BFH出産レポ|母乳育児は「引き算」もポイント
母乳推進というと、母子ともに無理をしてでも母乳で「頑張らせる」というイメージを持っている方も少なくないと思います。
でも、赤ちゃんに優しい病院(BFH)が守っている“母乳育児を軌道に乗せるための10ステップ”は、エビデンスにもとづいて定められていて、
「必要なことはできるだけ実行し(足し算)、不要なことはできるだけ避ける(引き算)」
というシンプルなものなのです。
<中途半端な母乳推進は、疑問を持ちやすい>
中途半端な「足し算」だけでは、単なるスパルタになりがちです。
●「母乳が一番」じゃなくて、モチベーションが上がる情報が必要
何事も、利点があいまいなまま推進することは、難しいですね。
例えば、「母乳は栄養と免疫が優れている」程度の知識では、根拠が弱い。弱すぎます。
「先進国は食材豊富だし、衛生的だから、母乳の利点は少ない」などという迷信に、簡単に撃破されてしまいます。
知識はより深く、試練はより小さく、いきたいものです。
そして、母乳育児の場合は、知識が深くなるほど、確実に試練は小さくなります。
●「ひたすら頻回授乳をしなさい」じゃなくて、母乳は十分に足りているという根拠が必要
例えば、「ミルクはNG」というだけで放り出された(と感じてしまう)と、「十分な母乳は出ていないかも」「赤ちゃんは空腹で苦しんでいるのかも」という不安感などで、実際よりも苦痛を感じやすくなることもあると思います。
そうすると、不安感・休みなく働き続ける思考回路に、心だけでなく、確実に肉体も疲弊してしまいます。脳のエネルギー消費量は、ハンパない!!から。
「母子同室は辛い」「母乳育児は根性」なんていうイメージは、理解のない環境のせいで生じてしまうのかもしれません。
自分と周囲が適切な情報を持った上で、「安心して授乳してればOK」みたいな環境であれば、授乳頻度に関係なく、意外と体力温存できるんです。
<BFHで印象的だったこと>
赤ちゃんに優しい病院(BFH)でどんな風にサポートをされたか、今回は「不要な情報の引き算」に注目して、個人の体験をいくつかレポートしてみたいと思います。
●赤ちゃんが泣くのはお腹が空いているとは限らない!
日齢2日の夜中に赤ちゃんが泣き止まなくなって助けを求めた時、助産師さんは授乳介助をしてくださるかと思いきや、迷わず抱っこで寝かしつけてくださったのです。
意外でしたが、これがとてもありがたかったです(抱っこが上手いと泣き止むのか!という発見と、自分は抱っこのスキルがまだまだだという自覚も含めて)。
(第一子の時も、生後2日目あたりの夜中に泣き止まなくなり、その時はミルクをめいっぱい足したけど、結局、泣き止まなかった経験があります。この世に産まれて、睡眠パターンか何かが変わる最初のタイミングが、その頃にくるのでしょうか)
赤ちゃんが泣いていると、特に授乳後も泣きやまないと、「まだお腹が空いているの?十分な母乳が出ていないの?」と疑われることが一般的だから、母親は当事者として、より強く不安と負い目を感じやすいです。
実際は、赤ちゃん主導の授乳をしていて、「母乳が飲めているサイン」があれば確実に飲めているので、ぜひそちらに注目したいですね(*^-^*)
●他人と比べなくてOK
哺乳量の平均値・授乳回数・他のお母さんの母乳の出方などと、比べられることはありませんでした。
つまり、自分たちの母乳育児のパターンが、他の母子とどのくらい違うかは、問題にならないのです。
(それぞれの母子の共同作業をいかに軌道に乗せるかが重要!)
●ルーティンとして直母量は量らず
一般的には、一回の授乳で赤ちゃんがどのくらい母乳を飲んでいるのか、全く知らなくても大丈夫なんですね。
ちなみに、母乳不足を疑って直母量を量ると、緊張してオキシトシン反射が抑制されやすいので、搾乳量と同様に、目で見える数字よりも、何も気にせずに直母した時の方がずっと出ている可能性があります。
●ミルクの宣伝ナシ
必要な時は全てプロが判断してくださるので、ミルクをあげるべきか自分で悩む必要がありません。
一般的な産科施設のように、ミルクメーカーによる調乳指導や粉ミルクのサンプル配布はなく、ミルク関連の道具やマスコットなどが誰でも目にする場所に置いてあることもないので、不必要にミルクに思いを馳せる機会もありません。
そうすると、どのくらいミルクを使うか、または使わないかも含めて、それぞれの母子に最適な栄養法が実践しやすくなることも明らかになっています。
●何も言われない時は…
丁寧に、適切な情報を伝えたり褒めたりしてくれればありがたいですが、実際は、専門家によくある「問題なし=ノーコメント」というパターンも大いにあります。
なので、「ほんとにこれでいいの?」と不安を感じたら直接聞いてみることや、自分で最低限の知識を仕入れておくことは必須かな、と思います。
母乳の生産量をちょうどよくする授乳方法や、効率よく母乳を飲むためのスキルを身につけるには、ポジショニングが欠かせません。
母乳が増えたり減ったりする仕組みについては母乳の生理学もどうぞ。
書籍「ちょっと理系な育児(母乳育児編)」にも、母乳育児の立ち上がりやトラブル回避のための情報がまとめられています。
2017/5/13更新
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