1歳の子どもの、母乳と離乳食の栄養バランス(図解)

「1歳になれば母乳の役割は精神安定剤」と言われたことはないでしょうか。

実際は、1歳の子どもにも、母乳は重要な栄養源となります。

WHOが推奨している、母乳では足りない栄養を補う「補完食」という考え方を見てみましょう。

 

WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」

第3章 補完食

3.1補完食の指導原則

 

指導原則8.  全ての必要な栄養素を満たすために、様々な栄養豊富な食材を食べさせましょう。

 

補完食は、子供が必要とするエネルギーと栄養のギャップをカバーするために、十分なエネルギー・タンパク質・微量栄養素を含むべきです。

母乳と一緒に摂取することで、子供に必要なものを全て満たすことができます。

 

図11は、月齢12-23カ月の母乳で育つ子供が、補完食で埋めるべきエネルギー・タンパク質・鉄分・ビタミンAの割合を示しています。

Figure 11

 

[クリックして拡大]

 

各棒グラフの色の薄い部分は、一日に必要な栄養分のうち、どれだけの割合を母乳でまかなうことができるかを示しています。

母乳は、哺乳量の平均である550 mlとして計算しています。

 

棒グラフの色の濃い部分は、補完食で満たすべきギャップを示しています。

もっともギャップが大きいのは鉄分で、補完食は鉄分を含んでいることが特に重要になります。

可能ならば、牛肉・豚肉・鶏肉・魚・内臓などの動物性の食べ物から取るといいでしょう。

 

豆類(エンドウ豆・インゲン豆・レンズ豆・ナッツ類)を、鉄分の吸収を助けるビタミンCが豊富な食材と一緒に食べれば、動物性食材を食べる替わりにすることができます。

しかし、完全に置き換えることはできません。

 

日本では、離乳食初期にはお粥しかあげなかったり、野菜しかあげなかったりするのが一般的ですね。

これでは、鉄分が不足しやすくなってしまいます。

 

 

母乳と食事は、赤ちゃんに必要なものをお互いに補い合うパートナーなので、母乳で不足しがちな栄養素は食事でカバーできるように心がけるといいんですね。

 

補完食の目的は乳離れじゃなくて栄養補給

補完食についてのWHOのガイドラインは【第3章まとめ|補完食は離乳食と別のものです】を読めば、全てが分かります。

行儀が悪い・食べない・食べ過ぎる・アレルギーなどについての悩みは【離乳食の悩みから解放されたい!補完食のヒント集】をどうぞ。

2017/4/7更新

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コメント

    • しおん
    • 2014年 4月 09日

    sumireさん、助けてください!

    先月4ヶ月の検診で体重の笛が少ない(月300g)ので補完食を始めてくださいといわれ、今日5ヶ月検診でも300gほどしか増えていませんでした…。今月末で6ヶ月になるのですが、今の時点で出生体重の倍である7200gまで650gと遠い道のりです…。

    補完食はまだ先週始めたばかりで、まだ食べることに慣れさせることが主になっています。娘は常に機嫌もよく、よく寝て欲遊びます。発達も月齢相応です。母乳もお腹がすいて泣く前にあげている状態で、ほぼ3時間おきにあげています。身長は2ヶ月で3センチほど伸びています。
    私の体重もあんまり減ってないし…。母乳のカロリーでも下がっている?!もしくは出ていない…?
    お医者様は「保健師さんは”成長曲線が!すぐに離乳食!”って言ったかもしれないけど、私からしたらぜーんぜん心配いらないわ。6ヶ月になったからと言ってすぐに固形物を食べられる子ばかりじゃないから練習程度には始めてもいいけど、体重のために急いで離乳食を!って言うほど深刻な状態じゃない」とおっしゃってました。
    娘もどちらかというと補完食よりまだまだ母乳がいいみたいで…。でもなぜ体重、増えないんでしょう…。

    • お久しぶりです(^^)
      保健師さんに注意されると心配になってしまいますよね。
      お医者さんは大丈夫と判断しているということは、大丈夫なんだろうと思いますが、体重増加の勢いが停滞してくると、母としては気になりますよね。

      まず可能性として考えられるのは…
      ①それが娘さんの「順調な成長の傾向」である
      一般的に、4カ月~8か月頃にかけて、それまでより成長速度がガクンと落ちていくようです。
      もし分かったら、各月齢ごとの身長体重を教えていただけますか?

      ②カロリー豊富な「後乳」が飲めていない
      授乳はどんな風にしていますか?
      左右5分ずつ1セットとか、片方ずつ赤ちゃんが離すまで飲ませているとか…
      母乳過多と感じることはないですか?

      >補完食よりまだまだ母乳がいいみたい
      それで何も問題ないと思います(^^)
      もし授乳の仕方に改善の余地があるなら、改善した方がいいと思いますが、身長が2カ月で3センチってかなり急成長だし、栄養不良なんてありえないんじゃないでしょうか。
      また、飲ませる量や回数が減らない限り、母乳の生産量が勝手に減ることはないので、安心してください!

    • しおん
    • 2014年 4月 10日

    sumireさま

    とっても早いお返事をありがとうございます。久しぶりにコメント残しましたがこちらはいつも拝見しております(^^)

    ① 月齢別の身長体重です。
    出生時体重身長 10/26 3650g/ 49cm
    11/11 3690g / 50cm
    11/25 4105g / 51,5cm
    12/30 5055g / 55,6cm
    2/5 5830g / 59cm
    3/13 6200g / 61,5cm
    4/9 6550g / 63cm

    ②おっぱい大好きな子なので自分から離してもまた遊び飲みしているような子ですが、最近そういえば何となくあまり飲んでいないような気がするんです。最初だけ「ぐびっ、ぐびっ」と飲んで後は咥えているだけのような…もしくは眠ってしまうことが多いですね、3ヶ月頃までは授乳の間隔が開かなくて、長い授乳の後すぐ次の授乳となってしまい散歩もままならなかった感じでしたが、最近おんぶをするようになって授乳の回数が減っているかもです…。おんぶで散歩や家事をしていると気持ちよく寝てくれるものですから…。

    相談に乗ってくださってありがとうございます。育児や母乳に関する疑問があるときは基本的にこちらのサイトを参考にさせていただいています。他はどこを見ても「お餅がいいらしい」「ゴッドハンドのマッサージで出るようになる」といまだに都市伝説満載なので…(^^;)

    • しおん
    • 2014年 4月 10日

    こちらをhttps://rikei-ikuji.com/?p=4479参考にZグラフなるものを見てみたのですが…体重よりもむしろ身長の方が−3の線からはみ出しそうなんですが (O.O) とりあえず栄養失調ってことは内容で安心しました。赤ちゃんらしい体型をしているので栄養失調はまず考えられないですが。補完食が始まった後の授乳の仕方や卒乳についてもまた詳しく教えて頂けるとうれしいです。

    • ①成長曲線について…
      体重-身長曲線を見ると、産まれた時は身長に対して体重が重めだったけど、今の体型は「標準ど真ん中」ですね。
      月齢に対する体重と身長も、標準の範囲内ですね。増え方はゆっくりめと言えばそうかもしれないけど、もし授乳の仕方を変えてペースアップするならそれでいいと思いますが、もともとこれが娘さんのペース、ということもあるかもしれませんね。

      ②授乳の仕方について…
      「泣く前に授乳・自然に離すまで授乳」をされていて常に機嫌がいいとは、素晴らしいですね!飲み方は、月齢によって変わるので、そんなに心配しなくてもいいような気がします。ごくごく飲んだ後の「遊び飲み」で、カロリー豊富な後乳を堪能しているかもしれないし、時間が許すならそのまま遊ばせてあげればいいんじゃないでしょうか(^^)

      もしおんぶが増えたことで授乳回数が減ったと思われるなら、授乳回数を増やしてみるのはいかがでしょうか。生後半年間は、ミルクよりも補完食よりも、体重を増やすには母乳が一番効率がいいそうなので、今は補完食を頑張るより、授乳回数を増やした方が手っ取り早い方法かなと思いました(^^)
      母乳で赤ちゃんの体重をもりもり増やすための秘訣

        • しおん
        • 2014年 4月 12日

        「泣く前の授乳、離すまで授乳」してるんですが、授乳時間がとても短いんですよね…。片方5分も吸ってるかなあっていう時が多いです。でも機嫌がいいんですよ。夜間授乳のときは結構長く吸ってる気がしますが。私もそのときはうとうとしてるんで定かではありませんが(^^;)

        「後乳」についてふぃっしゅさんという方がブログで[後乳は前乳と同じ乳線から分泌される濃い母乳ではなく、深いところから出てくる濃縮された母乳なのではないか]と推察されていました。
        そもそも「後乳」というのは何なんでしょう。sumireさんの先月の記事にもあったように、もし人類は皆たまり乳だとしたら、赤ちゃんが吸っているときに母乳の分泌が始まる「さし乳」現象は起こっていないということでしょうか。それともオキシトシン反応によってたまっていた母乳が押し出されるとともに、新鮮な母乳も吸われていないときに比べてたくさん出るということでしょうか。
        私が疑問に思ったのは乳線が空になることがないのであれば、次回の授乳時に「前乳」として出てくる母乳は,前回の授乳後残った「後乳」ではないかということです。「後乳」を飲み逃すという現象はどのように起こるのか、ちょっと疑問に思います。

        何はともあれ、個人的な質問に答えていただいてありがとうございます。他の読者の皆様にも参考になればうれしいです。
        私も「これが娘にとって正常な成長の仕方である」というご意見に賛成です。何しろ機嫌もいいし、見た目も普通だし、赤ちゃん主導の授乳でこれからも行きたいと思います。

        • 母乳過多の場合、常に大量の前乳が作られるので、赤ちゃんによっては毎回前乳の一部しか飲めなくて、「哺乳量は多いのにカロリー不足」になってしまう場合もあるそうなので注意が必要ですが、通常は、赤ちゃんにお任せで授乳していればいいのかもしれませんね(^^)

          前乳と後乳というネーミングがいまいちな気がするんですが、いわゆる前乳は、「24時間分泌し続けているもの」だそうです。後乳は、授乳中に分泌される脂肪分の多い母乳のことを指すようです。分泌の生理学までは今後調べるかどうか未定です。差し乳については、記事中に書いているので省略します!

          >次回の授乳時に「前乳」として出てくる母乳は,前回の授乳後残った「後乳」ではないか
          そうですね。正確には、「飲み残した前乳+後乳と、その後作られた前乳が混ざったもの」だから、「授乳頻度が多いほど、母乳中の乳脂肪濃度が高くなる(=後乳の濃度が上がる)」んじゃないでしょうか。つまり、授乳中、オキシトシン反射が起こる度に、前乳→前乳+少量の後乳→→少量の前乳+少量の後乳→→後乳というように、だんだん混ざりながら出てくるんだと理解しています^o^

    • しおん
    • 2014年 4月 16日

    なるほど、またまたわかりやすく噛み砕いてくださってありがとうございます。もっともっと母乳育児が現在のように「母乳教」などと言われず、科学的な知識に基づいて広まってくれると、お母さんたちももっともっと楽になるのになーと思いますね。
    うちの娘はあと10日で6ヶ月になるのですが、思ったより補完食が気に入ったらしく(大人の取り分けですが)滑らかにしたひき肉なんかもばくばく食べてます…。授乳の回数は減っていませんが、真剣に飲んでいる時間や回数は減っている気がします。これからどのように娘の食習慣が変化して行くのか楽しみです。
    どうもありがとうございました。

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