母乳のタンパク質が消化しやすい理由|母乳とミルクのタンパク質

乳汁はそれぞれの種の赤ちゃんにとって、一番適した成分でできています。

その中で、特にタンパク質は、他の成分に比べて格段に構造が大きなものなので、種によってバリエーションが出やすいのです。

例えばどういう違いがあるのでしょうか?

 

WHOガイドライン「乳幼児の栄養法」

第2章 母乳育児の生理学基礎

2.1 母乳の成分

<タンパク質>

 

母乳のタンパク質は、他の動物の乳汁のタンパク質とは質・量ともに異なります。

含まれているアミノ酸のバランスも、赤ちゃんにとってより適したものになっています。

 

母乳中のタンパク質の濃度は0.9 g/ 100 mlと動物のミルクより低いのです。

動物のミルクはタンパク質が多く含まれているので、乳児の未熟な腎臓で窒素生成物(※1)を処理する時に過剰に負荷がかかってしまいます。

 

母乳にはタンパク質の一種であるカゼインの量が少なく、分子構造も動物のものとは異なります。

他の動物の乳汁に含まれるカゼインに比べてより柔軟な構造をしています。

よって、乳汁を飲むと胃の中で凝固してできる「凝乳」も、母乳のものは他のミルクのものとは違って消化しやすいのです。

 

母乳の乳清中の水溶性タンパク質には、他のミルクより多くのαラクトアルブミンが含まれます。

牛乳にはβラクトグロブリンが多く含まれています。

これは母乳にはない成分で、乳児の不耐性の原因となりえます(4)。

 

※1 タンパク質を代謝すると最後に尿素が生成し、腎臓から排泄される。

一般的な代替栄養として用いられる乳児用のミルクは、牛乳を原料として作られています。

 

母乳育児に自信を失いそうなときは

わざわざ母乳をあげる意味はないかな、ミルクの方が自分の母乳よりも栄養豊富かな、などなど。自分の母乳に自信が持てなくなったときは、母乳の基礎の記事がモチベーションアップの役に立つかもしれません。

 

2017/1/28更新

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