることがあります。
    その際は、フットボール抱きで改善しています。
    もし、フットボール抱きで、アドバイスありましたら教えて頂きたいと思っております。
    宜しくお願いいたします。

    • はじめまして。
      頻発するしこりに悩まれていたものの、ポジショニングの工夫で解消できつつあるんですね。
      フットボール抱きの場合は、赤ちゃんがあごを引き気味になりやすいと考えられるので、大きな口でくわえられているか気をつけたらいいのかな?と思います。
      乳房に痛みがなく、授乳後にしこりが解消していたら、上手に飲めているサインだと思います。

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