しこりと母乳不足を一度に解消するポイント(図解)

母乳不足と、しょっちゅうできるしこりに悩むお母さんは少なくありませんが、そもそもしこりとは「母乳が余っている状態」ともいえるので、母乳不足と矛盾するのです。

なので、しこりは「母乳はたくさん溜まっているけど、上手く飲めていないサイン」と考えて、根本解決を目指します。

 

赤ちゃんの鼻の向きに注目!

WHOガイドラインには、授乳のポジショニングのコツとして

“赤ちゃんの顔が胸の正面に向くように、赤ちゃんの鼻の向きは乳頭とまっすぐ向かい合うようにする”

と書いてあります。

これはどういうことかを図にしてみたいと思います。

 

まず、「鼻の向きが乳頭と向かい合う」を、おっぱいに吸着しようとする赤ちゃんの頭頂部から見下ろした模式図で示します。

Fig.14

赤ちゃんの鼻の向きが乳頭と向かい合っています。この状態が良いということですね。

 

では次に、良くない鼻の向きの例を示します。

Fig.15

赤ちゃんの鼻の向きが、乳頭と向かい合っていません。

つまり、乳頭に対して赤ちゃんの顔が右や左にねじれていると、良くないということなんですね。

 

顔の向きがねじれた場合、前回の記事で説明したように、乳管が折れ曲がってしまうことが考えられます。

Fig.16

乳管が曲がると、母乳の流れが悪くなることで、しこりや哺乳不足のリスクが高まります→※最も短時間・少ない回数で母乳を効率よく飲むには

 

たとえば、乳房の右側にしこりができやすい場合、赤ちゃんの鼻の向きがこんな風に曲がっている可能性があります。

Fig.17

 

しこり改善と予防のポイント

詰まりや乳腺炎を繰り返す場合、しこりができやすい方に赤ちゃんの鼻を向けるようなイメージでポジショニングを調整すると、根本的な解決になるかもしれません。

  • 乳房の側面にしこりができやすい場合

Fig.18

 

※この図は分かりやすくするためにおおげさに描いてあるので、鼻の向きを曲げすぎて今度は別のところにしこりができないように、やりすぎに注意してください。基本の鼻の向きは「乳頭と向かい合う(図14)」です。

乳頭と鼻の向きがよく分からない方は、縦抱きで授乳すると、真上から見て確認できるので分かりやすいかもしれません。

 

  • 乳房の上側にしこりができやすい場合

Fig.19

「鼻が下を向いている=赤ちゃんがうつむき気味であごが乳房から離れている」と、効率よく哺乳できないので、「鼻が上を向くように=お母さんから顔が良く見え、あごが乳房に触れるように」吸着させます。

 

しこり対策の優先順位を整理!

一般的に、乳房の上部や側面にしこりができやすいのは、赤ちゃんのポジショニングが崩れて乳管が曲がりやすいからかもしれません。

「あご側は吸てつする力が強いから、しこりが解消しやすい」説は、実際は「あご側の乳管はどんなポジショニングでも曲がりにくい」ためじゃないかと、現時点では考えています。

Fig.20

 

しこりは体質だとあきらめる前に、厳しい食事制限や高額なマッサージに通う前に、まずはポジショニングを工夫してみてはいかがでしょうか?

 

母乳の作られすぎで、しこり・乳腺炎になってしまう場合は→※母乳過多の根本解決法

 

参照記事

赤ちゃんの抱き方と母乳の飲ませ方

乳管のつまり|原因と対処法

ポジショニングは母乳育児を楽にする必須のスキル!

哺乳不足・しこり・詰まり・乳腺炎などのトラブルを根本解決するためには、授乳スキルが重要です。タグ#ポジショニングからチェックしておきましょう。

授乳のタイミングなどについては【母乳育児が軌道に乗るやり方・疑問・悩み】が役に立ちます。

書籍「ちょっと理系な育児(母乳育児編)」に、母乳育児の悩みやトラブルを根本解決するための情報がまとめられています。

2017/5/13更新

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コメント

    • HAL
    • 2015年 10月 01日

    色々な方向から飲ませるとよい、というのはこういうことなんでしょうね。乳腺の図解、納得しました。
    自分の経験では、色々なポジショニングで飲ませようとしても、赤ちゃんがいやがって難しかったので、飲ませる時しこりのできた部分を内側にむかってぐっと押している、というのが効果がありました。無理矢理乳腺をまっすぐにするっていう感じですかね。

    • 確かに、【赤ちゃんのポジショニング】を変えようとするのは、難しかったり時間がかかったりする場合もありそうです。
      それはつまり、「赤ちゃんはポジショニングを体得できる」という証拠でもあるかもしれません。
      お母さんのポジショニングを変える時に、赤ちゃんのポジショニングまで大きく変わらないように心がけた方がいいのかもしれませんね→※授乳の姿勢はお母さんと赤ちゃんに分けて考えるべし

    • ゆきんこ
    • 2017年 4月 04日

    はじめまして。
    いろんな記事を参考にさせてもらっています。
    現在、2016年12月14日生まれでもうすぐ4カ月になる娘をほぼ母乳で育てていますが、トラブルが多く、悩まされています。主人の仕事の関係で来月からイギリスに移住する予定で、なんとか母乳外来に頼らずセルフケアできるようにしたいため、アドバイスもらえるとありがたいです。

    〈状況〉
    左右ともに詰まりやすいところあり。助産師さんによると、乳腺そのものが細く、体質的に詰まりやすいとのこと。
    もともと右に白斑やしこりができることが多く、2回ほど痛みのある大きなしこりができて母乳外来でマッサージで解消してもらった。
    一方左は右のように硬いしこりができるというよりは、母乳がたまって張るところがある。

    〈質問1〉
    特にここ10日ほど、左胸の左上にたまっている感じがあり、飲ませるとある程度すっきりはするものの、張りが残ります。こちらの記事を参考に、縦抱きで鼻をしこり方面に向かせ、硬い部分を圧迫しながら飲ませようとしていますが、縦抱きにすると、飲みやすいところを探すのか、赤ちゃんが頭を上下左右に動かすので、なかなかいいポジションに固定できません。なにか改善のヒントなどありますでしょうか。ほかにも横抱き、フットボール抱きとローテーションしていますが、鼻の向きを調整するのは縦抱きがやりやすいので、これで解決できないかと思っているのですが……。

    〈質問2〉
    1のような状況で最近、左胸の方が大きくなってきていまっています。右を飲み切らせてから左というふうにし始めましたが、右の出が悪いのか、右をいやがることもあります。なんとか、右を離すまでは加えさせ、左はある程度張りを残すようにしていますが、このような対応で問題ないでしょうか。

    〈質問3〉
    また、左は溜まっているところを搾るとさらに生産量が増えてしまうと思うので、搾乳はなるべくしないようにしていますが、このようにしばらく張りが続いている場合もその対応でいいですか。それとも、一度、溜まったものは出し切ってしまった方がいいのでしょうか。

    〈質問4〉
    さらに、ここ半月ほどの赤ちゃんの体重増加が10g/日以下になってしまいました。赤ちゃんの様子からは特に不足している感じはなく、よく寝て機嫌も悪くないのですが、ミルクを足した方がいいのでしょうか。とにかくまずは溜まっているとこを飲ませたいのですが。

    このままだと爆弾を抱えたような状態で慣れない海外生活を送ることになり、トラブルがあっても日本のようにすぐにマッサージ受けることもできないと思うと、いつか乳腺炎になるのでは不安でいっぱいです。

    • それは、ぜひスッキリとした気持ちで海外移住したいですよね。
      ということで、早速ですが、ご質問に答えさせていただきます。

      ①ポジショニングのヒントは? 
      ポジショニングは、無理やり赤ちゃんの頭の向きを固定しようとすると、ご存知のように、難しいこともありますよね。
      たとえば、あごを上にあげたい場合、高めのイスなどに座って赤ちゃんの頭の位置をおっぱいより低くすると、自然と上を向くようなポジショニングになりやすいです(授乳クッションいらずの授乳姿勢参照)。

      ②左右差の対処法は? 
      それでばっちりだと思います。
      お話をうかがう限り、赤ちゃんが母乳を飲めているとすると、母乳過多の可能性があるんじゃないかなと思ったので、母乳過多のサインがないか一度チェックされるといいかもしれません。

      ③溜まっている母乳の対処法 
      詰まり・乳腺炎・白斑などは、体質のせいではなく、母乳が古くなったせいでもなく、「母乳が乳腺組織にダメージを与えるほど過剰に溜まったこと」が主な原因で起こります。
      つまり、痛みや不快感が強くなければ、溜まったままにしても大丈夫です。
      母乳過多の経験談に、同じような悩みがいくつか見つかると思います。

      ④体重増加が適切かは、g/日では判断できないので、成長曲線でチェックされると正確です。 

      (もし生産量が多すぎるのであれば、何をやっても根本解決にならないので、まずは、母乳過多の可能性をなくせるといいのかなと思いました)

    • ゆきんこ
    • 2017年 4月 05日

    返事いただきありがとうございます。

    ポジショニング、今は畳の上であぐらをかいて授乳しているので、お尻の下にクッションをしくなどして、高さ調整してみます。

    もともとミルクを足していたのを減らしてきた経緯があり、量が足りないときの赤ちゃんの不機嫌な様子を見てきたので、ここ最近の様子からするに飲めていないことはないのではと思っています。母乳過多の徴候であてはまるのは、赤ちゃんの便がややゆるく音を立ててすることと、おっぱいが詰まりやすいというところ、またここ10日ほどですが、赤ちゃんの体重があまり増えない、胸の張りが続くというところくらいなので、完全な母乳過多ということはないのかなと思います。左右差をなくすのと、母乳過多気味なのだとしたら、それを修正するためにも、右を飲み切らせて左というのをもう少し続けて様子を見てみようと思いますが、そんな対応で問題ないでしょうか。
    左は先に書いた通り完全にはつまらず、授乳間隔が空きすぎなければ痛みもほぼない(たまに軽くチクチクする程度)ので、上記の飲ませ方で、溜まった状態をキープしてみます。今まで詰まるのが怖くて、なるべく溜まったところを飲みきらせるようにしてましたが、意識して飲み残させていると、その状態に慣れてきました。また、溜まったままで大丈夫とのことで、不安がやわらぎました。
    体重増加について、少し情報が不足していて申し訳なかったのですが、もともと40週で生まれたにも関わらず約2200gと小さめで、それでもなんとか母子手帳の成長曲線の下のラインかその少し上をたどってきていたのが、この半月で成長曲線の下にはみ出してしまったという状況です。ただ、リンクのWHOの成長曲線でいうと、低体重のところを推移しているようです。こちらも、上記の飲ませ方をもう少し続けて様子見てみようかと思います。

    話を聞いてもらえただけでもずいぶん気持ちが楽になりました。ありがとうございます。
    他の方の経験談も読み進めてますが、また何かあれば経過報告や相談します。

    • ゆきんこ
    • 2017年 4月 12日

    こんにちは。
    先日相談させていただいた件、3日ほどで左の張りと左右差がだいぶ改善しました。
    片方を飲み切らせる方法は、詰まった経験があるとなかなか心理的なハードルが高いですが、うまくいってよかったです。
    追加でもうひとつ聞きたいのですが、溜まった状態が問題ないのだとすると、それが痛みを伴うしこりや詰まりになる境目はなんなのでしょうか。何に気をつける必要があるのかわかると、とてもありがたいのですが。

    • 母乳が溜まっている部分に痛みなどのトラブルが生じるかどうかの境目は、「乳腺に炎症が起きるような条件がそろっているかどうか」じゃないかと考えています。

      乳腺に炎症が起きるきっかけとしてよくある例としては、「過剰に母乳が溜まったり、外傷を受けたりして、乳腺組織が傷つくこと」などがあります。

        • ゆきんこ
        • 2017年 4月 16日

        ありがとうございます。
        では、母乳が溜まっているのが問題ないとしても、炎症を防ぐためには、なるべく溜めておかない方がいいんですね…。過剰な感じがしたと思ったら不足感もあったりして、なかなか生産量と赤ちゃんが飲む量が一致しませんが、いろんな記事を参考にがんばってみます。

        • >炎症を防ぐためには、なるべく溜めておかない方がいい
          正確には、「過剰に溜まること」はできるだけ避けたい、という感じです。
          生理学的には、乳房が空の状態をキープすることは不可能だし、目指す必要もありません。
          過剰な感じと不足感を両方感じるということは、無意識に迷信を信じている可能性が高いので、おっしゃる通り、いろんな記事を参考にされることが、不安とトラブルを解消するための近道かもしれません。

    • とみやん
    • 2017年 5月 16日

    大変参考にさせていただいています。
    アドバイスください!
    生後3ヶ月になる男の子を育てています。
    1.右の下のしこりがとれません。フットボール抱きか縦抱きで授乳しています。助産院の先生には搾乳でカバーと言われましたが、搾乳しにくい腺のようで消えません。どのように対処すべきでしょうか?
    2.生後1ヶ月頃より左右とも詰まりを繰り返し、特に左は5腺程しかないのに、同時に3腺詰まったり開通を繰り返していました。2.5ヶ月過ぎ頃よりようやく詰まることはなくなってきたのですが、左の出が明らかに悪くなりました。5分程飲んだら出なくなる状態です。ここからまた母乳量は増えるでしょうか?ミルクは日によって90から200程足しています。
    よろしくお願いします!

    • 繰り返すしこりと母乳不足感に悩んでいらっしゃるんですね。
      コメントからは、母乳不足より、むしろ母乳過多なのかな?と感じたのですが、思い当たることはないかチェックしてみてはいかがでしょうか?

      対処する優先順位としては、
      母乳過多の改善
      ポジショニングの改善
      ③それでもしこりができるなら、しこりの原因の見極め
      という感じでしょうか。

      同時に、母乳不足感から気になる記事を探して読んでいただくと、いろいろな不安が解決していくと思います。
      「五分経つと母乳が出なくなる」とおっしゃっていることから、射乳反射の情報もお役に立てると思います。

      搾乳するより、ポジショニングを工夫してお子さんに飲んでもらう方が効率よく除去できると思います!

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