なぜ定時授乳をすると母乳不足になるのか

病院や保健所などで、3時間おきや4時間おきなどに授乳するように指導される(または、3時間もたなければ母乳不足と判断される)ことは少なくないですが、それでは母乳育児はうまくいきません。

なぜ定時授乳をすると母乳育児はうまくいかないのでしょうか?(前回の記事の続き)

 

「乳房に溜められる母乳量」の個人差を調べると、少なくとも3倍以上の差があることが分かりました。

注意:見た目の乳房の大きさで、母乳の生産量や溜められる量を予測することはできない。

 

最も重要なのは、溜められる量や、一回の直母量は、「一人ひとり、全員違っていた」にも関わらず、調査に参加した全ての女性は、24時間トータルでは十分な量の母乳を生産できたということです。

 

<DalyとHartmannの論文で、定時授乳について書かれていること>

4時間おきに授乳することが、欧米で流行した時代があった。

これは母乳のキャパシティが大きな女性にとっては重大な問題にならなかったかもしれないが、そうでない女性にとっては悲惨な結果になったに違いない。

そのような女性は、4時間おきの授乳では十分な量を供給できないので、もっと頻繁に授乳する必要があったのだ。

でも、実際は、そのような女性たちは定時授乳をやめるのではなく、自分の母乳の生産能力が低いのではないかという疑いを持ち、人工ミルクを赤ちゃんに与えることになってしまった。

 

<原文>

Lisa Marasco, BA, IBCLC and Jan Barger, MA, RN, IBCLC. Examining the Evidence for Cue feeding of Breastfed Infants

 

つまり、「母乳を溜められる量」は、例えばですが、お茶碗1杯分の人もいれば、お茶碗2杯分の人もいれば、お茶碗3杯分の人もいれば…というように、「全員が」バラバラなのですね。

 

そしてもし、お茶碗1杯分の人が、

1日にお茶碗10杯分が必要な赤ちゃんを育てるためには、10回授乳すればいいわけだし、

1日にお茶碗14杯分が必要な赤ちゃんなら、14回授乳すれば足りるのです。

 

また、例えば、お茶碗2杯分の人が、お茶碗3杯分の人の授乳回数を聞いて、「自分の方が授乳回数が多くて不安になる」…のは、無意味ですよね?

 

さらに、例えば、同じお茶碗1杯分のお母さん同士でも、一方の赤ちゃんは1日に10杯必要で、もう一方の赤ちゃんは15杯必要だったら…授乳回数は違うのでは?

 

当たり前ですよね。

つまり、赤ちゃんに必要な分を飲ませてあげられているのなら、授乳回数が何回だろうと、気にしなくていいんです。

 


授乳回数の違いは、母乳の生産能力の差じゃない!

もちろん、母乳の「生産能力」には個人差もあると思いますが、実際はあまり問題になりません。

ほとんどの女性には、出産した時点では、双子でも母乳で育てられる程度の潜在能力が備わっているからです。

 

定時授乳を指導されて、それでうまくいかなければ「母乳不足!」の判定をされてしまうのなら、

それは正確には、

「母乳の生産能力が低い」

のではなく、

「あなたは乳房のキャパシティが低いから無理なのよ」

と言われているということなんですね。

 

そんなことで納得できますか?

お茶碗1杯じゃ足りないのなら、おかわりすればいいだけじゃない!ということです。

多くのお母さんが経験する母乳不足感

一般的に、赤ちゃんの様子で困ったことがあると、何かとおっぱいのせいにされがちです。

そのため、たとえ必要以上に母乳が作られていたとしても、「母乳が出ていない」と感じることも珍しくありません。

母乳育児を軌道に乗せるために必要なのは、運や根性ではなく、知識とスキルです。

張らないおっぱい・少ない搾乳や直母量に不安を感じたら、母乳不足感の知識が、迷信を撃退する助けになります。

増えない体重・多すぎる授乳回数・長すぎる授乳・おっぱいの痛みを解決するには、ポジショニングのスキルが欠かせません。

書籍「ちょっと理系な育児 母乳育児編」に、母乳不足感を打ち消すための科学的知識がまとめられています。

2017/4/16更新

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