「母乳の消化時間は1時間半~2時間」ってホント?

母乳は腹もちが悪くてすぐ消化しちゃうから、しょっちゅう泣くんだ、夜も寝ないんだ、などと、まことしやかに言われています。

 

そして、たとえ母乳不足とは感じていなかったとしても、

「完母って大変なんじゃない?」

「母乳だけだと、赤ちゃんはいつも空腹でかわいそうなんじゃない?」

と、心が揺れているお母さんも少なくないでしょう。

 


<そもそも、母乳は“腹もちの悪い”飲み物なの?>

 

なぜこれが一般常識になったのか、そもそも「消化時間」の定義は何なのか、その元ネタは分からなかったのですが、

「乳汁を飲んだ後に、胃の内容物が半分になる時間」を調べた論文はいくつかあって、

それらをまとめると、「平均値」

  • 母乳はだいたい1時間弱
  • ミルクはだいたい1時間強

となるようです。

 

だから、単純に2倍(!)して、母乳は1時間半~2時間、ミルクは3時間、ってことになったのかな?と推測しています。

 

でも、「母乳を飲んだ場合は2時間以内に胃が空になる」ことを示す文献は、見つからないのです。

(ちなみに「ミルクを飲んだ場合は3時間くらいは胃に残っている」ことを示す文献も探せなかった。そもそも研究されていない?)

 

なかなか、信頼性の高そうな文献に出会えないのですが、全体的に、

「胃の乳汁が半分になる時間」を調べた研究者たちは、「やはり母乳の方が短いね。ミルクの方が長いね。」という感想を持ち、

「胃の内容物」を調べた研究者たちは、「あれ、意外と母乳って残るんだね。2時間じゃ空にならないんだね」というような感想を持つようです。

 


<有力な文献が見つからなかったので、全体的な印象のような感じのまとめ>

  • 母乳も2時間以上は胃にいるようだ
  • ただし、乳汁の消化パターンは、かなり個人差が大きい

→例えば、ある調査(※1)では、胃の中身が半分になるのにかかった時間は、母乳もミルクも、短い場合で20分ほど、長い場合で1時間半ほどと、個々のばらつきが大きかった。その時の赤ちゃんのコンディションによるのかも?

 


<消化時間よりも重要なこと>

赤ちゃんは、どのくらいの授乳間隔で、どのくらいの時間飲めばいいのかは、自分で分かっているのです。

(母乳だから頻回授乳になってしまう!というよりは、本来、赤ちゃんそれぞれが望むペースがある)

 

例えば、「1日中、1時間おきの超頻回授乳になる」「赤ちゃんが泣いてばかり」など、母乳育児がうまくいかないと感じる場合は、「授乳の仕方」を工夫すると、母子ともに快適な母乳ライフになれる可能性があります。

 

とりあえず、おしなべて「母乳はすぐお腹が空く」とか言われると、親が不安になるからやめてほしいですが、赤ちゃんは、そんなこと感じてないんじゃないかな。

 

腹もちのいい母乳の飲ませ方

泣くたび授乳をしていると、よく泣く子になる?

「赤ちゃんの満腹中枢が完成するのは3カ月かかる」はウソ!?

●「母乳育児が軌道にのる授乳方法」のやり方・疑問・悩み|まとめ

●乳糖不耐症?過飲症候群?たそがれ泣き?|見分け方

 

(※1) Van Den Driessche, et al. Gastric Emptying in Formula-Fed and Breast-Fed Infants Measured with the 13C-Octanoic Acid Breath Test. Journal of Pediatric Gastroenterology & Nutrition, July 1999, Volume 29, Issue 1, pp 46-51.

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