クリスマス?お正月?乳腺炎になりやすい時期となる割合|WHO

疫学

授乳中女性のうち、どのくらいの割合で乳腺炎を経験するのでしょうか。

また、乳腺炎になりやすい時期というのはあるのでしょうか。

 

乳腺炎;原因と対処法, World Health Organization

2.疫学

2.1発生頻度

乳腺炎や乳房膿瘍は、母乳育児が標準的な状態かどうかに関わらず、あらゆる母集団に生じます。

 

報告された発生頻度は、授乳中女性の数%~33%の幅がありますが、通常は10%以下です(Table1)。

多くの研究は方法論的に限界があり、大規模な前向きコホート研究は存在しません。

発生率が高いものは、限定された母集団のものです。

 

乳房膿瘍の発生率も幅があり、多くの推定値は、乳腺炎患者の後向き研究によるものです(Table2)。

 

2.2発生時期

乳腺炎は、産後2週目と3週目に好発します(29; 120; 122)。

多くの研究では産後最初の12週間に74%~95%が発生することが示されています(49; 122; 140; 167; 170)。

しかし、乳腺炎は授乳期間のどの段階でも起こり得るもので、産後1年以上経った後にも起こることがあります(7; 140)。

 

乳房膿瘍も産後6週間に好発しますが、乳腺炎より少し遅れて生じるでしょう(18; 32; 43; 49; 71; 74; 109; 119; 157)。

 

 

乳腺炎は、どんな環境で子育てしていても起こりうるものなんですね。

 

そして、その発生頻度は、「クリスマスやお正月などの特別なイベント時期に集中する」のではなく、「産後の時期に高くなる」ことが、いくつもの研究で分かっているんですね。

 

もし、「ケーキやフライドチキンを食べると乳腺炎になる」というような、生化学的な要素が乳腺炎の原因になるなら、乳腺炎の発症リスクが上がる時期は、「12月に増える」など、「高カロリーな食事をしやすいイベント時期」に依存した結果になるはずです。

 

しかし、「多くの研究では産後最初の12週間に74%~95%が発生する」ということは、イベントよりも、「母乳育児の立ち上がり」に関係している原因がありそうです。

 

ということで、次の記事では、乳腺炎の原因について取り上げます。

 

母乳育児は知識は深く、試練は小さく

「母乳育児は辛いもの」と思われがちですが、多くの困難は、知識とスキルが不足しているために起こりやすくなることが分かっています。

授乳の基礎母乳の生理学から、効果のあるやり方のヒントが見つかります。

 

※Table 1, Table 2;原文参照(ブログ上には掲載していません)

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コメント

    • ちーたー
    • 2017年 10月 14日

    いつも興味深く読ませていただいています。
    科学的な視点での内容に納得できて、育児を力づけていただいている、とても貴重なブログです!!
    第一子の頃よりファン(?)です♪これからも応援しています!!

    こんなに痛かったり、辛かったりする乳腺炎なのに、研究があまり進んでいない…って残念です…
    それでも、現時点でわかっている事の記事のUPに期待しています!!

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