リスクが上がる条件とは?HIVの母子感染

HIV陽性のお母さんから産まれた赤ちゃんの栄養法を考える場合、母子感染の可能性を考える必要があります。

母乳でも感染することがあり、感染しないこともあります。

新しい研究結果も出てきているようです。

 

WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」

6章 例外的に困難な環境の乳児の適切な栄養法

6.5 HIV陽性のお母さんから産まれた赤ちゃん

 

母乳によるHIVの母子感染(MTCT)を防ぐためには、「母乳のみの時期~母乳と補完食を与える時期」を通して、

全ての赤ちゃんにとって最適な栄養のサポートをするために、求められることを比較しながら考える必要があります。

 

<HIVの母子感染>

2007年の時点で、15歳未満の子供のうち約250万人がHIVに感染しています。

そして42万人の子どもたちが新しく感染したと見積もられています。

子どもがHIVに感染する主な原因はMTCT(母子感染)です。

ウイルスは、妊娠中、分娩・出産時、母乳育児をする中で伝染すると考えられます(15)。

何も治療をしない場合は、HIVに感染した女性から生まれた赤ちゃんの5%-20%が授乳によって感染します。

 

感染は、子どもに授乳している間はいつでも起こる可能性があり、子どもが成長するまで授乳を続けると、全体的にリスクが増加します。

 

生後数カ月を母乳のみで育てた場合は、混合栄養に比べるとHIV感染のリスクが低くなります(16)。

 

授乳を通じてHIV感染するリスクが増加する、主な要因(15)

  • 感染初期に含まれるウイルス量が高いこと
  • 母親の病気の重症度が高いこと
    CD4+値が低いこと
    お母さんの血液中のRNAウイルス量が高いこと
    重い臨床症状があること
  • 乳房のコンディションが悪いこと
    乳腺炎・症状のない乳腺炎・乳頭の亀裂など
  • 赤ちゃんの口から感染する可能性
    鵞口瘡・ヘルペス
  • 母乳以外の食べ物や飲み物も与えていること(混合栄養)
  • 長期授乳すること
  • お母さんの栄養状態が影響する可能性

 

HIV陽性のお母さんと、すでにHIVに感染していることが明らかな赤ちゃんの組み合わせの場合は、HIV陰性のお母さんと同じように、通常の母乳育児を行うことが推奨されています。

これは2009年時点での情報です。2016年現在、HIVと母乳育児に関するガイドラインが改定され、「抗レトロウイルス剤で治療しながら母乳育児は続けられる」という方向へ方針が変わっていますのでご注意ください。

2017/1/26更新

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