一時的な代替栄養が妥当なお母さんの状態

お母さんの健康状態や、服用する薬によっては、一時的に授乳をやめた方がいい場合もあります。

WHOが授乳不可と定めている、薬の説明も書いてあります。

 

WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」

添付資料1 代替栄養を利用することが妥当な医学的理由

 

以下に述べた状態のどれかに当てはまるお母さんは、標準的なガイドラインに従って治療を受けるべきです。

 

<一時的に母乳育児を避けることも正当化されると考えられる、お母さんの状態>

  • 例えば敗血症など、重い病気のためにお母さんが自分の子どものお世話ができないとき。
  • 単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)
    お母さんの乳房の病変部位が感染の可能性がなくなるまで、赤ちゃんの口が直接触れないようにするべきです。

  • お母さんの薬物療法

    心理療法で鎮静に用いる、抗てんかん薬とオピオイド(麻薬様物質)
    またはそれらの併用は、傾眠状態・呼吸抑制状態のような副作用の原因となるかもしれないので、もっと安全な選択肢があるなら避けた方がいいです(7)。

    放射性ヨウ素131は、より安全な選択肢があるなら避けた方がいいです。
    使用した場合は、2か月くらい間をおけば授乳を始めていいです。

    ヨウ素の外用薬や、消毒薬(ポビドンヨードなど)を過剰に使うと、
    特に傷口の開いた傷や粘膜に使うと、甲状腺抑制や電解質異常の原因となるので避けるべきです。

    細胞毒性がある化学療法は、治療中は授乳しないことが求められます。

 

「細胞毒性がある化学療法」とは、例えば、抗がん剤による治療があります。

 

授乳生活は長いので、何かしら薬を使用しなければいけないこともよくあります。

常に、選択肢の優先順位としては

  1. 薬を使わない治療法を選択する
  2. より安全な薬を本当に必要な量だけ使って、授乳は続ける
  3. 上記に書いてあるような危険な薬を使い、授乳を(一時的に)やめる

を考える必要があります。

 

日本ではお母さんが薬物治療を受ける場合に、断乳や一時断乳を指導されることもよくありますが、それは必ずしも赤ちゃんとお母さんのためのベストな選択ではありません。

 

授乳を続けたいなら症状を我慢をしなければいけない、または薬を飲むなら断乳しなければいけない、という単純な判断をするのではなく、お母さんと赤ちゃん両方のQOLを尊重できるように、十分に考える必要があります。

2015/12/22更新

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