頻回授乳は「赤ちゃんらしくあること」を認める第一歩

「授乳間隔が空かない」「夜連続して寝てくれない」「生活リズムが整わない」などと悩んでいませんか?

 

なぜ、「自分の赤ちゃんがそのように振る舞うこと」を望むようになったのでしょう?

育児雑誌・ママ友や育児経験者・スケジューリングを推奨する一部の専門家などの話は、あくまで他人事なのです。

 

「あなたの赤ちゃん」は、何を望んでいると思いますか?

 

<Babywise…赤ん坊のように>

赤ちゃんは、自分が望む時に飲食する必要があり、それが、それぞれの授乳間隔や授乳時間の違いや、ヒトの無限の多様性として表れるのです。

 

もちろん平均を割り出すことはできるし、分布図を描けば山形の曲線になるでしょう。

でも、非常に短い授乳時間や非常に長い授乳間隔でOKな、両極端に平均から外れた赤ちゃんも、必ず存在するわけなのです。

 

体温・活動度・歯の生え具合・体調なども、これらの要求やパターンに影響するでしょう。

授乳のスケジュールを決めないことで、この多様性を受け入れることができるようになります。

 

赤ちゃんの「親」は、「大人」です。

大人だから、「その時その時の赤ちゃんの要求を、赤ちゃんよりも分かってあげられる」ということが、育児の基本的な前提となっているのです。

 

要求のもっとも劇的な表現方法である、「赤ちゃんの泣き」は、人工的なフィルターを通して、機械的に解釈されてしまうことがあります。

すると、

「多くの赤ちゃんは、平均的な赤ちゃんとは違う行動をとる」

可能性と、

「実際は私たちが予期しないような要求を持っているかもしれない」

という可能性を、排除してしまうことになります。

 

私たちは、赤ちゃん自身から学び取ろうとすることをせずに、自分の文化での理想的な赤ちゃんとしての振る舞いを「教える」という名の押しつけをしているだけになってしまって、

「自分の赤ちゃんにとって何が本当に最適なのか」を理解する能力を失ってしまっています。

 

<原文>

Lisa Marasco, BA, IBCLC and Jan Barger, MA, RN, IBCLC. Examining the Evidence for Cue feeding of Breastfed Infants

 

「自分の文化での理想的な赤ちゃんとしての振る舞い」…今の日本だったら、「授乳間隔が空いて、夜は通して寝てくれて、離乳食は規定の量を食べてくれて、生活リズムが整っていて、1歳くらいで卒乳する」あたりを目指して、一生懸命取り組んでいるお母さんが多いでしょうか。

 

もっと細かく言えば、寝返りの時期や歩き出す時期などの発達段階、人なつっこさやお友達と仲良く遊べるかなどの性格まで、理想とずれていないか気をもんでいることもあるかもしれません。

でも、そんな理想()通りの赤ちゃんは、もはや「平均」ですらないはず。

 

「自分の赤ちゃんにとって何が本当に最適なのか」を理解する能力は、鍛えないと身に付かないようです。

 

「どうやれば理想に近付いてくれるのか分からない!」と悩む暇があったら、

「今、自分の赤ちゃんは、何を望んでいるのかな?」と、目の前の赤ちゃんに思いを馳せてみると、

「あれ、何で悩んでいたんだっけ?」となるかもしれません。

 

「親自身が望んでいること」にとらわれるよりも、「子どもが子どもらしくあることをOK」とした方が、育児はずっと楽で快適なものになるんじゃないかと感じます。

 

赤ちゃんの成長は、ゆっくりゆっくりでいいんです。

「親が待つことができれば、自分で成長しようとする力がつく」と感じます。

2017/5/13更新

関連記事

コメント

    • ちゃんみ
    • 2016年 6月 05日

    3か月男児もちです。初めての子です。
    この記事は私をとても励まし、気持ちを明るく軽くしてくれました。
    この記事をいつでも読めるよう、iPhoneの画面にショートカットを作っています。
    このような素晴らしい記事を書いてくださりありがとうございます。

    • コメントありがとうございます。
      この論文は、赤ちゃん目線という新しい視点を提供してくれました。適切なやり方を学び、練習しなければ、育児は上手になれないということも。
      逆に、「最初は下手でも当然」ともいえますね(*^-^*)
      先日の件も、よければお待ちしています。

    • コメントありがとうございます。
      この論文は、赤ちゃん目線という新しい視点を提供してくれました。適切なやり方を学び、練習しなければ、育児は上手になれないということも。
      逆に、「最初は下手でも当然」ともいえますね(*^-^*)

    • 2017年 6月 10日

    スミレさんこんにちは。
    先日は母乳過多の件でコメントさせていただきました。あれから異常な胸の張りも落ち付き、母乳過多に関しての心配が減りました。

    そして、この記事を読ませていただき非常に胸にきました。1ヶ月半になった娘の激しい泣きに心が折れそうになり、某有名ナニーのネントレ本を読みスケジュール通りの生活をしようと思っていました。その本では赤ちゃんが1人で寝て、泣かない、親も自分の時間が持てるというようなものでした。でも、この記事を読み、子どもが子どもらしくあることを忘れていたことに気づきました。
    泣かれると本当にこちらも切なくなるけど、でも赤ちゃんて泣くものだし、何かを訴えてくれているのだから、大切にしたいと思いました。

    • 母乳過多が落ち着いてきたとのこと、良かったですね!
      確かに赤ちゃんの泣きは親の頭を悩ませますが、育児はこれからもずっと続くので、そのさまざまな局面で「親にとって都合の良い子ども」であることを求め続けるのはお互い大変ですよね。
      赤ちゃんは泣くものという前提で、「親の負担をどう減らすか」ということを考えられるといいのかなと思います。
      母親以外の家族の育児参加や、短時間の託児利用や、家事を含めた仕事の負担を減らすアイデアなど、家庭の都合や好みによって考えてみるといいかもしれませんね。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

理系育児オススメ記事

ページ上部へ戻る